フォルクスワーゲン ゴルフ8 ヴァリアント試乗記・評価 より完成度を高めたマイナーチェンジ

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【VW】2025/07/23

ゴルフ ヴァリアントの車両画像の全景

 

国内で最も馴染み深い輸入車がゴルフ

 

輸入車の中で、日本マーケットで最も馴染み深いモデルがフォルクスワーゲン ゴルフといえる。1975年発売の初代ゴルフから約50年間、日本で発売され続けているモデルだ。

ゴルフの国内販売は、輸入車販売台数ナンバー1としての歴史を刻んできたと言ってもいいだろう。JAIA(日本自動車輸入組合)のデータでは、2016年にミニ(シリーズ合算数)に1位の座を明け渡しているものの、長期間に渡り輸入車販売台数ナンバー1の座に君臨している。

直近では、上位に人気のSUVモデルが続々とランクインしている中でも、ゴルフは堅調な販売台数を維持し、2024年は3位と健闘している。カテゴリーを問わず、輸入車の定番モデルだ。

ゴルフ ヴァリアントの車両の後景

 

マイナーチェンジで、1.0Lが無くなりガソリン車は全車1.5Lへ!

 

ゴルフは2021年にフルモデルチェンジし8世代目となった。通称ゴルフ8だ。今回のマイナーチェンジしたことにより、ゴルフ8.5と呼ばれている。

ゴルフ8のプラットフォームは、先代ゴルフ7とMQBをベースとした進化版MQBエボを採用。基本的なパッケージングやフロントストラット式、リヤ4リンク式といったサスペンションに変更はなかった。ゴルフ8のデザインは、より精悍でスポーティになっている。

当時の搭載エンジンは、直列3気筒 1.0Lターボ+マイルドハイブリッドのeTSIだ。当時、110㎰&220Nm、燃費は18.6km/L(WLTCモード以下同)というスペックで、さらにダウンサイジングが進んだ。

このエンジン、ターボによる過給が始まれば、スペック並みの走りを披露した。しかし、日本特有のストップ&ゴーが多い道路事情では、アクセルオフからオンに切り替わる際にターボラグがあった。

モーターアシストがあるもののアクセルレスポンスに物足りなさを感じた。これは、絶対的な排気量が1.0Lと小さいことが要因。1.5LのeTSIでターボラグを感じることは、あまりなかった。

2025年に行われたマイナーチェンジでは、日本仕様の1.0L eTSは姿を消し、1.5L eTSIのみ設定となった。

この1.5L eTSIは、出力違いで2タイプが用意されている。アクティブとアクティブベーシックグレードでは、116㎰&220Nm。スタイル、Rライングレードでは150㎰&250Nmというスペックになっている。

 

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着実に燃費を向上してきたゴルフ8のマイナーチェンジ

ゴルフ ヴァリアントのエンジンルーム

1.5L eTSIエンジンの150㎰&250Nmというスペックは、マイナーチェンジ前と変わらない。だが、エンジンの型式はDFYからDXDへ変更されている。その結果、ゴルフ8 の1.5L eTSI燃費は17.3km/Lから18.7km/Lへと大きく進歩した。

同様に2.0Lディーゼルターボエンジンも変更された。エンジン型式は、DTSからDXPへと変更。こちらも150㎰&360Nmというスペックに変化は無いが、燃費は20.0km/Lから20.8km/Lへ向上。あえてアピールせずに進化させている点には、いかにもフォルクスワーゲンらしさを感じる。

ゴルフ8のマイナーチェンジでは、インフォテイメントシステムをハードとソフトともに一新。第4世代の「MIB4システム」と最大12.9インチのワイドディスプレイを組み合わせたのだ。これに伴い、センターコンソール上部のデザインが変更されている。

この「MIB4」には、音声による機能操作「IDA(アイダ)ボイスアシスタント」が搭載された。インフォテイメントやエアコンなど多くの機能を、音声でコントロールできる。ディスプレイが大型化された点も含め、今時のモデルといった印象だ。だが、操作性は慣れるのに時間がかかり、相変わらず少々物足りなさがあった。

ゴルフ8のフェイスデザインは、マイナーチェンジ前とそれほど大きな変化はないように思えたが、ヘッドライトやバンパーが変更となりイルミネーション付きエンブレムが採用されていた。よく見ると、新デザインの「IQ.LIGHT」等にかなり違いがあり、なかなか通なデザイン変更といえる。

 

広大な荷室をもつゴルフヴァリアント。優れた使い勝手の良さが売れている理由!

ゴルフ ヴァリアントの内装:運転席の画像

今回試乗したのは、ゴルフ8のワゴンモデルであるゴルフヴァリアントTDI Rラインだ。最上級グレードに位置するモデルである。

ゴルフ ヴァリアントの内装:後席の画像

2.0Lディーゼルターボエンジンを搭載し、Rライン専用のエクステリアやサスペンション、ステアリングホイール、シートなどを装備する。ゴルフ8ヴァリアントTDIの燃費は20.1km/Lとなる。

ゴルフ ヴァリアントの荷室の画像

ゴルフ8ヴァリアントの荷室容量は、驚愕の611L! Cセグメントのワゴンでは、クラストップレベルだ。ゴルフ8ヴァリアントより全長がやや大きいワゴンであるスバル レヴォーグの荷室容量は492L+69L(サブトランク)。なので、ゴルフ8ヴァリアントの荷室がいかに広いか分かるだろう。とても実用性の高いモデルといえる。

さらに、最小回転半径はわずか5.1mだ。全長4,640mmだと、最小回転半径の相場は5.5m前後だ。狭い駐車場でも想像以上に扱いやすかった。

こうした実用性や扱いやすさが、長年に渡り日本でも売れ続けている理由なのだ。

唯一の悩みどころが静粛性

ゴルフ ヴァリアントのインパネデザインの画像

ゴルフ8ヴァリアントTDI Rラインで、市街地を中心に試乗した。最大トルク360Nmを発揮する2.0Lディーゼルターボエンジンの恩恵で、わずかなアクセル操作でもグイグイと加速する。

アクセルレスポンスも良好で、高回転までスムースに回る。ディーゼルターボエンジンのツインドージングシステムによって、窒素酸化物(NOx)の排出量は大幅に削減された。

全般的に完成度の高いエンジンだが、少し気になったのが静粛性だ。エンジンを強めると、エンジンも上がり、静粛性に物足りなさを感じる。ガソリン車も含め、ゴルフ8全般にいえる点だ。

特に国産ハイブリッド車の静粛性に慣れた人にとっては、尚更賑やかに感じるだろう。

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Rラインの硬めの足こそがゴルフらしさを象徴!?

ゴルフ ヴァリアントのメーターの画像

試乗車は、専用サスペンションを装備したRライン。Rラインとは、スポーティな内外装と走行性能をもつグレード。そのため、225/40R18というペラッペラの薄い大径タイヤを履く。この大径タイヤと、グッと引き締められたRライン専用サスペンションにより、乗り心地は硬めだ。

低速域では、とくに路面の凹凸をしっかりとドライバーに伝えてくる。ただ、尖ったようなショックでは無い。ゴトゴトとした乗り味だが、伝わるショックはマイルドに変換されているので不快な印象はなかった。速度が上がれば、ゴトゴト感は薄れ、しなやかさが増してくる。

個人的には、通常仕様のゴルフ8よりもRラインの方が好みだ。古いタイプなのは重々承知しているが「ゴルフと言えば、昔のドイツ車らしい硬めの足」というイメージが強いからかもしれない。

こうした個人的な思いとは別に、Rラインはゴルフらしい走りの楽しさも十分に堪能できる。適度に引き締められたサスペンションは、ゴルフ8のもつ正確無比なハンドリングと相性が抜群だ。

わずかなステアリング操作に対しても、車体は瞬時に反応。225/40R18サイズの大径ロープロファイルタイヤの恩恵もあり、シャープに曲がる。相変わらずFF(前輪駆動)車とは思えない軽快感も、Rラインだとより鮮明さを増す。

カーブでは、車体の傾きを最小限に抑え、フラットな姿勢で走り抜けていく。GTIほどのホットさは無いが、適度なスポーティさが逆に心地よい。淡々と走っているいつもの道が、少し楽しくなる。Rラインは、そんな仕様だと思う。

ゴルフ8のおすすめはゴルフヴァリアントTDI Rライン。 その訳は?

 

ゴルフ8ヴァリアントTDI Rラインは、個人的にはゴルフ8シリーズ中、ベストバイだと思う。

扱いやすくボディサイズと優れた小回り性能、広大な荷室、ディーゼルエンジンによる優秀な燃費値、そして適度にスポーティなハンドリングなど、クルマに求められているほぼすべての要素をギュッと凝縮しているからだ。

ゴルフ8ヴァリアントTDI Rラインは、これ1台ですべてOK的な、オールマイティさが魅力のモデルと言える。

 

ゴルフ8のマイナーチェンジ前の中古車価格を調べてみた

 

ゴルフ8のマイナーチェンジは、劇的に何かが変化したというものではなく、正常深化といったところ。ならば、新車は高価なので中古車も検討の余地がある。

ゴルフ8ヴァリアントTDIの中古車相場は以下の通りだ。

*中古車相場は、2025年5月調べ

ゴルフ8ヴァリアントTDI Rライン中古車相場(2023年式):約370~380万円

2023年式当時の新車価格は、約442万円。当時の新車価格に対して、中古車価格は約84~86%となっている。2年落ち(2025年比)であるとこを考えると、まずまず順調な値落ちといったところ。

マイナーチェンジ後の新車価格が約486万円と価格が大幅にアップしているので、2023年式中古車相場は約100万円安いことになる。予算が厳しい、なるべく安価にゴルフ8を手に入れたいなど、予算重視の人は、併せて検討してみるといいだろう。

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<レポート:大岡智彦

ライター紹介

自動車Webサイト CORISM編集長 大岡 智彦

自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポート、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。趣味は、まったく上手くならないゴルフ。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

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フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント 新車価格

  • eTSIアクティブベーシック 3,639,000円
  • eTSIアクティブ  3,939,000円
  • eTSIスタイル  4,577,000円
  • eTSI Rライン  4,656,000円
  • TDIアクティブベーシック 4,100,000円
  • TDIアクティブアドバンス 4,669,000円
  • TDIスタイル 4,778,000円
  • TDI Rライン 4,856,000円

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント スペック

代表グレード ゴルフヴァリアントTDI Rライン
全長×全幅×全高 4,640mm×1,790mm×1,485mm
ホイールベース 2,670mm
車両重量 1,510kg
エンジン型式 DXP型
エンジンタイプ 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量 1,968cc
最高出力 150ps(110kW)/3,000-4,200rpm
最大トルク 360Nm(36.7kgm)/1,600-2,750rpm
燃費(WLTCモード) 20.1km/L
駆動方式 前輪駆動(2WD)
サスペンション型式 前:マクファーソンストラット式 後:4リンク式
タイヤサイズ 前後 225/40R18
最小回転半径 5.1m

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