
クルマの生産・開発技術を生かせば未来は明るい?

ロボットといえば鉄腕アトムにターミネーターなど、人間のカタチをしたヒューマノイド型をイメージするだろう。しかし、今回トヨタから発表された介護・医療支援パートナーロボットは、工場などで用いられる生産ロボットのイメージに近い。このパートナーロボットの開発は、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)と共同で推進している。また、2013年以降の実用化を目指して開発を加速させていく。
トヨタの介護・医療支援パートナーロボット開発の背景には、今後確実に起こる超高齢化社会をひとつのビジネスチャンスとしてみている。疾病や要介護人口の増加は確実だが、介護労働ができる若年層は減る一方。それと同時に、介護負担の増大や質の低下も予見できる。そういった近い未来には、この介護・医療支援パートナーロボットが必ず必要になる社会が来ると見込んでいるのだ。
だが、そんな未来を予想できたとしても、トヨタのような企業体でなければ実際にこういった介護・医療支援パートナーロボットをゼロベース開発・生産するのは難しい。多額の投資とノウハウを集める時間が足りない。なぜ、トヨタがこういったロボットの生産ができるのかというと、クルマの開発・生産ノウハウが生かされているからだ。
最新鋭の自動車工場では、多くの生産ロボットが投入され自動化が進んでいる。重いモノや危険な場所で、何かを探し、掴み、組み立てるといった工程は、ロボットが行うことが多い。そういった複雑な制御技術は、トヨタの工場で生まれている。移乗ケアアシストのように、重い人を支え移動するという作業そのものは、まさにそんな技術の応用。さらに、制御は介護する人間が行うので、トヨタにとってはそれほど難しくはない技術だろう。
さらに、クルマの開発には多くのセンシング技術が使われている。モノのよっては、1万分の1秒単位で測定し開発する。測定された結果を元に、クルマの制御へフィードバックをかけ、クルマがより安全に快適に走れる仕組みさえも確立されている。自立歩行アシストの開発には、そういったセンシング技術が生かされている。膝の曲がり方、足にかかる荷重、時間などを細かく計測。計測結果を制御系にフィードバックし、自立歩行を支援する。
こういったセンシング技術や制御技術などは、多かれ少なかれ自動車メーカーは持っている。今回の介護・医療支援パートナーロボットの凄さは、そのノウハウを本気で医療・介護に生かした結果なのだ。
一時期、トヨタはライバルであるホンダのヒューマノイド型ロボット「アシモ」に負けじと、笛やらバイオリンを演奏するロボットを開発してきた。それはそれで、遠い未来の研究としての価値はある。だが、今回のロボットは、より近い未来の現実を意識したものだ。
昔、ゆりかごから墓場までという福祉のスローガンがあった。それを、生まれてから死ぬまでトヨタ系企業で完結する社会という意味で、トヨタの大企業さを伝える表現としてよく用いていた。墓場の手前の高齢化社会、それを支えるのも、やはりトヨタなのだろうか。
■トヨタ介護・医療支援パートナーロボットの概要
①自立歩行アシスト
・下肢麻痺などで歩行が不自由な方の自立歩行支援を目的に開発
・麻痺した脚に装着することにより、自然な膝曲げ歩行をアシスト
②歩行練習アシスト
・「自立歩行アシスト」の技術を応用した歩行練習用の装置として開発
・歩行が不自由な方の練習初期段階からの自然な歩行の習得をアシスト
③バランス練習アシスト
・バランス確保が不自由な方のバランス機能練習の支援を目的に開発
・倒立2輪技術とゲーム性を融合し、飽きることなく楽しく続けられる練習をアシスト
④移乗ケアアシスト
・大きな力を必要とし体力的負担の大きい、移乗のための介護の負担軽減を目的に開発
・体重保持用のアームとアシスト台車を組み合わせて、ベッドからトイレまでの移乗介護をスルーでサポート
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