4代目新型ルークス、2025年秋発売開始!
日産は、スーパーハイトワゴンのルークスをフルモデルチェンジし、2025年秋に発売する。新型日産ルークスは、デイズルークスだった時代を含め、4代目となる。
4代目新型ルークスも先代ルークスと同様、日産と三菱による軽自動車の合弁会社NMKVから生まれたモデル。主に日産が企画・開発、三菱が生産を担っている。先代となる3代目ルークスは、2020-2021K CAR オブ・ザ・イヤー受賞したほど、完成度の高いモデルだ。
人気オラオラ系デザインから卒業した訳とは?
今回、2025年秋発売予定のフルモデルチェンジした4代目新型ルークス プロトタイプに試乗した。
試乗会場は、神奈川県横須賀市にある日産追浜工場に併設されたGRANDRIVE(グランドライブ)と呼ばれる約4㎞のテストコース。ここにズラリと並んでいた4代目新型ルークスをひと目見るなり、かなり驚いた。試乗車は、すべてハイウェイスターだったのだが、歴代ルークスにあったオラオラ感がまったくないデザインだったのだ。
オラオラ系デザインは、主に日産以外ではカスタム系と呼ばれるモデルが採用。グッと睨みが効いた精悍なデザインで、ギラギラ感や押し出し感、迫力を重視したデザインとなっている。ミニバンと同様、大きく見えるというのも重要な要素。こうしたオラオラ系デザインが、高い人気を得ている。
先代となる3代目ルークスも、こうしたオラオラ系デザインを採用。さらに、マイナーチェンジでは、ギラギラ感マックス状態のフェイスデザインに変更された。こうした経緯から、4代目新型ルークスもオラオラ系デザインを踏襲すると思っていたので、かなり意外だった。
こうした脱オラオラ系デザインとしたのには、当然、理由がある。4代目新型ルークスのコンセプトは「先進技術が生み出す、上質な軽」。つまり、オラオラ系デザインは上質感がないという判断なのだろう。まぁ、こうした理由も理解できるが、今のところ売れ筋はオラオラ系デザイン。このあたりが、マーケットで、どう判断されるのか注目だ。
デザインモチーフは「かどまる四角」
4代目新型ルークスのボディサイズは、全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,785mm、ホイールベース2,495mm。プラットフォームは、キャリーオーバーなので、ボディサイズは全高+5mmとなった程度だ。ただし、Aピラーの角度をやや立てたことにより、ルーフがやや伸びている。
新型4代目ルークスの外観デザインは、ネーミングの由来である「Roomy×Max」をデザインコンセプトとした。軽規格という決められた寸法内で、最大限大きさを表現するデザインとした。
その上で、4代目新型ルークスを象徴するデザインモチーフとして「かどまる四角」を、ヘッドライト、リヤコンビネーションランプ、ドアハンドル、ホイールなど随所に取り入れた。広さ・大きさを象徴する四角。そのかどをとり、まるくしたモチーフを採用することで、4代目新型ルークスのぬくもり感と遊び心を表現した。
「かどまる四角」デザインというと、すぐに思い浮かぶのがスズキ スペーシアギア。同じようなデザイン手法ながら、まったく違うデザインになっている。むしろ、4代目新型ルークスは、2003~2008年位に発売されていたキューブキュービックと似た雰囲気を感じた。
4代目新型ルークスのデザインは、かなりユニーク。ヘッドライトは、基準車とハイウェイスターでデザインが異なる。ただ、両方グレード共に四角いフレームで囲ったヘッドライトが特徴。上質感とユニークさをうまく表現していて、とても新鮮に見える。
インテリアは、リラックスできる心地よい空間
インテリアは、ひと目で上質さを感じた。デザインコンセプトは「Breeze(そよかぜ)」。リビングルームのような心地よい風と光を車内へ取り込み、乗る人全員がリラックスできる居心地よい空間を目指した。
インテリアのカラーは、定番のブラック系ではなく、明るいベージュやグレー系が中心で、明るい室内空間としている。また、シートにはパインピングが施されていて、なかなかオシャレ。こうした落ち着いて室内は、家のインテリアから発想を受けているという。
こうしたインテリアは、過去に日産が掲げていた「モダンリビング」といったコンセプトに戻った印象だ。
そして、圧倒的な存在感を放っているのが、インパネまわり。運転席側のドアを開くと、目に飛び込んできたのが12.3インチのセンターディスプレイと7インチのメーターディスプレイ。とにかく、デカい。横幅は、センターコンソールを超えて助手席側近くまで伸びている。軽自動車ナンバー1の特大サイズだ。しかも、画面表示なども質感が高いものとなっていた。完全にクラスを超えた装備と言える。
コネクテッド、予防安全性能も大幅強化!
コネクテッド機能も進化した。大型ディスプレイを生かした軽初となるGoogleを搭載。GoogleマップやGoogle Play、Googleアシスタントなどの機能が使え、スマホとの連携も強化されている。
コネクテッドサービスも充実。緊急時のSOSコールはもちろん、ドライブレコーダーの画像をスマホから確認でき、思い出として保存できたり、ドラレコアプリで自宅に居ながら、クルマ周辺状況を確認する機能も用意された。こちらも、クラスを超えた装備といえる。
予防安全装備も進化した。新たに交差点の歩行者や対向・交差車両を検知し、衝突回避を支援する機能が加わった「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」、車線変更時の斜め後方の車両との接触回避をアシストする軽自動車初となる「インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)」、軽スーパーハイトワゴン初の「BSW(後側方車両検知警報)」、後退時に後方を横切ろうとする車両を検知すると警告音でドライバーに注意を促す「RCTA(後退時車両検知警報)」などを搭載。360°セーフティアシストを強化。
さらに、「インテリジェント アラウンドビューモニター」は、本来は見えない車体下の映像を生成する軽自動車初の「インビジブルフードビュー」、車両の周辺状況を3D映像でより直感的に確認可能な「3Dビュー」、交差点等で運転席から死角になる前方の左右が見えるようにサポートする「フロントワイドビュー」の3つの新しい表示機能を設定。クラストップレベルの予防安全性能を得ている。
運転席に座ってみると、リラックスする空間を目指したと言う通り、シートは柔らかめな座り心地。日産のゼログラビティシートが装備された。後席もゼログラビティシートとなり、座面を伸ばしより快適さを増した。
静粛性高し!
試乗した4代目新型ルークスのグレードは、ハイウェイスターGターボだ。エンジンに関しては、とくに説明が無かったので、従来のBR06-SM21型ターボで、最高出力64ps&最大トルク100Nmだと思われる。
コースインし、アクセルをグッと踏み込むと、ターボ車らしくグイグイと加速していく。従来、ほとんどのスーパーハイトワゴンは、全開加速時の車内はなかなか賑やになるのが普通。ところが、4代目新型ルークスの車内は、意外なほど静粛性が高い。ロードノイズなども適度に抑えられていて、助手席にいたスタッフとの会話も、とくに大きな声を出さなくてもよかった。
このように、静粛性を高めるために、4代目新型ルークスには、フロントガラスに遮音ガラスを採用。ドア下端シーリング、2層遮音シートなど、徹底した遮音構造となっている。
応答性に優れたハンドリング
加速を終えると、大きく回り込むようなカーブが待っていた。そのカーブに進入する前に、少々不安なことがあった。と、いうのは、撮影時に車両を動かすとき、据え切り操舵力がとても軽かったのだ。
わずかな力でクルンクルンとステアリングを回すことができた。非力な女性にとっては、ありがたいのだが、とても軽いステアリングは、カーブなどでは車両をコントロールすることが難しくなることが多い。
そのため、ちょっとやだなぁ・・・、と思いながらステアリング操作。すると、据え切りでは軽かったステアリングだったが、適度な重さになっていたのだ。
しかも、ステアリング操作に対する応答性も良好。重心高が高いスーパーハイトワゴンなのに、想像以上にキッチリと曲がる。こうしたハンドリングの良さは、進化した電動パワーステアリングや、剛性を20%アップしながら中空化し軽量化したフロントスタビライザーによるものだった。
しなやかな乗り心地を支える高応答ショックアブソーバー
そして、4代目新型ルークスの乗り心地。スーパーハイトワゴンは、背が高いため重心高が高い。操縦安定性と言う面では、デメリットしかないくらいだ。横転リスクがあるので、車体の傾きを抑えるためにサスペンションを硬めにしているケースが多い。当然、乗り心地は硬めになる。
ライバル車であるスペーシアやタント、先代ルークスもこうした傾向。人気ナンバー1のN-BOXのみ、やや柔らかめのサスペンションセッティングで乗り心地を重視したが、高速道路などでの操縦安定性が少し犠牲になっていた。乗り心地と操縦安定性は、二律背反するからだ。
先代ルークスも、マーケットから乗り心地が硬いという評価になっていたという。そのため、乗り心地と操縦安定性を両立させるため、4代目新型ルークスでは、高応答ショックアブソーバーを選択し、サスペンションゴムブッシュの前後方向硬さを-20%にするなどした。
その結果、4代目新型ルークスの乗り心地は、とてもしなやかで快適なものだった。硬めのサスペンションとなっているスーパーハイトワゴンでは、とくに低速域で小さな凹凸を通過するとゴツゴツとし乗り心地になるケースが多い。サスペンションが突っ張っている印象で、小さな凹凸を吸収できていないようだった。
だが、4代目新型ルークスは、ゴツゴツではなく、マイルドにトントンといった感じの乗り心地になっていた。この高応答ショックアブソーバーは、応答性のよいハンドリングにも貢献している。
上質な軽だが、唯一の懸念点は?
試乗前は、プラットフォームやパワトレインはキャリーオーバーなので、内外装の一新くらいかなぁ、と思っていた4代目新型ルークス。
ところが、ライバルを凌駕する走行性能に仕上がっていた。さらに、装備や室内の広さもクラストップレベル。まさに、スキ無し状態。内外装デザインさえ気に入れば、4代目新型ルークスはとても満足度の高いスーパーハイトワゴン軽自動車といえる。
ただ、現時点でとても心配な点がひとつある。それは、車両価格。日産によると160万円台から。と、いうものの、あれだけの豪華装備をフル装備したら、いったい車両価格はいくらになるのか? フィットやアクアといったコンパクトハイブリッドカーが買えるくらいになるのでは? と、思うほど。
そんな価格の心配はさておき、4代目新型ルークスは、日産が目指した「上質な軽」として十分な軽自動車だった。
<レポート:大岡智彦>
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