初代スズキ アルト SS40V型
■「47万円アルト」ソイツは突然やってきた!
「アルト、47万円」。昭和54年デビュー当時の広告に大きく書かれた初代アルトの全国統一47万円という低価格には大いに驚かされたものだ。今でも「アルト」というとこのモデルが思い浮かぶ人も多いはず。4ナンバー(貨物登録)のボンネット型バンを自家用に使うことで、低価格&低諸費用を実現させるという画期的なクルマだった。また、懐かしい「ポンポン」という可愛らしいエグゾーストノートを奏でる2サイクル3気筒T5B型539cc・28馬力エンジンの、ほんのりとオイルの焼ける匂いも30代以上の方の記憶に新しいところだろう。そんな初代アルトが、突然我が家にやってきたのだ!
■奇跡の個体「2オーナー・走行約4万キロ」
このアルト、私で3オーナー目である。最初のオーナーは新車から約25年に渡り大切に乗ってきた。しかし高齢を理由に車を降りたのだという。2006年5月、解体処分されそうになったところを、幸運にも次のオーナーに救出されたのだった。
2人目のオーナーは友人の自動車整備士。通勤のアシとして毎日使用していた。仕事柄、整備もキッチリと行き届いており機関の調子はすこぶる好調だ。しかしもともと「ちょっと変わった」(?)アシ車として買っただけだったので、車検満了を迎えたら「処分」と考えていたよう。26年落ちアルトは、再び解体の危機にさらされたのだった!
「ええっ!?MOTTAINAI!」
2人目のオーナーは友人の自動車整備士。通勤のアシとして毎日使用していた。仕事柄、整備もキッチリと行き届いており機関の調子はすこぶる好調だ。しかしもともと「ちょっと変わった」(?)アシ車として買っただけだったので、車検満了を迎えたら「処分」と考えていたよう。26年落ちアルトは、再び解体の危機にさらされたのだった!
「ええっ!?MOTTAINAI!」
■私が救わずに誰が救うのだ!?
アルトは年式的に言うと旧車と呼ばれていいクルマ。しかし残念ながら当時を知っている人が懐かしむ、という程度のレベルであって、高い相場が維持されているというワケではない。しかも今回の個体は車検切れ直前ということもあって、なかなか引き取り手が見つからないという。えー、このままじゃ希少な初代アルトが解体!? 私が救わずに誰が救うのだ。結局、ハナシを聞いていた私が救出するハメになってしまった・・・。
ベージュ色のオシャレな(?)インテリア。材質は安価なビニールレザーが使用されている
4ナンバー貨物車なので直角な背もたれとなる。乗車定員は4名だが、ゆとりは少ない。
最大積載量200kgのラゲッジスペース リヤシートを倒すことでさらに広い空間が確保される。
■2サイクルを堪能するはずが?
友人にお金を払い(正確には物々交換)、引き取ったアルトをチェックする。車体のアチコチに最初のオーナーが付けたらしき傷凹みが多数ある。ただし幸いにもずっと乗られていたクルマなので、サビの発生は少ない。2オーナー車で走行距離はわずか4万3000kmだ(おそらく実走行)。
さて、実際にエンジンを掛けてみる。チョークを引いて、軽くアクセルをあおってやると1発で掛かった。すこぶる調子は良い・・・が? 2サイクル特有の「ポンポン」音がしない、ボンネットを明けてみると、排気量543ccのF5A型「4サイクル」エンジンが載っている。ん、4スト?
車検証の初年度登録を確認すると昭和57年式。外観は丸型2灯のヘッドライトを採用しながらも、昭和56年のマイナーチェンジでエンジンが変わった後のモデルだったのだ。2サイクルの「ポンポン」音が味わえなかったのがチョット残念だが、慣れていない人には4サイクルのほうが乗りやすく扱いやすい。
さて、実際にエンジンを掛けてみる。チョークを引いて、軽くアクセルをあおってやると1発で掛かった。すこぶる調子は良い・・・が? 2サイクル特有の「ポンポン」音がしない、ボンネットを明けてみると、排気量543ccのF5A型「4サイクル」エンジンが載っている。ん、4スト?
車検証の初年度登録を確認すると昭和57年式。外観は丸型2灯のヘッドライトを採用しながらも、昭和56年のマイナーチェンジでエンジンが変わった後のモデルだったのだ。2サイクルの「ポンポン」音が味わえなかったのがチョット残念だが、慣れていない人には4サイクルのほうが乗りやすく扱いやすい。
2サイクルエンジンじゃない・・・。4サイクル3気筒水冷F5A型エンジン 543cc 28馬力
さて、いよいよドライブに出かけてみよう。運転席に座ってみると、思いのほか(あくまでも「思いのほか」)広い足元に驚かされる。限られたスペースを最大限に活用しており、足元にオフセットするフロントのタイヤハウスが気になるが、運転しにくいということはない。
4サイクル550ccエンジンは26年経過してもまだまだ現役。アイドリングも静かに安定しており、エアコンなど余計な(?)装備がない分エンジンに掛かる負担も少ないからだろう。特にもたつくこともなく、街中では交通の流れに置いていかれることもない。
ただしシフトレバーブッシュがヘタっているためか、シフトチェンジに少々苦戦。たまにシフトを入れ間違えそうになる。確かに新車からの経過年数を考えれば、ゴム部品が劣化していないほうが不思議なくらいなので、まあ当たり前のヘタリ方か。気にしない気にしない・・・(この手のクルマに乗り慣れると、いつしか誰でもこうなるんです)。
独特のシフト感覚にも慣れてきたところで、一路高速道路へ。実は引き取り先が遠方だったので、高速を使わざるを得なかったのです。大丈夫かなあ。
4サイクル550ccエンジンは26年経過してもまだまだ現役。アイドリングも静かに安定しており、エアコンなど余計な(?)装備がない分エンジンに掛かる負担も少ないからだろう。特にもたつくこともなく、街中では交通の流れに置いていかれることもない。
ただしシフトレバーブッシュがヘタっているためか、シフトチェンジに少々苦戦。たまにシフトを入れ間違えそうになる。確かに新車からの経過年数を考えれば、ゴム部品が劣化していないほうが不思議なくらいなので、まあ当たり前のヘタリ方か。気にしない気にしない・・・(この手のクルマに乗り慣れると、いつしか誰でもこうなるんです)。
独特のシフト感覚にも慣れてきたところで、一路高速道路へ。実は引き取り先が遠方だったので、高速を使わざるを得なかったのです。大丈夫かなあ。
■【初代アルト・試乗インプレッション】「あえて」高速道路を走ってみると
550kg程度しかない軽い重量のおかげもあってか、28馬力でも軽快に合流レーンを加速していく。4速MTなので高速走行は不向きのようにも思っていたが、あっという間に制限速度まで達した。タイヤは10インチ、しかも当時モノ(!)だったので、高速走行には少々厳しかった。無理をせず、基本は一番左のレーンで定速運転(写真は真ん中レーン走ってるケド)。
細いタイヤサイズだったが、直進安定性は悪くはない。ホイールベースは2150mm。全長3m少々のクルマとしては長いんだなあ。そんなコトを感じながら追い越レーンを走行していると、時折「キンコンキンコン」というチャイム音が車内に響き渡った。現代のクルマからは無くなってしまった、懐かしい装備の速度警告音だ。しかも音量が妙にデカイ。
細いタイヤサイズだったが、直進安定性は悪くはない。ホイールベースは2150mm。全長3m少々のクルマとしては長いんだなあ。そんなコトを感じながら追い越レーンを走行していると、時折「キンコンキンコン」というチャイム音が車内に響き渡った。現代のクルマからは無くなってしまった、懐かしい装備の速度警告音だ。しかも音量が妙にデカイ。
■【初代アルト・試乗インプレッション】乗りやすい!
しかし、ふつーに高速を流していても、地味なカラーリングゆえかあまり注目されない。まあそんなものかと思ってサービスエリアに入ったら一転、中年のオジサンの視線を独り占めしてしまった。う、嬉しくないぞ。ガソリンスタンドのオジサンも「大事に乗ってますねえ♪」となんだか妙にうれしそうに声をかけてくる。ちなみに女性の注目率はゼロ(ダーワ総研調べ)。当たり前か。
結論、初代アルトはとても乗りやすいクルマだった。現行の軽自動車と比較すれば、もちろんエンジン性能や室内空間、安全性に至るまですべてにおいて負けている。ただし、旧車独特のボディの味わい(ユルさとも言う)だけは、イマドキのクルマでは再現することは出来ない! やせ我慢じゃなくてね。
もっとずっと古い2スト360ccの軽自動車よりは部品も手に入りやすく、同時代の他のモデルからの共有なども期待できる。交通の流れにのれるくらいの性能もあるし。とはいえ、実際に所有するにはそれなりの覚悟が必要になるだろう。年式的にサビが進んでいる個体も多いので、ベース車選びはチェックが必要だ!・・・って、買わないかふつう。
■初代スズキ アルト SS40V型 新車時のスペック
車名・グレード | スズキ アルト MS-C(4速MT)[FF] |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3195×1395×1335mm |
ホイールベース[mm] | 2150mm |
車両重量[kg] | 545kg |
総排気量[cc] | 543cc |
最高出力[ps/rpm] | 28ps/6000rpm |
最大トルク[kg-m/rpm] | 4.2kg-m/3500rpm |
燃料消費率(km/l)(60km/h時定地走行テスト) | 28.3km/L |
定員[人] | 4人 |
(レポート:ダーワ教授)
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