
国内ルノー販売の柱になれるか?
国内のルノー販売は、これまでカングーに大きく依存する状況が続いている。そのため、販売を支える第2のモデルの登場が期待されていた。こうした中、全世界的なSUVブームを背景に、国内販売で着実に存在感を高めている注目株がコンパクトSUVのルノー キャプチャーだ。
ルノー キャプチャーは2021年にフルモデルチェンジを行い、2代目へと進化した。このモデルから、ルノーと日産のアライアンスで開発されたプラットフォーム「CMF-B」を採用している。CMF-Bは、日産ではノートなどにも採用されている。
2代目キャプチャーは、デビュー時1.3Lターボエンジンのみの設定だった。しかし、2022年9月にはF1由来の技術を採用した1.6Lフルハイブリッドシステム「E-TECH」を追加。このE-TECHは、ルノー アルカナやルーテシアにも搭載され、高い評価を得ている。E-TECHの投入により、燃費性能に厳しい日本のユーザーにもアプローチできるようになった。
そんな2代目キャプチャーが、2025年6月に大幅なマイナーチェンジを実施した。試乗会場に並ぶ改良後モデルを見た瞬間、「フルモデルチェンジでは?」と思うほどの変貌ぶりだった。今回はマイナーチェンジしたキャプチャーを試乗を通して評価した。
マイナーチェンジで大きく変わったキャプチャーのデザイン

マイナーチェンジによって大きく変わったのはデザインだ。マイナーチェンジ前のキャプチャーは、アルカナやメガーヌと共通するCシェイプのヘッドライトが特徴で、ひと目でルノー車と分かる光のシグネチャーを備えていた。

しかし今回、その象徴的なCシェイプは廃され、薄型ヘッドライトへと変更された。さらに、ブランドロゴから着想を得たハーフダイヤモンド形状のLEDデイタイムランニングランプを採用し、新たなキャプチャーらしさを表現している。
キャプチャーは、欧州でも高い人気を誇るコンパクトSUVで、2020年には同セグメントの販売台数でトップを記録している。本来、好調なモデルのデザインをマイナーチェンジで大きく変更するケースは稀だ。その背景には、ルノーのデザイン責任者がジル・ヴィダル氏へ交代したことがあると考えられる。
2025年10月には、ルーテシアも大幅なデザイン変更を受けており、キャプチャーと共通する新デザインへと刷新された。今回のキャプチャーは、新たなルノーデザインの方向性を示すモデルといえる。

一方でデザインの評価は分かれそうだ。ボンネットフードを高く構え、ワイドなフロントフェイスとシャープなヘッドライトを組み合わせる手法は、近年のSUVデザインの定石ともいえる。迫力やスポーティさという点では、十分に魅力的な仕上がりだ。
水平基調のグリルなどはやや既視感があり、フォルクスワーゲン ティグアンを想起させる部分もある。従来のルノーが持っていた独自性という点では、やや物足りなさを感じる人もいるだろう。
もっとも、キャプチャーは新デザインへの移行期にあたるため、見慣れないことも影響している可能性がある。今後デザインが熟成されていけば、新たな「ルノーらしさ」として定着していくことに期待したい。

キャプチャーのインパネデザインは、基本的に大きな変更はない。

ただし、センターコンソール上部に10.4インチの縦型タッチスクリーンを採用した点がトピックだ。従来モデルと比べ、視認性や操作性は大きく向上している。

全体はオーソドックスな水平基調のデザインで、機能的にまとめられている。注目したいのは質感だ。試乗車のエスプリアルピーヌには、バイオスキンとファブリックのコンビシートが採用されており、BセグメントのコンパクトSUVとは思えない上質感がある。
さらに印象的なのが、色使いのセンスだ。ステアリングやインパネに施されたステッチは、ブルーとレッドの2色を組み合わせたもの。フランスのトリコロールをイメージしている。単色のステッチは一般的だが、2色使いは珍しい。しかも発色は控えめで、落ち着いた印象に仕上げられている点が秀逸だ。

加えて、助手席側ダッシュボードのエアコン吹き出し口下には、さりげなくフランス国旗のモチーフがあしらわれている。過度に主張しない演出が、フレンチブランドらしいセンスを感じさせる。
BセグメントのコンパクトSUVながら、キャプチャーは一味違うシックで大人びた空間に仕上がっている。
意外!? 実用性の高さも魅力のキャプチャー

キャプチャーのフロントシートはサイズに余裕があり、リラックスして座れる仕上がりだ。

後席も、全長4,240mmというコンパクトなボディながら、最大160mmのスライド機構を備える。最後端まで下げれば、膝まわりにも十分な余裕が確保されている。

一般的に、後席スペースを重視すると荷室容量が犠牲になりやすい。しかし、キャプチャーは荷室の広さも大きな魅力だ。マイルドハイブリッドモデルの荷室容量は536Lとクラストップレベル。E-TECHでも440Lと十分な容量を確保している。
参考までに、全長4,340mmのホンダ ヴェゼル e:HEVの荷室容量は335Lにとどまる。こうした点からも、キャプチャーの荷室の広さが際立っていることが分かる。
デザイン性だけでなく、実用性の高さもキャプチャーの大きな魅力だ。
モーター走行領域が拡大され燃費性能がアップしたE-TEC

キャプチャーには、2種類のパワートレインが用意される。F1由来の技術を採用したフルハイブリッド「E-TECH」と、価格を重視した12Vマイルドハイブリッドだ。
まず試乗したのは、フルハイブリッドE-TECHを搭載するエスプリアルピーヌ。このハイブリッドシステムは、非常にユニークだ。エンジン側に4速、モーター側に2速のギアを組み合わせた構造で、走行状況に応じて最適に変速する。変速パターンは12通りに及び、ドグクラッチによってダイレクトかつ高効率に動力を伝達する仕組みとなっている。
搭載される1.6Lエンジンの最高出力は94ps、駆動用モーターは49psを発生する。トータルで見ると自然吸気2.0Lクラスに相当するパワー感だ。ただし、最大トルク205N・mを発揮するモーターの特性により、低速域ではそれ以上に力強い加速が得られる。
実際に走り出すと、発進時はモーターのみでスムーズに加速する。アクセルレスポンスに優れ、静粛性も高い。走行状況に応じてモーター走行、ハイブリッド走行、エンジン走行を自動で切り替えるのが特徴だ。
市街地で多用する約40km/h以下では、モーター走行が主体となり、中速域では状況に応じてモーターとエンジンを使い分ける。さらに、高速域ではエンジン主体の走行へと移行する。なお、急加速時にはエンジンとモーターを併用し、力強い加速を実現する。
こうした特性により、低・中速域ではモーターの即応性を活かした鋭いレスポンスが魅力。一方で高速域では、エンジンの回転上昇とともに伸びのある加速が得られる。モーターとエンジンの長所をバランスよく引き出したハイブリッドシステムといえる。
また、マイナーチェンジにより制御も大幅に進化した。低速域でのモーター走行領域が拡大。EV走行の頻度と、速度域がともに向上している印象だ。また、変速もスムースになっていて、熟成が進んでいることを実感できた。
キャプチャーの駆動用バッテリー容量は1.2kWhと、ハイブリッド車としては大容量だ。これにより燃費性能も向上し、WLTCモード燃費は従来の22.8km/Lから23.3km/Lへと改善された。マイナーチェンジ直後には、輸入車SUVトップレベルの燃費性能を誇る。
さらに、制御の進化は走りの質感にも表れている。従来モデルではシフト時にややギクシャクした挙動が見られたが、改良後は極めてスムーズ。変速時の違和感やノイズも抑えられ、快適性は大きく向上している。
ターボの弱点を補う12Vマイルドハイブリッド
12Vマイルドハイブリッド搭載車は、1.3L直列4気筒ターボエンジンをベースとしている。最高出力158ps、最大トルク270N・mを発生する。
車両重量は1,330kgと軽量とはいえないが、動力性能は十分にパワフルだ。とくに中高速域での加速力は、E-TECH搭載車を大きく上回る。
12Vマイルドハイブリッドは、電装系の高電圧化が不要なため、コスト面で有利なシステムといえる。一方でモーター出力は5psと小さく、燃費性能や走行性能への寄与は限定的だ。それでもWLTCモード燃費は17.4km/Lと優秀な数値を実現している。なお、燃料はハイオク仕様となる。
このシステムは燃費以上に、走行性能への貢献が大きい。ターボエンジン特有の過給遅れ(ターボラグ)を、モーターが瞬時に補うことで、レスポンスの遅れを感じさせないスムーズで力強い加速を実現している。
キャプチャーは鋭いハンドリングが魅力
キャプチャーの乗り心地は、従来のフランス車に見られた柔らかさとはやや異なる。E-TECHモデルはフラットで引き締まった、やや硬めのセッティングだ。低速域では路面の凹凸をやや強めに伝える傾向があるが、60km/h前後を超えるとサスペンションのしなやかさが増し、快適性は向上する。
一般的には、車重の重いモデルの方が乗り心地に優れる傾向があるが、キャプチャーはマイルドハイブリッド車の方が、わずかに快適性で上回る印象だ。
試乗車のエスプリアルピーヌは、225/45R19という大径タイヤを装着している。この影響もあり、ハンドリングは非常に機敏だ。とくにE-TECHモデルは、後方に駆動用バッテリーを搭載することで前後重量バランスが最適化されており、重心も低い。その結果、SUVとは思えないほど軽快に向きを変える。
マイルドハイブリッド車は、車重の軽さもあり、より軽快で速さも感じられる仕上がりだ。いずれのモデルも、SUVでありながらスポーティな走りを実現している点は高く評価できる。
キャプチャーはデザイン・実用性・走りを高次元で両立した1台
従来、フランス車は個性的で趣味性の高いモデルというイメージが強かった。しかしキャプチャーは、デザイン性に加え、居住性や実用性、さらに燃費性能まで高いレベルでバランスしている。
SUVが主流となった現在の日本市場においても、キャプチャーは個性と実用性を両立した魅力的な選択肢だ。一般的なSUVとは異なる価値を求めるユーザーにとって、魅力的な一台となるだろう。
リセールバリューは課題も、中古車としては狙い目
中古車マーケットに詳しい人なら、気になるのがキャプチャーのリセールバリュー。マイナーチェンジ前のモデルをベースに、キャプチャーのリセールバリューを調べてみた。
*中古車相場は、2026年4月調べ
- ルノー キャプチャー E-TECフルハイブリッド(2023年式)中古車相場:約210~240万円
- 中古車相場に対する当時の新車価格比:約54~62%
<参考>
トヨタ ヤリスクロスハイブリッドZ(FF、2023年式)
- 中古車相場:約230~290万円
- 中古車相場に対する当時の新車価格比:約88~112%
キャプチャー(2023年式)の新車価格比は約54~62%と、3年落ちとしてはやや低い水準にある。一般的に、この数値が低いほどリセールバリューは低くなるため、実際の買取価格も新車価格の半分前後になる可能性が高い。
一方で、この特性は中古車購入時に大きなメリットとなる。比較的手頃な価格で高年式車を狙える点は、とても魅力的だ。
参考として、同クラスのトヨタ ヤリスクロスは非常に高いリセールバリューを維持しており、新車価格比は約88~112%に達する。人気の高さから、中古車価格が新車価格と同等、あるいは上回るケースも見られる。
このように、リセールバリューの面ではキャプチャーはヤリスクロスに及ばない。しかし、長期間の保有を前提とすれば、その影響は相対的に小さくなる。
また、キャプチャーはデザイン性や走行性能、実用性といった点で独自の魅力を備えている。こうした価値を重視するユーザーにとっては、リセールバリューだけでは測れない満足度が得られるモデルといえるだろう。
ルノー キャプチャーのグレード選び
キャプチャーのグレードは、エントリーの「テクノ マイルドハイブリッド」、上級の「エスプリ アルピーヌ マイルドハイブリッド」、そして「エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECH」の3種類が用意される。
選択のポイントとなるのは、パワートレインをE-TECHにするか、マイルドハイブリッドにするかという点だ。どちらも魅力があり一概に優劣はつけにくいが、エスプリ アルピーヌ同士で比較すると、マイルドハイブリッドとフルハイブリッドE-TECHの価格差は約46万円となる。予算を重視する場合は、マイルドハイブリッドが現実的な選択肢となる。
一方、エントリーグレードのテクノ マイルドハイブリッドは、エスプリ アルピーヌ マイルドハイブリッドに対して約25万円安価な設定だ。ただし、エスプリアルピーヌ専用の内外装や装備は省かれており、前席シートヒーターや運転席電動シートなどの快適装備も非装備となる。また、ホイールサイズも19インチから18インチへと変更される。
こうした装備内容を踏まえると、キャプチャーの魅力をより高いレベルで味わうのであれば、エスプリ アルピーヌ系グレードの選択がお勧めといえる。
<レポート:大岡智彦>
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ルノー キャプチャー新車価格
- テクノ マイルドハイブリッド 3,890,000円
- エスプリ アルピーヌ マイルドハイブリッド 4,140,000円
- エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TEC 4,599,000円
ルノー キャプチャー燃費、ボディサイズなどスペック
| 代表グレード | キャプチャー エスプリアルピーヌフルハイブリッドE-TEC |
| 全長×全幅×全高 | 4,240mm × 1,795mm × 1,590mm |
| ホイールベース | 2,640mm |
| トレッド(前/後) | 1,555mm / 1,540mm |
| 最低地上高 | 172.5mm |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 車両重量 | 1,420kg |
| 荷室容量 | 440L |
| 駆動方式 | FF(前輪駆動) |
| トランスミッション | 電子制御ドッグクラッチマルチモードAT |
| タイヤサイズ(前後) | 225/45R19 |
| エンジン型式 | H4M |
| エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブ |
| 総排気量 | 1,597cc |
| 最高出力 | 69kW[94ps]/5,600rpm |
| 最大トルク | 148N・m/3,600rpm |
| メインモーター型式 | 5DH |
| モーター最高出力 | 36kW/49PS |
| モーター最大トルク | 205N・m |
| サブモーター型式 | 3DA |
| サブモーター最高出力 | 15kW/20PS |
| サブモーター最大トルク | 50N・m |
| 電力用主電池 | リチウムイオン電池 |
| WLTCモード燃費 | 23.3km/L |
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