トヨタ プリウスα(アルファ)新車試乗評価 高価だが価値がある! プリウスよりも走りの質感大幅アップ!

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【トヨタ】2014/06/07

 

実際に見たり、乗ったり、触ったり無しに、バカ売れする話題で売れる人気車

 稀代の大ヒットモデルとなったトヨタプリウス をベースに、その基本プラットホームやパワートレーンを使って作られた大きな室内空間を持つモデルがプリウスα(アルファ)。ハイブリッドならではの高い環境性能を備えながら、同時にプリウスにはない使い勝手を実現したクルマとして注目される存在だと評価したい。

大きな室内空間は2種類の設定があり、2列シートで5人乗りのステーションワゴン 感覚のモデルと、3列シートで7人乗りのミニバン 感覚のモデルがある。しかも5人乗りはラゲッジスペースの下部にニッケル水素電池を搭載し、7人乗りはセンターコンソールの下部にリチウムイオン電池を搭載する。5人乗りと7人乗りではかなり異なるクルマに仕上げられている。

このプリウスα(アルファ)の売れ行きは好調だ。ベースのプリウスはすでに大量に売れて街中をたくさん走っているので、同じクルマではつまらないと考えるユーザーなども含め、発売前から大量の受注を集めた。発売時点での受注台数は2万5000台に達したという。この時点でモデルによっては納車が1年先になるとのこと。

受注台数は発売から2週間の間にさらに増えて4万台に達し、納車の見通しが全く立たないくらいになっている。待ちきれずにキャンセルするユーザーも出るから、実際の納車時期は早まるだろうが、見たり、触ったり、乗ったりしないユーザーからたくさんの受注を集めるクルマも珍しい。

トヨタ プリウスα(アルファ)

ツーリングセレクション(写真)には、フロント&リヤバンパースポイラーが装着される

トヨタ プリウスα(アルファ)

 かわり映えのしないデザインだが、よく見るとプリウスαの方がシャープな印象が強い

トヨタ プリウスα(アルファ)

 縦長のクリアレンズには、当然LED

 

トヨタ プリウスα(アルファ)

 ツーリングセレクションには215/50R17のアルミホイールが標準。その他は205/60R16になる

トヨタ プリウスα(アルファ)

 ゴツゴツ感が軽減され、乗り心地は抜群によくなった

トヨタ プリウスα(アルファ)

 文字は小さいし、センターメーターは遠くて見にくい
トヨタ プリウスα(アルファ)

かわり映えしないデザインに5人乗りと7人乗りを用意

 プリウスαは、ぱっと見た感じはプリウスそのものだ。ボディサイズはプリウスよりもひと回り大きくなっていて、良く見るとプリウスとは明確に異なるパッケージングと、微妙に異なるデザインなのに、見るからにプリウスの姉妹というか従姉妹というか、親戚関係にあるクルマだということが分かる。

明確に異なるデザインにする方法もあったのだろうが、名前からしてプリウスαなのだから、プリウスらしいデザインに仕上げたのは正解だろう。このことも大量の受注を集めることにつながったはずだ。

参考までに書いておくと、プリウスに似てはいるが、外装パーツはそのすべてがプリウスとは異なるものが採用されている。それを似ているような見せているのだ。

インテリアはステアリングホイールの形状やセンターメーターを採用することなどはプリウスと共通だが、センターメーターの形状自体も異なるし、ほかの部分ではプリウスとの相違点も多い。

特にセンターコンソールの部分は、プリウスと異なるだけでなく、プリウスα同士でも5人乗りと7人乗りで異なっていて、コンソールボックスの容量の違いが大きい。

後席の広さはまずまずというかプリウス以上の広さがある。ボディがひと回り大きくなっているのだから当然といえば当然だ。3列目のシートは大人が座れないことはないが、ゆったりという感じはない。広さでいえはウィッシュのほうが広い印象である。

ラゲッジスペースは5人乗りと7人乗りで明確な違いがある。7人乗りも大型のデッキアンダートレーを使えばそれなりの積載量が確保できる。ただ、実際には普段は3列目のシートを倒して使うことが多いのだろう。

トヨタ プリウスα(アルファ)

 7人乗りは、助手席と運転席の間にリチウムイオン電池を搭載。5人乗りはニッケル水素電池がリヤシートの後ろ付近に積まれる

トヨタ プリウスα(アルファ)

 後席中央にも3点式のシートベルトを標準装備。プリウスαは、安全思想が高いレベルにある

トヨタ プリウスα(アルファ)

 大人にとっては広いとは言えないが、なんとか座れる3列目シート

プリウスより大幅に向上した走りの質感は高評価

トヨタ プリウスα(アルファ)

 ハイブリッドシステムは、プリウスと同じ。車重が重くなった分燃費は悪化傾向だが、プリウスに比べえ遮音・吸音材の最適配置で一段と静粛性が増した

プリウスαに乗って走り出すると、最初はちょっと走りが鈍いかなという印象を受ける。プリウスが1350kgほどなのに対し、プリウスαは1450kgから1500kg弱と100kg以上重くなるので、その分が効いているのだろう。特に今回の試乗はほとんど2〜3名乗車の状態だったので、余計にそう感じたのかも知れない。

でも走り出してしまえば動力性能に不足は感じないし、むしろプリウスに比べて走りの質感に優れるのが印象的だった。重量の増加に対応してファイナルギアのギア比をローギアード化したことなどにより、走りのフィールはプリウスとほとんど変わらない。通常の状態なら電気モーターだけで走り出すのも同じだ。

またニッケル水素電池を搭載した5人乗りとリチウムイオン電池の7人乗りで走りのフィールに違いがあるかといえば、これも全く感じられなかった。今回はプリウスαに用意される6グレードのうち、5グレードに試乗したが、乗り換えているうちに5人乗りに乗っているのか7人乗りに乗っているのか分からなくなることもあったくらいだ。

5人乗りと7人乗りで重さの違いもせいぜい20kgほどなので、これを走りのフィールの違いとして感じることはできない。

プリウスに比べて格段に良くなった印象を受けたのは足回りだ。プリウスが17インチタイヤを履いたツーリングセレクションでないとダメという印象だったのに対し、プリウスαは16インチタイヤの仕様でもそんなに悪い印象はなかった。もちろんツーリングセレクションに好感が持てたのはプリウスαでも同じである。

路面が悪い部分での当たりの良さなど、乗り心地の良さというか、走りの質感という点でプリウスαはプリウスよりもずっと優れている印象があったと高評価だ。室内の静粛性が向上していることと合わせると、プリウスとの走りの違いは相当に大きい。

最小回転半径に車高、微妙に気になる使い勝手の悪さ

 プリウスを買うならプリウスα買ったほうが良いし、プリウスαを買うなら7人乗りのツーリングセレクションがお勧めだが、これには少しばかり条件が付く。というのも7人乗りはリチウムイオン電池仕様なので生産が特に厳しく、今から注文したのでは納車が来年後半になる勢いだ。これだと今の時点で勧めて良いのかどうか分からない。

もうひとつ。走りのフィールからはツーリングセレクションがお勧めなのだが、タイヤが17インチになってステアリングの切れ角も変わり、5.5mの最小回転半径が5.8mになってしまう。外国製の大型SUVではあるまいし、いくら何でも5.8mはないと思うのだが、このような仕様になっている。狭い車庫に出し入れするユーザーには勧められない。

車庫ついでに書いておくと、プリウスαの全高は大半のグレードで1575mmだ。1550mmまでなら駐車できるタワーパーキングが多いのに、1575mmでは入れないところが多い。これは使い勝手に悪影響する。

価格はプリウスに比べるとかなり高くなっていて、最上級グレードの7人乗りのツーリングセレクションスカイライトパッケージを選び、カーナビとプリクラッシュセーフティシステムを装着すると車両価格が400万円を超える。これもひとつの悩みどころだ。

トヨタ プリウスα(アルファ)

 7人乗りのラゲッジルーム。アンダートレーには、A型ベビーカーを立てて収納できるという

トヨタ プリウスα(アルファ)

 3列目シートを折り畳むと、フラットで広大なラゲッジルームが出現

トヨタ プリウスα(アルファ)

 5人乗りのラゲッジには、ゴルフバックが4つ積載可能。ワゴン車的な使い方をする人にも対応

トヨタ プリウスα価格、燃費、スペック等

代表グレード トヨタ プリウスα(アルファ)Gツーリングセレクションスカイライトパッケージ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4615×1775×1600mm
車両重量[kg] 1490kg
総排気量[cc] 1797cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 99ps(73kw)/5200rpm
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 14.5kg-m(142N・m)/4000rpm
モーター最高出力[ps(kw)] 82ps(60kw)
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] 21.1kg-m(207N・m)
ミッション 電気式無段変速機
10・15モード燃費[km/l] 31.0km/l
定員[人] 7人
税込価格[万円] 330.5万円
発売日 2011/5/13
レポート 松下宏
写真 編集部

 

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(レポート:松下 宏

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