ダイハツ ムーヴ新車情報・購入ガイドの目次
- 新型ムーヴ、大幅に失ったシェアを取り戻すことはできるのか?
- 全車スライドドアという挑戦。得るものと失うものとは?
- カスタムは役割を終えた?
- 大人っぽく上質感のある内外装デザイン
- プラットフォームとパワートレインは、キャンバスと共通。電動化は見送られたが・・・
- 高性能化された「スマアシ」。そろそろ、標準装備化を求めたいブラインドスポットモニター
- 新型ムーヴのグレード選び。お勧めグレードは、意外とお買い得なターボ車のRS
- 標準装備が充実のRSは、意外とお買い得設定?
- 自然吸気エンジン車のお勧めがGグレードで、複数のセットオプションが必須
- 新型ダイハツ ムーヴ(LA850系)新車価格
- 新型ダイハツ ムーヴ(LA850系)燃費、ボディサイズなどスペック
新型ムーヴ、大幅に失ったシェアを取り戻すことはできるのか?
ダイハツは、ハイトワゴン軽自動車である「ムーヴ」をフルモデルチェンジし発売を開始した。このフルモデルチェンジで、新型ムーヴ(LA850系)は7代目となった。
この新型ムーヴ(LA850系)は、約11年振りのフルモデルチェンジ。さらに、ダイハツにとっては、認証不正以降約3年振りの新型車となった。
ダイハツといえば、認証不正前で10年前である2014年度の軽四輪乗用車シェアは31.6%と軽ナンバー1シェアを誇っていたメーカー。しかし、認証不正後で直近2024年度のシェアは23.1%となった。大幅にシェアを下げ2024年度ではホンダ(シェア20.5%)にも肉薄されている状態となっている。
こうした状況下で、主力車種ムーヴのフルモデルチェンジは、失ったシェアを取り戻すための重要な車種といえる。
全車スライドドアという挑戦。得るものと失うものとは?
今回フルモデルチェンジした新型ムーヴ(LA850系)は、チャレンジと割り切りが入り混じったように見える。
チャレンジとは、従来型ムーヴのヒンジ式ドアから、全車スライドドアに変更したことだ。これは、スーパーハイトワゴン軽自動車人気が高まり、軽乗用のスライドドア比率が約60%にもなっていることを受けての選択だ。
すでに、ダイハツは、2016年にハイトワゴンのスライドドア車である初代ムーヴキャンバスを投入済み。2022年には2代目が登場し、ダイハツにはハイトワゴンのスライドドア車が普及するという手応えがあったのだろう。
スライドドア車のメリットは、小さな子供から高齢者まで、すべての年齢層に乗り降りのしやすさを提供できる。日本特有の狭い駐車場で、隣のクルマにドアパンチするリスクも無くなる。こうしたメリットがあり、スーパーハイトワゴンは大ヒットした。
しかし、スライドドア車とすることによるデメリットもある。それは、燃費と価格だ。
スライドドア車は、メカニズムの関係で車重が重くなる。軽自動車は、わずか660㏄という小さなエンジンのため、車重増にセンシティブに反応し、燃費が悪化する。
さらに、部品点数が増え車両価格もアップ。「軽自動車は生活の足」的、価格重視のユーザーには受け入れてもらえない可能性がアップする。とくに、ムーヴのようなハイト系は、価格重視の顧客が一定数いるからだ。
こうした価格重視の顧客用に、ダイハツはエントリーグレードの「L」を1,358,500円というリーズナブルな価格設定にしたという。しかし、先代ムーヴ(LA150系)のエントリーグレード「L」の価格は1,135,200円。約22万円もの価格差がある。車両の進化分もあるとはいえ、この差は大きい。この価格差を埋めるヒンジ式ドアモデルが、今後投入されるのにも注目したい。
カスタムは役割を終えた?
そして、大胆な割り切りも注目ポイントのひとつ。新型ムーヴでは、従来モデルにあった人気グレード「カスタム」が存在しない。
初代ムーヴに初めて設定されたカスタムグレードは大ヒット。他メーカーがこうした手法に追随。カスタムというグレード名も他メーカーでも使われるようになったほど。新型ムーヴでは、グレードを減らしコスト低減を狙ったとも思える割り切りようだ。
だが、ダイハツによるとカスタムを用意しなかったのには、理由があった。それは、顧客の変化だ。従来、カスタムと基準車は顧客層が明確に異なっていた。基準車は、ファミリー系もしくは子離れ層。カスタムは、若者もしくは若年ファミリーといったユーザーが主流。
しかし、現在は子離れ層の顧客が中心となりニーズが異なってきたという。さらに、同じハイトワゴンのスライドドア車であるムーヴキャンバスもあり、他の車種でも顧客ニーズの多様化にも対応できることも理由のひとつだ。
カスタム系好きの顧客には、オプションの「アナザースタイル」で対応
ただ、そうはいっても歴史ある「カスタム」を完全に無くしてしまうほど、ダイハツは割り切れなかった。
「アナザースタイル」と呼ばれるメーカーオプションとディーラーオプションを組み合わせた仕様を用意。従来のカスタムに相当するダークメッキを基調とし、スポーティさを演出した「ダンディスポーツスタイル」を設定。カッパー色の加飾を基調とし、大人の上品・上質さを強化した「ノーブルシックスタイル」を設定している。
より個性的な仕様を求める顧客からは、オプション設定とすることで、メーカー、ディーラーそれぞれしっかりと収益につながる仕様としている。
大人っぽく上質感のある内外装デザイン
そんな新型ムーヴのデザインコンセプト「ムーヴらしい“動く姿が美しい”端正で凛々しいデザイン」とした。従来のムーヴ基準車は、どちらかというと女性的で優しいフェイスデザインだった。だが、新型ムーヴでは、グッと睨みの効いた迫力系フェイスとなった。カスタム系に近いデザインだ。カスタムが無くなったというより、従来の女性的な基準車が無くなったというイメージだ。
インパネデザインは、水平基調でワイドさを強調。シンプルにまとめられていて、子離れ層を意識した大人っぽくまとめられている。上品で落ち着いた色合いや素材で“仕立ての良さ”を表現した。
プラットフォームとパワートレインは、キャンバスと共通。電動化は見送られたが・・・
新型ムーヴのプラットフォームとパワートレインは、先に販売されているムーヴキャンバスと共通。プラットフォームは、DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)を採用している。
エンジンは、KF型直3DOHC自然吸気エンジンとターボエンジンの2タイプを用意。自然吸気エンジンは52㎰&60Nm、ターボエンジンは64㎰&100Nmをそれぞれアプトプットする。
ミッションは、ターボ車にスプリットギヤを採用したD-CVTを採用。ワイドな変速比幅になり、より効率的でダイレクトはフィールがウリだ。
新型ムーブの燃費は、自然吸気エンジンが22.6㎞/L(FF、WLTCモード)。ターボエンジンが21.5㎞/L(FF、WLTCモード)となった。
ダイハツは、良品廉価を掲げているため、マイルドハイブリッドシステムなどは採用していない。ただ、日産が軽EVであるサクラを投入、中国のBYDが軽EVを日本に投入すると発表していることもあり、どこまでダイハツが電動化無しで戦うのかも注目ポイントだ。
プラットフォームとパワートレインは、ムーヴキャンバスと共通だが、サスペンションなどはムーヴ専用にセッティング。ムーヴキャンバスよりも、より操縦安定性を高めたチューニングが施されている。
高性能化された「スマアシ」。そろそろ、標準装備化を求めたいブラインドスポットモニター
予防安全装備は、7種類の機能を持つ「スマートアシスト」を装備。最新のステレオカメラの搭載により、衝突警報機能や衝突回避支援ブレーキ機能を夜間歩行者検知と追従二輪車検知に対応。さらに、検知距離、対応速度の向上を実現した。
また、予防安全装備や運転支援装備をディーラーオプションとして多数採用。BSM(ブラインドスポットモニター)は、車線変更時等に離接する車線内に接近してくる後方車両を検知。ピラーに設置したインジケーターや警報音でドライバーに通知し衝突回避を補助する機能。
日々使う機能なので、ローテク技術になっていることもあり、もはや標準装備化すべき機能だ。その他、プラスサポート(急アクセル時加速抑制)システムもディーラーオプションとして用意した。
コネクティッド系では、ディスプレイオーディオなどを装備すると「ダイハツコネクト」が使用可能になる。ダイハツコネクトには、「つないでサポート」が使用可能。エアバッグが展開するような事故に合うと、自動で事故・故障センターに通報。迅速な対応/アドバイスを行ってくれる。
新型ムーヴのグレード選び。お勧めグレードは、意外とお買い得なターボ車のRS
新型ムーヴのグレードは、自然吸気エンジン車が3グレード。ターボエンジン車が1グレードの計4グレードとなった。それぞれのグレードに4WDが設定されている。
新型ムーヴのグレード選びは、まずはエンジンの選択から。自然吸気かターボかという選択になる。燃費差は1.1㎞/L(FF,WLTCモード)と小さいのでお勧めはターボエンジン。
それは、新型ムーヴは、両側スライドドアを装備しているため、自然吸気のGグレード(FF)で860㎏もあり車重が重いからだ。ほぼ、同じ仕様のムーヴキャンバスでも、自然吸気エンジン車は急な登り坂や高速道路などでは、やや非力に感じることがあった。
逆にターボ車は、力強さがあり不満がなかったことから、新型ムーヴでもターボ車がお勧めだ。ちなみに、ライバル車であり、ヒンジ式ドアのワゴンR FXグレード(FF)の車重は750㎏しかなく、新型ムーヴとは110㎏もの車重差がある。
標準装備が充実のRSは、意外とお買い得設定?
また、ターボ車のRSグレードは、装備も充実している。両側パワースライドドアが標準装備されているのは、RSのみ。他のグレードは、GとXはオプション、Lは装備不可となっている。
さらに、純正ナビ装着用アップグレードパック、15インチアルミホイール、スポーティサスペンション、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)、LKC(レーンキープコントロール)、CTA(コーナリングトレースアシスト)、D-CVTなどが標準装備されている。
ターボ車のRSと自然吸気車の最上級グレードGの価格差は、約18万円。ターボエンジンで、上記の装備がプラスされていることを考えると、むしろお買い得感もある。予算に余裕があるのであれば、RSがお勧めだ。
さらに、オプションとして必須ともいえるのが、9インチスマホ連携ディスプレイオーディオとといったところ。こうしたオプションをプラスすると、200万円を超えてくるので安価なクルマではない。
自然吸気エンジン車のお勧めがGグレードで、複数のセットオプションが必須
また、自然吸気エンジン車では、最上級グレードのGがお勧め。このGグレードに、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)、LKC(レーンキープコントロール)、CTA(コーナリングトレースアシスト)などの機能がプラスされるスマートクルーズパック、9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ、右側パワースライドドアをプラス装備すると、十分に満足できる仕様になる。ただし、Gグレードでもこうした装備をプラスすると200万前後の価格になる。
ダイハツは、新型ムーヴをスライドドアモデルでも、お求めやすい価格としたとしている。だが、セットオプションが多いため、やや高価傾向。新型ムーヴは、軽自動車は「庶民の生活の足」というタイプのモデルではないことが分かる。新型ムーヴは、充実装備が欲しいダウンサイザー向け軽自動車といえるだろう。
<レポート:編集部>
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新型ダイハツ ムーヴ(LA850系)新車価格
・L FF 1,358,500円/4WD 1,485,000円
・X FF 1,490,500円/4WD 1,617,000円
・G FF 1,716,000円/4WD 1,842,500円
・RS FF 1,897,500円/4WD 2,024,000円
新型ダイハツ ムーヴ(LA850系)燃費、ボディサイズなどスペック
全長×全幅×全高 3,395mm×1,475mm×1,655mm
ホイールベース 2,460mm
トレッド(前/後) 1,300mm/1,295mm
最低地上高 150mm
車両重量 860kg
エンジン型式・タイプ KF型 直3DOHC
総排気量 658cc
最高出力 38kW(52ps)/6,900rpm
最大トルク 60N・m(6.1)kgf-m/3,600rpm
燃費(WLTCモード) 22.6㎞/L
駆動方式 FF(前輪駆動)
ミッション CVT
サスペンション 前:ストラット、後:トーションビーム式
タイヤサイズ 155/65R14
最小回転半径 4.4m
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