BMW は、コンパクト セグメント初となる7人乗りのMPV新型「BMW 2シリーズ グランツアラー」 の発売を開始した。

7人乗りの新型BMW2シリーズグランツアラーのボディサイズは、全長4,565×全幅1,800×全高1,645mm。5ナンバーミニバン というよりは、全幅はやや狭いがマツダ プレマシー やトヨタ プリウスα などのロールーフ型のミニバンとボディサイズが近い。輸入車だと、同じ7人乗りのプジョー5008 と似たボディサイズになっている。

すでに発売済みの2シリーズアクティブツアラーのボディサイズと比べると全長が+215mm、全高が+95mmとなっていて、ひと回り大きなボディサイズになっている。2シリーズグランツアラーは、7人乗りを可能とするために、ホイールベースが大幅に伸ばされている。グランツアラーのホイールベースは、2,780mmとなり、アクティブツアラーに対して+110㎜となった。その結果、全長4,565mmという比較的短めのボディサイズながらと、3列目シートを備え7人乗りを可能としている。

BMW2シリーズグランツアラーのデザインは、フロントフェイスやサイドのキャラクターラインなど、アクティブツアラーと大きく異なる部分は無く、FFの2シリーズファミリーであることをアピール。グランツアラーは、全長やホイールベースが伸び3列目シートを装備したことにより、伸びやかなサイドビューになっているのが特徴だ。

注目はやはり、3列目シートを得たことによる居住性や使い勝手。シートレイアウトは2+3+2のレイアウト。2列目シートは、ひとクラス上のモデルに匹敵する広いニールームを実現した。2列目シートは、40：20：40の3分割タイプ。そのため、中央のシート幅は狭い。3名用の独立したシートを持つプジョー5008とは違い、プリウスαやプレマシー などに近く、中央シートはエマージェンシー用と見た方がよいだろう。また、2列目シートは60:40の前後130mmスライディング機能が装備した。用途や乗車人数に合わせて居住性とラゲージ・ルーム容量を自在に調節することができる。また、2列目シートは、ラゲージルームに設置されたリリース・ボタンを押すだけで、40：20：40の3分割可倒が可能となっている。

3列目シートは、レバー操作ひとつで50：50に分割。この3列目シートは、フロア下に収納することが可能。3列目シートを格納すると、ラゲージルーム容量は560Lにもなる。さらに、2列目＆3列目シートのバックレストを全て倒すと1,820Lに拡大。フロアは、ほぼフラットになり、大量の荷物も収納することができる。

このBMW2シリーズグランツアラーに搭載されるエンジンは、ガソリンが2タイプとクリーンディーゼル1タイプが用意された。新世代モジュラーエンジンと呼ばれるパワーユニットは、モジュール構造が採用され、気筒あたり排気量が500ccのシリンダーを直列に配置して、総排気量に応じて幅広い出力範囲を実現している。そのため、218iグランツアラーには、1.5L直3気筒ターボガソリンエンジンが搭載された。136ps＆220Nmを発揮する。220iグランツアラーには、2.0L直4ターボが搭載され192ps＆280Nmをアウトプット。

そして、注目はクリーンディーゼルエンジン を搭載した218dグランツアラーだ。こちらは、新世代の2.0L直4クリーンディーゼルが用意された。150ps＆330Nmを発揮。最大トルクは3.0L相当で、1,570㎏の車重に対して十分に余裕ある走りを提供する。

この3タイプのエンジンは、当然低燃費化されている。218iで16.5㎞/L、220iで15.8㎞/Lという燃費。そして、注目のクリーンディーゼルを積んだ218dは、21.3㎞/Lという低燃費を実現。同じ7人乗りのハイブリッド車プリウスαの燃費が26.2㎞/Lなので、かなり近い数値になっている。燃料のガソリンと軽油の価格差は20円/L以上なので、走り方次第なのだが燃料費は場合によって218dの方が経済的となることもあるだろう。

BMW2シリーズグランツアラーの安全装備は、なかなか高いレベルになった。歩行者をカメラで検知し自動ブレーキをかけるなどの安全装備「ドライビング・アシスト」を全車に標準装備としている。安さを主張したいばかりに、価格を安く見せるため安全装備を装着できない、もしくはオプションとしたグレード設定が無いのは好感度が高い。

　日本での販売台数が期待されるBMW2シリーズグランツアラーの価格は3,580,000円から。クリーンディーゼルを搭載した218dグランツアラーは3,790,000円からと、価格差はわずか20万円。この価格差なら、ガソリンと軽油の燃料費差で十分に回収できる範囲。330Nmという3.0Lガソリン車並みの大トルクを含め、2シリーズグランツアラーのお勧めはクリーンディーゼルを搭載した218dということになる。

お勧めは、やはり高いリセールバリューが期待できる218dグランツアラーMスポーツ。価格は4,260,000円なので、47万円高となっている。装備差はエアロパーツや17インチホイール、Mスポーツサス、スポーツシート、などなど。エントリグレードでもナビや安全装備は標準装備化されているので、予算重視や過剰な装備はいらないというのであれば、エントリグレードでも十分な装備内容となっている。

日本では、こうした多人数乗車モデルはスライドドアが装備されていないと売れない状態。国内専用車として開発されている5ナンバーミニバンは、とくに装備やパフォーマンス、使い勝手が非常に高いレベルにある。そのため、スライドドアが装備されていないBMW2シリーズグランツアラーは、こうした日本特有の顧客を取り込むのは非常に難しいといえる。どちらかといと、通常はせいぜい4人乗り。普段はゴルフや釣り、アウトドアなど多くの荷物を積載する趣味をもっていて、3列目シートは収納したまま広いカーゴスペースとして使い、いざというときに7人乗れればいいという顧客に向く。荷室は3シリーズツーリングよりも広く、いざとなれば7人乗り。そして、同じ2.0Lクリーンディーゼルを搭載していて、約150万円も安いのだから、FRにこだわらないBMWファンにとっては魅力的なモデルとなるのは確実だろう。

■BMW 2シリーズ グラン ツアラー価格

・218iグラン ツアラー　¥3,580,000
・218iグラン ツアラー Luxury　¥4,110,000
・218iグラン ツアラー M Sport　¥4,050,000
・218dグラン ツアラー　¥3,790,000
・218dグラン ツアラー Luxury　¥4,320,000
・218dグラン ツアラー M Sport　¥4,260,000
・220iグラン ツアラー Sport　¥4,240,000
・220iグラン ツアラー Luxury　¥4,480,000
・220iグラン ツアラー M Sport　¥4,520,000