ホンダ プレリュード試乗記・評価 爽快! 新世代クーペ誕生!!

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【ホンダ】2025/09/04

6代目新型ホンダ プレリュード 走り

 

ホンダブランドをけん引するイメージリーダーも担う新型プレリュード

 

2023年10月、ジャパンモビリティショーのホンダブースに展示され、話題をさらったのが第6世代目となる新型ホンダ プレリュードだ。その後、沈黙を守っていたが。7月31日にウェブサイトでティザー情報が公開された。

6代目新型プレリュードのエクステリアは、ショーカーとほとんど変わっていない。イメージカラーはムーンリットホワイト・パールで、フレームレッド、メテオロイドグレー・メタリック、そしてクリスタルブラック・パールの4色が用意されている。インテリアのメインカラーはブルー×ホワイトだ。

近年、ホンダはブランドとしての独自性を失い、チャーミングなイメージが年を追うごとに薄くなっていった。年齢層が下がるにつれて好意度が低下し、ファンは他メーカーのブランドに流れている。そこで拡大するハイブリッド市場へ、他社にはない電動スポーツモデルを投入することにしたのだ。ホンダとしては、久しぶりに送り出すクーペスタイルのスペシャリティカーである。

6代目新型ホンダ プレリュード フロントスタイル

6代目新型ホンダ プレリュード リヤスタイル

 

 

高揚感を生み出すグライダーをイメージ

 

6代目新型プレリュードのグランドコンセプトは「UNLIMITED GLIDE」だ。大空を自由にどこまでも飛べるグライダーを発想の基点としている。優雅に滑空するような高揚感と非日常のときめきを感じさせるクルマを目指し、デザインにもこだわった。正式発売は9月5日だ。メーカーオプションなしのモノグレード構成での展開としているが、初年度限定、数量限定でオンライン専売の2トーンモデルも設定している。

6代目新型プレリュードのエクステリアは、グライダーが滑空するような高揚感を生み出す、低くシャープなフロントノーズと抑揚のある滑らかなボディラインが特徴だ。切れ長のヘッドライトは羽ばたく勢いを表現し、厚みのあるフェンダーからもスペシャリティカーらしい特別感が伝わってくる。スムースでクリーンなルーフラインから2ドアクーペに見えるが、実際はリアゲートを装備したハッチバッククーペだ。

6代目新型プレリュードのインテリアは、運転席と助手席を明快に分けたワンbyワンスタイルで、運転席はホールド性を高めたスポーツシート、助手席はほどよく包まれる快適な空間とした。ステアリングの内側に大型の丸型メーターを2つ並べ、その両側に補助メーターを配している。中央の見やすい位置にセットしてディスプレイは大きいが、視界の邪魔にならない。

6代目新型ホンダ プレリュード サイドスタイル

6代目新型ホンダ プレリュード ブレンボ

6代目新型ホンダ プレリュード リヤスタイル

 

 

600万円オーバーのクルマなら、パワーシートくらい欲しい!

 

驚かされたのは、600万円を超えるスペシャルティカーなのに、助手席はおろか運転席も手動調整式だったことだ。カップルのためのスペシャリティカーなのだから、パワーシートは必須の装備だろう。

ついでに言えば、インテリアの質感ももう少し高めたい。ヨーロッパ勢と比べ、手触り感や質感は物足りない。だが、後席は何とか座れるスペースを稼ぎ出した。ラゲッジルームも2名分の荷物を積めるスペースを確保している。だが、パーセルカバーがオプションなのは不満だ。

6代目新型ホンダ プレリュード インパネ

6代目新型ホンダ プレリュード メーター

6代目新型ホンダ プレリュード メーター

 

 

タイプR由来のサスペンション

 

プラットフォームやサスペンションなどのメカニズムは、シビックのフラッグシップと位置付けられているタイプRをベースとしている。そのホイールベースを2605㎜に切り詰め、サスペンションなどに専用セッティングを施した。

デュアルアクシス・ストラットサスペンションにZF社製のアダプティブ・ダンパー・システムを組み合わせ、タイヤは大径の19インチになる。もちろん、駆動方式は前輪駆動のFWDだ。

6代目新型ホンダ プレリュード シフトレバー

6代目新型ホンダ プレリュード フロントシート

6代目新型ホンダ プレリュード リヤシート

 

 

 

シビックと共通のe:HEV

 

気になるパワートレインは、1993ccのLFC型直列4気筒DOHC直噴アトキンソンサイクルエンジンに2つのモーターを加えたホンダ自慢のハイブリッドシステム、e:HEVを搭載する。

シビックと基本スペックは同じで、エンジンの最高出力が104kW(141ps)/6000rpm、最大トルクは182N・m(18.6kg-m)/4500rpmと発表された。モー0ター出力は、最高出力135kW(184ps)/5000〜6000rpm、最大トルク315N・m(32.1kg-m)/0〜2000rpmを発生する。バッテリーパックは、72セルのリチウムイオンバッテリーだ。

6代目新型ホンダ プレリュード エンジンルーム

 

 

五感を刺激する「ホンダS+シフト」に酔う!

 

6代目新型プレリュードのパワートレインの凄いところは、ハイブリッドシステムのスマートさにエモーショナルな操る喜びを融合したことである。ドライバーの運転操作とクルマの応答がシンクロし、五感で意のままの走る楽しさを感じられるようしたことだ。これを実現させた技術が「ホンダS+シフト」だ。

シビックなどのe:HEVには、車速とエンジン音を連動させるリニアシフトコントロールという制御が組み込まれている。これを進化させ、ワクワクする走りを実現したのがプレリュードのS+シフトだ。

最初は、シビックと同じようにDレンジに入れて走り出した。e:HEVは負荷をあまりかけない、流すような走りでは発電に専念している。だが、加速していくと車速に合わせてエンジンの回転数を制御するようになり、ステップATのような気持ちいい変速(感)を味わうことが可能だ。ドライバーの感性に合った加速フィールは、とても楽しい。

そのはるか上を行く楽しさを実現しているのがS+である。セレクターレバーの右側にあるS+ボタンを押すとメーターの表示がパワーメーターからタコメーターに切り替わった。そしてキャビン内に気持ちいいエンジン音が聞こえるようになる。否が応でも気分が高揚し、アクセルを踏む込む右足にも力が入ってしまう。

パンチ力はそれなりだが、演出は驚くほど上手だ。エンジン回転の上昇とリンクして、耳に心地よいエンジン音が響き渡る。レッドゾーンの6000回転まで軽やかに回り、キレのいいレスポンスも際立っていてドラマチックだ。軽い変速ショックを伴うニクイ演出も施した。制御に騙されているのだが、変速感の味付けは絶妙だ。パドルシフトを操作しての擬似変速もその気にさせてくれる。

ワインディング路で楽しいのが、コーナー手前での減速だ。ブレーキをチョコンと当てると間髪を容れずブリッピングを行い、回転を合わせての滑らかな擬似的シフトダウンが入るのである。鮮やかなシフトダウンは、ベテランレーサーに勝るとも劣らない。リズミカルにギアを落とし、気持ちよく加速態勢に入って加速していく。

もちろん、GTモードとコンフォートモードでの流すような走りでもスポーティな味わいが強かった。守備範囲が広く、オールマイティなレスポンスと上質な乗り味を楽しめるGTモードも好印象だ。動力性能はそれなりだが、エンジン音を奏でながらの走りはデートカーの面目躍如たるものだ。

コンフォートモードでもモーターの後押しがあるから、気持ちよくスピードを乗せていく。うまく乗れば、実用燃費もいいはずだ。ほとんどのシーンをモーターでこなすこともできるが、やはり楽しいのはS+モードを使っての走りだった。その操る楽しさを知ってしまうと病みつきになるはずである。

6代目新型ホンダ プレリュード 荷室

6代目新型ホンダ プレリュード ラゲッジルーム

6代目新型ホンダ プレリュード

 

 

痛快&爽快ハンドリング!

 

6代目新型プレリュードらしさを感じるのは、異次元の痛快なハンドリングだ。低重心、ワイドトレッドのプレリュードは、リニアで一体感が高く、連続するコーナーを回るのが楽しい。大小のコーナーを気持ちよく曲がる感覚が強く、ハンドリングはクイックである。

アグレッシブな走りは得意中の得意だ。回転モーションをレスポンスよくタイヤへ伝え、狙ったラインに寸分狂いなく乗せることができた。タイトコーナーでも意のままにクルマが向きを変え、そこからの脱出速度も高い。ボディやシャシーは高剛性だが、それ以上にバランス感覚のよさに魅せられた。気持ちよく曲がるクルマなのである。

タイヤは235/40R18サイズのコンチネンタル製プレミアムコンタクト6だ。扱いやすく、乗り心地や静粛性も高いレベルを実現していた。ドライブモードの違いは明快で、好ましい。GTモードはロングドライブなどで重宝するだろう。曲がる性能に加え、止まる性能も満足できるものだった。6代目の新型プレリュードは、時代にふさわしい魅力的なスペシャルティカーに仕上がっている。

<レポート:片岡英明

 

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ホンダ プレリュード新車価格

・プレリュード 6,179,800円

 

 

ホンダ プレリュード燃費、ボディサイズなどスペック

代表車種 ホンダ プレリュード
全長×全幅×全高 4,520×1,880×1,355mm
ホイールベース 2,605mm
最低地上高  135mm
車両重量  1,460㎏
総排気量 1,993cc
エンジン型式 LFC
エンジンタイプ 直列4気筒DOHC16バルブ
最高出力 141ps(104kw)/6,000rpm
最大トルク 182N・m/4,500rpm
モーター最高出力 184ps(135kw)/5,000-6,000rpm
モーター最大トルク 315N・m/0-2,000rpm
燃費(WLTCモード) 23.6km/L
駆動方式 前輪駆動(FF)
トランスミッション -
サスペンション型式 前:ストラット 後:マルチリンク
タイヤサイズ 前後  235/40R19
最小回転半径  5.7m
バッテリー種類 リチウムイオン

 

ライター紹介

モータージャーナリスト

片岡英明

1954年、茨城県生まれ。自動車専門誌で編集に携わった後、独立してモータージャーナリストに。新車だけでなく、クラシックカーやEVなどにも精通している。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

 

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