街乗りからサーキットまで楽しめる万能スポーツセダンWRX S4、新旧モデルを徹底比較
スバルのスポーツセダンであるWRX S4(VAG型)がフルモデルチェンジし2代目WRX S4(VBH型)となった。WRX S4のミッションは、CVTを採用。これは、WRX S4のパフォーマンスをより多くの人に楽しんでもらえるためのもの。
また、WRX S4は優れた走行性能だけでなく、4ドアセダンとしての実用性と快適性も兼ね備えているのも特徴。さらに、卓越した予防安全装備「新世代アイサイト」や、渋滞時にハンズオフを可能とする運転支援機能「アイサイトX」も用意。スポーツ走行から、日々の移動まで安心して愉しめるモデルとなっている。
そんなWRX S4は、2代目になりエンジンは2.0Lから2.4Lへ排気量をアップ。また、プラットフォーム(車台)も最新のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用。
初代WRX S4(VAG型)に対し、2代目WRX S4(VBH型)は何がどれだけ進化したのか? 走行性能や燃費、安全装備など徹底比較した。後悔・失敗しないWRX S4選びの参考にしてほしい。
スバルWRX S4の歴史・概要
より扱いやすく走りも楽しいスポーツセダンへ
初代スバルWRX S4(VAG型)は、2014年に投入された。従来、インプレッサWRXと呼ばれていたが、このモデルからWRXとなっている。
車名の「S4」には、“Sports performance"、“Safety performance"、“Smartdriving"、“Sophisticated feel"という4つの意味を込められた。
WRXには、S4の他にSTIと呼ばれるピュアスポーツモデルがある。しかし、ミッションがMTのみの設定。そのため、家族で1台のクルマを使うが免許の関係でMT車が乗れないなど、STIが欲しくても購入できない顧客もいた。また、STIほどの優れた走行性能より、乗り心地など快適性を重視したいというニーズもあった。
こうした顧客のために用意されたのが、WRX S4なのだ。ミッションはCVTなので、乗り手を選ばない。また、STIより乗り心地など快適性を重視された。快適な移動からスポーツドライビングまで、より多くの人が満足できるスポーツセダンがWRX S4なのだ。
2代目WRX S4(VBH型)は、2021年11月に登場した。先代モデルと同じく、日常使いでも不満なく使えるスポーツセダンとしての価値を磨いている。
新型WRXS4は、スバル最新のプラットフォームであるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用し、走行性能を大幅にアップ。エンジンの排気量もFA20型2.0Lターボから、FA24型2.4Lターボへアップした。最高出力は、燃費や排ガスの問題もあり300psから275psへとダウンしているものの、非常に扱いやすくなっている。
VTD-AWDも継続採用されている。制御は新開発され、初代WRX S4とは全く違うトラクション性能を発揮している。よりコントローラブルになり、走る楽しさも大幅にアップした。
ただ、新旧WRX S4共に、電動化技術が使われていない。燃費値を知らずに購入すると、後々後悔、もしくは失敗したと感じるかもしれない。
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コンセプト&エクステリアデザインを比較評価
大人っぽい初代。分かりやすいアグレッシブなデザインの2代目
初代スバルWRX S4(VAG型)のコンセプトは「Pure Power in Your Control」だ。スポーツ性能を中心として、安全性能や環境性能、上質な乗り心地などが向上している。ハイパフォーマンスカーでありながら、乗り手を選ばないスバルの万能型スポーツセダン像を追求した。
初代WRX S4は、スバルのデザインアイコンであるヘキサゴングリルを中心に、スポーツセダンらしいアグレッシブな顔にまとめられている。彫りも深く押出し感もある。ボンネット上に大きく開いたインタークラー用ダクトも、スバルスポーツモデルの象徴だ。そして、ブリスターフェンダー的なフロントフェンダーが、さらに迫力をアップさせている。
リヤビューもなかなかクルマ好きのツボを押さえたデザインだ。ディフューザー一体型のリヤバンパーで、レーシーなリヤビューを創り出している。
2代目WRX S4は「Fun to Driveを極める」が開発テーマだ。
フロントフェイスは、ワゴンモデルのレヴォーグとほぼ同じだ。ヘキサゴングリルを中心にエッジの効いたラインで、彫りの深い顔にまとめられている。ボトム部のデザインは、レヴォーグとやや異なる。
サイドビューは、樹脂製のフェンダーガードのようなデザインが施された空力テクスチャを装着し、優れた空力特性を得た。
リヤビューは、初代のディフューザー風のデザインをさらに強烈にした。マフラーも左右4本出しだ。やや、やり過ぎた感もあるが、レーシーなテイストをもつ。デザインコンセプトは「Aggressive」である。
2代目WRX S4(VBH型)のデザインは、デザインテーマ通りかなりアグレッシブだ。中高年のユーザー的には、少々派手さがあり敬遠されるかもしれないが、分かりやすいデザインである。
初代WRX S4は大人っぽくまとめられている。2014年登場モデルだが、古さは感じさせない。デザイン面では、後悔することはないだろう。
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インテリア&安全装備を比較評価
先進技術で圧倒する2代目
スバルWRX S4の初代と2代目のインパネデザインを比べると、一目瞭然で2代目WRX S4が勝る。
2代目には、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムや12.3インチフル液晶メーターなど、視認性や先進性に優れた装備が用意されている。
対する初代WRX S4はオーソドックでシンプルなデザインながら、先進性という部分では2代目に敵わない。
初代の後期に設定されたSTIスポーツは、レカロシートなども装備され、質感も高く満足できるレベルに達している。2代目もレカロシート仕様がSTIスポーツにオプション設定された。
安全装備は、もはや比べ物にならない。2014年に登場した初代WRX S4が勝る部分は皆無だ。これは、技術の進化なので仕方のないこと。ただ、初代もアイサイトver.3なので、今でも十分なレベルの予防安全装備と運転支援機能をもつ。
2代目WRX S4の予防安全装備である新世代アイサイトは、360°センシングを実現した。自動ブレーキは、歩行者と自転車に対応している。交差点での右左折時や、見通しの悪い場所での出会い頭の衝突回避も支援する。
さらにアイサイトXは、システムが条件(高速道路上で50km/h以下など)を満たしたと判断した場合、ドライバーはハンズオフが可能。ドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる。ちょっとした自動運転のような感覚がある運転支援機能だ。
<レポート:大岡智彦>
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