もしもの時にあれば便利!? SUVの3列シート車が根強い人気
SUVの中でも6〜7人乗りの3列シートを持つモデルは根強い人気を得ている。実用性面、特に3列目シートの広さでは、ミニバンには及ばないものの、もしものとき、短距離で6人以上の乗車ができれば便利と考えるユーザーからの高い支持を得ている。また、2列目シートをキャプテンシートにすれば、とてもラグジュアリーな空間になることも人気の要因だ。
そこで、今回はマツダの国内フラッグシップSUVであるKL系CX-80と、ラグジュアリーSUV感を大幅に増した日産のT33型エクストレイルを比較、評価した。購入後に失敗・後悔しないためのクルマ選びに役立ててほしい。
マツダCX-80(KL系)の特徴
2024年10月10日に販売を開始したCX-80は、CX-60に続く国内ラージ商品群の第2弾モデルだ。マツダの国内フラッグシップSUVとなる。
CX-80は、6人乗りと7人乗り3列シートレイアウトを実現したSUV。車両本体価格は、XD 2WD車で394万3,500円から、PHEVプレミアムスポーツ/プレミアムモダン4WD車では712万2,500円と非常に幅広い。
CX-80に搭載しているパワートレインは、以下3種類だ。
3.3L直6ディーゼルターボ(XDグレード)
- 最高出力:231ps
- 最大トルク:500Nm
- トランスミッション:トルクコンバーターレス8速AT
- 燃費(WLTCモード):16.8〜18.3km/L
3.3L直6ディーゼルターボ+マイルドハイブリッド(XD-ハイブリッド)
- エンジン最高出力:254ps
- エンジン最大トルク:550Nm
- モーター最高出力:16.3ps
- モーター最大トルク:153Nm
- トランスミッション:トルクコンバーターレス8速AT
- 燃費(WLTCモード):19.0〜19.2km/L
2.5L直列4気筒ガソリン+PHEV
- エンジン最高出力:188ps
- エンジン最大トルク:250Nm
- モーター最高出力:175ps
- モーター最大トルク:270Nm
- トランスミッション:トルクコンバーターレス8速AT
- 燃費(WLTCモード):12.9km/L
- EV走行可能距離(満充電時):最大67km
駆動方式は4WDが中心だが、XDグレードのみ2WD(FR)も選択できる。乗車定員は6人乗りと7人乗りを設定し、上級グレードはラグジュアリーSUVとして6人乗りのみとなる。
4代目日産エクストレイル(T33型)の特徴
2022年7月、4代目にあたるT33型エクストレイルが登場した。日産のミドルサイズSUV、エクストレイルがフルモデルチェンジを行ったものだ。
エクストレイルパワートレインは、高出力モーターを搭載した第2世代「e-POWER」を採用した。発電用エンジンには、日産が世界で初めて量産化に成功した可変圧縮比エンジン「VC ターボ」を組み合わせた。力強く、なめらかな走りを実現する。常用域から加速時までエンジン回転数を抑え、圧倒的な静粛性も両立している。
駆動方式は2WD(FF)に加えて、e-4ORCEという電動電動駆動四輪制御技術を採用した。前後2基の高出力モーターと左右のブレーキを統合制御し、四輪の駆動力を最適化する。雪道や山道での高い走破性を発揮する。市街地走行などの日常使いでも、あらゆるシーンや路面状況でワクワクする走り、そして乗る人すべてに快適な乗り心地を提供する。
エクストレイルの安全装備は、360°全ての方向の安全を確保する「360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)」を採用する。新たに追加した「SOSコール」や、対向車や先行車の有無に応じてハイビームの照射位置をコントロールする「アダプティブLEDヘッドライトシステム」をはじめ、多彩な安全技術がさまざまなシーンで安心なドライブをサポートする。
全車e-POWER搭載となったT33型エクストレイルだが、Xグレードには5人乗り2列シート仕様に加えて、7人乗り3列シート仕様も用意する。4代目T33エクストレイルの車両本体価格は、S 2WDの360万1,400円から、オーテックe-4ORCEアドバンスドパッケージの533万2,800円だ。
4WDの燃費はCX-80 XDハイブリッドが上回る
燃費比較
CX-80(KL系)の評価は4.5
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80の燃費は以下の通りだ(WLTCモード)。
- CX-80 XD:2WD 18.1~3km/L、4WD 16.7~16.9km/L
- CX-80 XDハイブリッド4WD:19.0~19.2km/L
- CX-80 PHEV:12.9km/L(満充電時のEV走行可能距離67km)
エクストレイルの燃費は以下の通りだ(WLTCモード)。
- T33型エクストレイル 2WD:19.7km/L、4WD:18.3~18.4m/L
CX-80とT33型エクストレイルの燃費を単純比較することは難しい。エンジンレイアウトだけでなく、搭載しているパワートレインが異なるからだ。
CX-80のXDグレードは3.3L直列6気筒ディーゼルターボ+トルクコンバーターレスの8速ATを搭載。燃費は16.8~18.3km/Lだ。
XD-ハイブリッドには、3.3L直列6気筒ディーゼルターボ+マイルドハイブリッドシステムと8速ATが組み合わされている。燃費は19.0~19.2km/Lだ。
PHEVには2.5L直列4気筒ガソリンエンジンというPHEVシステムを搭載している。燃費は12.9km/L、満充電時のEV走行可能距離は最大で67kmだ。
エクストレイルは第2 世代「e-POWER」を搭載している。1.5L直3ターボエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動させて走行するものだ。発電用エンジンには日産が世界で初めて量産化に成功した可変圧縮比エンジン「VC ターボ」を採用。高い走行性能と静粛性に加えて、WLTCモードで18.3~19.7km/Lという優れた燃費性能を実現している。
ここからは、CX-80で最も燃費性能が優れている XDハイブリッドと、T33型エクストレイル の4WD車について言及する。
燃費性能に大きく影響を与える車両重量は以下の通り。
- KL系CX-80 XD-ハイブリッド:1,990~2,240kg
- T33型エクストレイル 4WD車:1,740~1,890kg。
3列シート車でも200kg以上の重量差がある。
CX-80は低回転から太いトルクを発生するディーゼルエンジンを持つ。ストップ&ゴーの多い街乗りでは重い車重が不利となるが、e-POWERが苦手とする高速クルージングでは、カタログ燃費以上の好燃費が期待できる。
さらにCX-80はディーゼルエンジンなので、燃料は軽油だ。軽油はレギュラーガソリンより20円前後/Lも安価。燃費が良くて燃料費が安価なCX-80は、燃料費視点で見れば、大きな差になってくる。
約215万円という差が示すようにKL系CX-80のほうが快適&安全装備が充実
価格比較
CX-80(KL系)の評価は4.5
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80 とエクストレイル 3列シート車の最上級グレードの新車価格は下記の通り。
- マツダCX-80 PHEVプレミアムスポーツ/モダン:712万2500円
- エクストレイル オーテック e-4ORCE 3列シート車: 497万2000円
両車の価格差は約215万500円。T33型エクストレイルで最も高額なオーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージは533万2800円と、CX-80よりも約179万円高価だ。
両車のボディサイズは以下の通り。
- CX-80:全長4,990mm×全幅1,890mm×全高1,710mm(一部グレードは1,705mm)
- T33型エクストレイル:全長4,660mm×全幅1,840mm×全高1,720mm
特に全長はKL系CX-80 が330mmも大きく、ひとクラス違うレベルだ。
搭載しているパワートレインは以下の通り。
- CX-80 PHEVプレミアムスポーツ/モダンは2.5L直4ガソリンエンジンのPHEVシステム
- T33型エクストレイル オーテック e-4ORCE 3列シート:1.5L直3ターボエンジンとモーターを組み合わせたe-POWER(シリーズハイブリッドシステム)
続いて装備面を比較してみよう。
CX-80 PHEVプレミアムスポーツ/モダンのシート表皮は高級なナッパレザー(プレミアムスポーツはナッパレザー/レガーヌ)を採用。運転席、助手席ともにヒーター&ベンチレーション機能の付いた10wayのパワーシートを標準装備している。
セカンドシートにもヒーター機能を標準装備した。6人乗りのキャプテンシートには電動リクライニング機能をはじめ、ベンチレーション機能も標準装備となっている。
また、CX-80 PHEVプレミアムスポーツ/モダンは、以下を標準装備し快適な移動空間を演出している。
- AC150W電源とAC1500W電源(家庭用電化製品が使用可能)
- USB端子Type-C(すべてのシートで携帯機器の充電が可能)
- Apple CarPlayに対応したワイヤレス接続機能/ワイヤレス充電(Qi)
- 12スピーカーのBoseサウンドシステム
対するエクストレイル オーテック e-4ORCE 3列シート車のシートは、オーテックと刺繍されたブラックレザーシートを標準装備している。だが、フロント&セカンドシートのヒーター機能やステアリングヒーター機能はオプション(ホットプラスパッケージ)となっている。ステアリングの調整は手動式だ。
安全装備は、車両の周囲360°全ての方向の安全を確保する「 360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)」を採用。ナビリンク機能付きプロパイロットは標準装備だが、SOSコールやプロパイロット緊急停止支援システム(SOSコール機能付)はオプションだ。
CX-80 PHEVプレミアムスポーツ/モダンにはパノラマサンルーフが標準装備。対するエクストレイル オーテック e-4ORCE 3列シート車はオプションだ。
両車の価格差は、快適装備や安全装備の充実度を鑑みても釣り合っているといえる。
デザインは「静のCX-80」「動のT33型エクストレイル」と異なる
デザイン比較
CX-80(KL系)の評価は4.0
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80:フラッグシップモデルらしい優雅さを追求
CX-80の外観デザインは、大きな3列シートSUVとして豊かさや優雅さを表現。3列シートSUVでは、2列シートSUVのようなカーライクなスピード感や躍動感を抑えつつも、空間のリッチさを感じられる。
デザインアプローチは、落ち着きや豊かさを表現する手法。3列シートレイアウトのリッチな空間を強調しながらも、マツダらしいエレガンスさを追求することで、堂々とした存在感を放つ。
CX-80のサイドビューは、ノーズの長さ、キャビンの伸びやかさと豊かさを存分に活かし、余分な要素をそぎ落とすことで、優雅さを磨き上げた。リアまで伸びやかに流れるサイドウィンドウのブライトモールディングはD ピラー部分において太く、直線的に構成することで、3 列目の乗員空間の豊かさを強調している。
CX-80のリアビューは水平基調を採用し大人の雰囲気を漂わせている。またエグゾーストガーニッシュを付けず、実際のエグゾーストパイプもバンパーに隠すことで上品さを演出した。
エクストレイル:日本の伝統工芸からインスパイアされたアプローチ
エクストレイルのフロントグリルには、立体的で非常に手の込んだグリルパターンを採用した。伝統工芸の「組み木」からインスパイアされ、日本の風景に溶け込む上質なデザインに仕立てられている。
エクストレイルのフロントビューのサイドビューは、まさにタフな印象のSUVそのものだ。見る人すべてがその魅力に心を奪われ、堂々とした王者の風格の走りを予感させてくれる。
リアの彫刻的で立体感あふれる力強いデザインは、凛とした精悍さと、タフで屈強な者に守られているような安心感を与える。
リアコンビネーションランプのシグネチャーは視認性が高い。無垢のインナーレンズからは、精密でキラキラと光り輝く加工による上質さを感じられる。日本の伝統的な切子パターンからインスピレーションを得たデザインだ。
日本では最小回転半径5.8mが気になるCX-80
室内空間と使い勝手
CX-80(KL系)の評価は3.5
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80とエクストレイル のボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下のとおり。
CX-80
- ボディサイズ:全長4,990mm×全幅1,890mm×全高1,710mm(一部グレードは:1,705mm)
- 室内スペース:室内長2,650mm×室内幅1,550mm×室内高1,233mm
- ホイールベース:3,120mm
- ラゲッジ容量:3列シート使用時258L、3列シート可倒時 687L
エクストレイル
- ボディサイズ:全長4,660mm×全幅1,840mm×全高1,720mm
- 室内スペース:室内長2,530mm×室内幅1,540mm×室内高1,255mm
- ホイールベース:2,705mm
- ラゲッジ容量:3列シート使用時140L、3列シート可倒時 560~575L
CX-80とエクストレイルのボディサイズを見ると、全長の長さがかなり違うのは一目瞭然だ。全長はCX-80のほうが330mm長い。室内の広さの目安となるホイールベースもCX-80のほうが415mm長い。この差は室内の広さの差に直結しており、室内長はCX-80の方が120mmも長い。
室内空間の広さの差は、キャビンスペースに余裕が生まれるだけでなく、ラゲッジスペースの容量に影響を与える。特に3列シート使用時のラゲッジルームの積載量の差が大きく、使い勝手の良さに繋がる。
CX-80は全長約5mという大柄なボディを持つが、取り回しの良さの指標となる最小回転半径は5.8mとやや大きめ。これはFRレイアウトを採用しているが、後輪操舵システムなどがないためである。対するエクストレイルは、エンジン横置きのFFレイアウトながら最小回転半径は5.4mと使い勝手は良い。
取り回しの良さを我慢して3列シートの居住性を求めるならCX-80、3列シートをエマージェンシーと割り切って、取り回しの良さを取るならエクストレイル。ユーザーの使い方で大きく評価は分かれる。
ほとんどの安全装備を標準装備化しているCX-80が優位
安全装備&運転支援機能
CX-80(KL系)の評価は4.5
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80には「i-ACTIVSENSE」という先進安全技術群を搭載している。「危険な状況に陥ってから対処するのではなく、危険自体を回避する」というマツダの安全思想に基づいて開発されたものだ。
衝突被害軽減ブレーキのスマート・ブレーキ・サポート(SBS)には対向車衝突被害軽減機能を追加された。他にも以下の機能などが搭載されている。
- ドライバー異常時対応システム(DEA)
- クルージング&トラフィックサポート(CTS)緊急停止支援制御付(ドライバー・モニタリング連動)
注目は、ドライバーの異常時に被害を軽減するための機能であるドライバー異常時対応システムDEAだ。
DEAでは、ドライバーの閉眼や手放し、姿勢崩れを検知するとドライバーの体調が急変したと判断し、音と表示による警告でドライバーに応答を促す機能だ。ドライバーが運転に復帰できない場合には、ハザード点滅、ブレーキランプ点滅とホーン吹鳴で車外に異常発生を報知。高速道路/有料自動車専用道路では可能な限り路肩に寄せながら減速停止、一般道では同一車線内で減速停止することにより、事故の回避・被害低減を図る。
停車後はドア解錠や緊急通報センターへの自動接続による救命要請も行い、早期のドライバー救護・救命に寄与する。CX-80のDEAは、CX-60からさらに進化し、DEA 作動時に減速を開始する旨を知らせる音声ガイダンスが追加された。
対するエクストレイルの安全装備は、 360°全ての方向の安全を確保する「360°セーフティーアシスト(全方位運転支援システム)」を採用。新たに追加した「SOS コール」や、対向車や先行車の有無に応じてハイビームの照射位置をコントロールする「アダプティブLED ヘッドライトシステム」等を搭載。多彩な安全技術が、さまざまなシーンで安心なドライブをサポートする。
4代目にあたるT33型エクストレイルはオプション設定の装備も多く、グレードによって安全性装備に差があるのは、少々物足りない。この点において、多くの先進予防・安全装備を標準装備しているCX-80を高く評価したい。
高級車ライクなKL系CX-80と、スポーツカーのようなT33型エクストレイル
走行性能の比較
CX-80(KL系)の評価は4.5
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80のエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおりだ。
3.3L直6ディーゼルエンジン
- 最高出力:231ps、最大トルク:500Nm
- 車両重量:1,990~ 2,050kg
3.3L直6ディーゼルエンジン+マイルドハイブリッドシステム
- 最高出力:254ps、最大トルク:550Nm
- モーター最高出:16.3ps、最大トルク:153Nm
- 車両重量:2,090~2,1200kg
2.5L直4ガソリンエンジン+プラグインハイブリッドシステム
- 最高出力:188ps、最大トルク:250Nm
- モーター最高出力:175ps、最大トルク:270Nm
- 車両重量:2,210~2,240kg
エクストレイル(e-4ORCE)のエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおりだ。
1.5L直3ガソリンエンジン
- 最高出力:144ps、最大トルク:250Nm
- フロントモーター 最高出力:204ps、最大トルク:330Nm
- リアモーター 最高出力:136ps、最大トルク:195Nm
- 車両重量:1,740~1,890kg
CX-80:ボディサイズは大きいが、走り出すと軽快!
CX-80は3.3L直6ディーゼルターボのマイルドハイブリッドシステム搭載。低速域からとにかく力強く、アクセルを踏んだ瞬間からモーターがエンジンをアシストする。アクセルレスポンスに優れた気持ち良い加速フィールが特徴で、このエンジンが最も優秀だと感じた。
3.3L直6ディーゼルターボは、マイルドハイブリッド車のようなアシストが無い。だが十分に力強い走りを披露してくれる。比較的価格も安価で燃費性能も優れていて、コスパに優れたエンジンといえる。
2.5L直4PHEVは、通常はモーターのみで走行する。高速道路の合流程度の加速でもエンジンが始動することないほど力強い。あえてエンジンが始動するよう、アクセルをグッと踏み込むと、エンジンパワーが加わり強烈な加速が始まる。この加速は、なかなか気持ち良い。2.5L直4PHEVは、シリーズで最も静粛性や乗り心地にも優れている。ラグジュアリーSUVらしさを感じたいのなら、PHEVがお勧めだ。
進化前のCX-60で指摘されていたリヤサスペンションの突き上げや、乗り心地の硬さ、トルコンレス8速ATのギクシャク感は、CX-80では解消され、快適性は大幅に向上している。
CX-80は、全長5m弱というモデルながら、走り出すと爽快感が際立つ。マツダ車らしい、走って楽しいモデルだ。
エクストレイル:e-4ORCEは、路面状況を問わない高い走行安定性が魅力
エクストレイルは、シリーズハイブリッドの第2世代であるe-POWERを搭載。1.5L直3 VCターボエンジンを採用している。e-4ORCEという4WDシステムには後輪側に高出力モーターを設置し、電動車らしく前後のトルク配分を緻密にコントロールしている。
e-4ORCEは「走る、曲がる、止まる」性能を飛躍的に向上させた4WDシステムだ。日産が持つ電動化技術と4WD制御技術、さらにシャシー制御技術を融合させて実現している。このシステムは、前後に搭載した2基の電動モーターを繊細にコントロールすることで、車体の揺動を抑える制御を行う。
コーナリング時はクルマの傾きであるロールを抑えながら鋭く曲がる。また、加速時や凹凸のある路面を通過する際には、モーターを最適にコントロールすることで車体姿勢の変化を抑えてくれる。
VCターボは直3エンジンだが、振動やエンジン音も高いレベルにあり、静粛性は極めて高い。
最も質感が高いのは、20インチのミシュランタイヤを装着したオーテック。全グレードの中で、最も高い静粛性とフラットな乗り味を誇る。
CX-80とエクストレイルは、共に非常に高いレベルにまとめられたSUVと言える。CX-80は、パワートレインによりやや個性が異なる。スポーティは走りとディーゼルターボエンジンらしい豪快な加速力、PHEVは静粛性と快適な乗り心地が魅力だ。
エクストレイルはe-4ORCEをお勧めしたい。悪路での運転しやすさは、前後のタイヤをモーターで駆動し「エクストレイルらしさ」が凝縮されている。
それぞれ個性的なモデルなので、しっかり試乗してチェックすることをお勧めしたい。
T33型エクストレイルの残価率は80%超えでKL系CX-80を上回る
リセールバリュー
CX-80(KL系)の評価は4.0
エクストレイル(T33型)の評価は4.0
CX-80は、2024年10月に登場したばかりのモデル。執筆時点で発売から8か月しか経過していないため、中古車相場は形成されていない。そこで、同じ3列シートSUVだったCX-8をベースに算出してみた。
<参考>
CX-8 XDエクスクルーシブモード
- 中古車相場(2022年式):約340~410万円
- 当時の新車価格:約476~500万円
- 新車価格比:約71~82%
日産エクストレイル(T33型)G (e-4ORCE含む)
- 中古車相場:約350~400万円
- 当時の新車価格:約430~450万円
- 新車価格比:約81~89%
CX-8とエクストレイルは共に人気SUVであるため、リセールバリューは高い。
CX-8の方が低めのリセールバリューになっている理由は、CX-8がもう販売されていない旧型である点が考えられる。また比較対象のエクストレイルが最新モデルであることが影響していると予想できる。そのため、最新モデルであるCX-80の中古車相場が形成されれば、両車同等レベルになるだろう。
CX-80のリセールバリュー予測には、やや懸念材料がある。基本的なメカニズムが共通しているCX-60が、品質問題でリセールバリューが低めに推移している点だ。CX-80は品質問題をクリアしている別モデル。だがCX-60のイメージを引き継いでしまうと、リセールバリューが下がることも考えられる。
ただ、後輪駆動ベースで、全長5m級の大型3列シートSUVは、日本車ではCX-80のみだ。このユニーク性が評価されれば、むしろリセールバリューは上がる方向になる可能性もある。そのため、CX-80のリセールバリューに関しては、今後、注視したほうがよいだろう。
両車のさらなるリセールバリューアップが期待できるメーカーオプションは以下の通り。
CX-80
- パノラマサンルーフ
エクストレイル
- ボーズプレミアムサウンドシステム
- ナッパレザーシート
- パノラミックガラスルーフ
ラグジュアリー志向ならCX-80、運転のしやすさならエクストレイルがおすすめ
まとめ・総合評価
マツダCX-80(KL系)がお勧めの人
- 国産車唯一無二の3列大型ラグジュアリーSUVに乗りたい
- 3列目シートを使うことが多い
- セカンドシートの快適装備にこだわる
- ディーゼルエンジン車に乗りたい
- 燃料費を安価に抑えたい
日産エクストレイル(T33型)がお勧めの人
- 3列目シートは子ども用と割り切れる
- 運転が苦手
- 降雪地域に住み滑りやすい道をよく走る(e-4ORCE)
- ラゲッジルームに濡れたものや、汚れたものを頻繁に積む
CX-80(KL系) | エクストレイル(T33型) | |
総合得点(35点満点) | 29.5 | 28.0 |
燃費 | 4.5 | 4.0 |
価格 | 4.5 | 4.0 |
デザイン | 4.0 | 4.0 |
室内空間と使い勝手 | 3.5 | 4.0 |
安全装備 | 4.5 | 4.0 |
走行性能 | 4.5 | 4.0 |
リセールバリュー | 4.0 | 4.0 |
日産エクストレイル vs トヨタ ハリアーハイブリッド徹底比較
マツダCX-80(KL系)新車価格
グレード | 2WD | 4WD |
XD | 3,944,350円 | 4,180,000円 |
XD Sパッケージ | 4,383,500円 | 4,620,000円 |
XD Lパッケージ | 4,779,500円 | 5,016,000円 |
XD エクスクルーシブモード(7人乗り) | 5,071,000円 | 5,307,500円 |
XD エクスクルーシブモード(6人乗り) | 5,214,000円 | 5,450,500円 |
XD ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ(7人乗り) | - | 5,824,500円 |
XD ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ(6人乗り) | - | 5,967,500円 |
XD ハイブリッド エクスクルーシブモダン | - | 5,967,500円 |
XD ハイブリッド プレミアムスポーツ | - | 6,325,000円 |
XD ハイブリッド プレミアムモダン | - | 6,325,000円 |
PHEV Lパッケージ | - | 6,391,000円 |
PHEV プレミアムスポーツ | - | 7,122,500円 |
PHEV プレミアムモダン | - | 7,122,500円 |
日産エクストレイル(T33型)新車価格
*マイナーチェンジ前モデル
グレード | 2WD | e-4ORCE |
S | 3,601,400円 | 3,851,100円 |
X | 3,840,100円 | 4,140,400円 |
X(3列シート車) | - | 4,271,300円 |
X エクストリーマーX | - | 4,492,400円 |
X エクストリーマーX(3列シート車) | - | 4,623,300円 |
G | 4,451,700円 | 4,752,000円 |
オーテック | 4,579,300円 | 4,841,100円 |
オーテック(3列シート車) | - | 4,972,000円 |
オーテックアドバンスドパッケージ | 5,032,500円 | 5,332,800円 |
マツダCX-80(KL系)スペック
代表グレード | XDハイブリッドプレミアムスポーツ4WD |
全長×全幅×全高 | 4,990mm×1,890mm×1,710mm |
ホイールベース | 3,120mm |
最低地上高 | 170mm |
最小回転半径 | 5.8m |
車両重量 | 2,120kg |
エンジン型式 | T3-VPTH型 |
エンジンタイプ | 直列6気筒DOHCディーゼルターボ |
総排気量 | 3,283cc |
最高出力 | 254ps(187kW)/3,750rpm |
最大トルク | 550N・m(56.1kgm)/1,500~2,400rpm |
モーター型式 | MR型 |
モータータイプ | 永久磁石式同期電動機 |
モーター最高出力 | 16.3ps(12kW)/900rpm |
モーター最大トルク | 153N・m(15.6kgm)/200rpm |
燃費(WLTCモード) | 19.0km/L |
電力用主電池 | リチウムイオン電池 |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) |
サスペンション型式 | 前:ダブルウィッシュボーン式、後:マルチリンク式 |
タイヤサイズ 前後 | 235/50R20 |
日産エクストレイル(T33型)スペック
代表グレード | X e-4ORCE 3列シート車 |
全長×全幅×全高 | 4,660mm×1,840mm×1,720mm |
ホイールベース | 2,705mm |
最低地上高 | 185mm |
最小回転半径 | 5.4m |
車両重量 | 1,880kg |
エンジン型式 | KR15DDT |
エンジンタイプ | 直列3気筒DOHCターボ |
総排気量 | 1,497cc |
最高出力 | 144ps(106kW)/4,400~5,000rpm |
最大トルク | 250N・m(25.5kgm)/2,400~4,000rpm |
フロントモーター型式 | BM46 |
フロントモーター最高出力 | 204ps(150kW)/4,501~7,422rpm |
フロントモーター最大トルク | 330N・m(33.7kgm)/0~3,505rpm |
リアモーター型式 | MM48 |
リアモーター最高出力 | 136ps(100kW)/4,897~9,504rpm |
リアモーター最大トルク | 195N・m(19.9kgm)/0~4,897rpm |
燃費(WLTCモード) | 18.3km/L |
電力用主電池 | リチウムイオン電池 |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) |
サスペンション型式 | 前:ストラット式後:マルチリンク式 |
タイヤサイズ 前後 | 235/60R18 |
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