BYD ラッコ(CK系)評価・試乗解説 中国の価格破壊BEV。その実力を解説!

はてなブックマークに追加 Googleブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録
【その他】2026/09/03

BYD ラッコ(CK系)フロントスタイル

 

国産軽EVにはない、超売れ筋スーパーハイトワゴンカテゴリーに投入されたBYDラッコ(RACCO)

 

日本独自のカテゴリーである軽自動車は、今まで日本車の独擅場だった。一時期、海外からの参入もあったが、それは趣味性の強いクルマに限られている。安泰ムードが長く続いたが、突然、黒船が襲来し、眠りを覚まさせられたのだ。

名乗りを挙げたのは、世界一のBEV(バッテリー電気自動車)メーカーにのしあがった中国のBYDである。ガラパゴスと言われた軽自動車市場に「ラッコ(RACCO)」を送り込んできた。

しかも、BEVのなかでもっとも売れ筋のスーパーハイトワゴンに仕立てている。N-BOXやスペーシア、タントと同じ両側スライドドア車だ。だが、スーパーハイトワゴンカテゴリーの軽乗用BEVとして初めてのモデルになる。

BYD ラッコ(CK系)リヤスタイル

BYD ラッコ(CK系)フロントアップ

BYD ラッコ(CK系)リヤアップ

 

 

ほぼ専用開発されたラッコ。さらに豪華装備を満載!

 

ボディサイズは、国産スーパーハイトワゴンとほとんど同じで、ホイールベースはN-BOXと同じクラス最長の2520㎜とした。驚いたことに電動スライドドアは全車に標準装備だ。

このラッコ、日本独自の特殊な規格にミートさせるためにボディだけでなくプラットフォームやモーターなど、ほとんどを専用設計としている。

エクステリアは、クリーンでクセのないデザインだ。デイタイムライトなどを丸みを付けた造形にして誰にも好まれる愛らしい顔立ちとした。ガーニッシュと横長のリアコンビネーションランプを組み合わせたリアビューも強いインパクトを感じる。

インテリアは水平基調のダッシュボードにトレイを組み合わせ、広々感を上手に演出した。7インチのセグメント液晶にTFTフルカラーディスプレイのコンビネーションメーターを採用し、下の部分を平たい形状にした合皮のステアリングにはチルト機構だけでなく上級クラスと同じようにテレスコピック機構も付く。

最上級グレードの300プレミアムは、運転席パワーシートや360度アラウンドビューモニターまでも標準装備する。

BYD ラッコ(CK系)インパネ

 

BYD ラッコ(CK系)7インチメーター

 

ラッコの走りを解説

 

注目のメカニズムは、専用プラットフォームに組み込んだ新設計の「X-PACアーキテクチャー」だ。リン酸鉄リチウムイオンを用いた駆動用バッテリーや電子制御ユニット、コントローラーなどを一体化している。これによって高効率パッケージを可能にした。広いキャビンスペースを稼ぎ出しながら最高レベルの衝突安全性能を実現し、JNCAPで最高の5つ星(☆☆☆☆☆)を狙っている。

モーターの最高出力は、軽自動車では上限の47kW(64ps)、最大トルクは1.6Lクラスのガソリンエンジン並みの160N・m(16.3kg-m)だ。モーターは低回転から豊かなトルクを発生する。だから発進直後から気持ちいい加速を見せた。

4つのドライブモードがあるが、ノーマルモードでも非力とは感じさせない。上り勾配の道を走っても力強い加速を見せつける。だが、スポーツモードはちょっと物足りない。もう少しグッとくるトルク感を楽しませる味付けでもいいと思う。

滑らかな加速に加え、軽自動車レベルを大きく超えた静粛性もBEVならではの魅力だ。高速走行も試したが、風切り音は耳につくもののキャビンは驚くほど静かだった。

ちなみに、タイヤは中国車にはない165/65R15サイズなので、中国メーカーとともに専用開発している。パターンノイズも気になるレベルではない。

また、先進運転支援のADASの作動も賢いと感じる。スムーズな追従を披露し、前走車がスピードダウンしたときの減速も上手だ。高速走行では重宝するだろう。

BYD ラッコ(CK系)シフトノブ

 

 

やや重めのパワーステアリング

 

駆動方式は、FWDと呼ばれる前輪駆動だ。サスペンションはフロントがストラット、リアはトーションビームのオーソドックスなレイアウトとしている。

背が高いことに加え、重いバッテリーを積んでいるから、サスペンションはちょっと硬めの味付けとした。ボディなどの剛性は高く、しっかりとした印象だ。足も引き締めているから踏ん張りが効く。

ただし、荒れた路面では追従性に物足りなさを感じた。多くの表情を見せる日本の道路に対し、もう少し柔軟性が欲しいところだ。

ハンドリングは素直で、タイトコーナーなどでも狙ったラインに無理なく乗せることができる。だが、不安な挙動にならないように配慮して軽快感を抑えたようだ。電動パワーステアリングも最近のファミリーカーとしてはちょっと重めの操舵フィールだった。軽自動車に乗り慣れている女性やビギナーは、少し重めと感じるだろう。

BYD ラッコ(CK系)フロントシート

BYD ラッコ(CK系)リヤシート

BYD ラッコ(CK系)荷室

BYD ラッコ(CK系)荷室

 

 

前席の乗り心地は良好だが、リヤシートの乗り心地は・・・

 

乗り心地は、おおむね良好だ。だが、路面によってはリアがバタつく場面もあった。また、後席にも座ってみたが、サスペンションの上にシートがあるのがよく分かる。段差や目地を通過したときに突き上げが腰を通して伝わってきた。乗り心地に関して、前席との落差が大きいのは気になるところだ。

ブレーキは、4輪ともディスクブレーキで、フロントはベンチレーテッドディスクを奢った。

回生ブレーキは、2段階の設定だ。ブレーキの制動フィール、ペダルフィールもちょっと物足りなさを感じる。回生ブレーキは「強」でも完全停止まで持っていけなかった。BEVに乗り慣れている人のために、さらに強めの回生ブレーキの設定やパドルシフトで強弱を調整できるようにしてもいいと思う。

キャビンは、ライバルと比べて互角以上の広さだ。前席は大柄な人でも不満のない広さで、300プレミアムは運転席に6ウェイパワーシートを装備した。そのため後席にちょっとシワ寄せが出ているが、室内高は余裕の広さだし、膝もとの空間もたっぷりとある。5:5分割可倒&独立スライド式で、上級グレードはセンターアームレストも標準だ。

シートアレンジの多彩さも、日本勢に負けていない。日本車を徹底的に研究したようだ。後席は片側ずつ畳めるし、ダイブダウンやチップアップ機能も備えている。操作系は少し重めだが、これは次の改良に期待だ。

助手席収納や背面ポケット、シートバックテーブル、サングラスホルダーなど、収納などの装備も抜かりはない。ステアリングヒーターやシートヒーターも主要グレードは標準装備だ。

BYD ラッコ(CK系)モータールーム

 

中国製なので、二の足を踏んでいる人こそ、一度試乗すべき!?

 

ラッコは、3グレードあり、ボトムの200の総電力量は22.4kWhである。だが、210kmの一充電走行距離を実現した。上級の300プラスと300プレミアムは軽BEVとして最大の35.84kW hの電力量を誇る。一充電走行距離を320kmだから、エアコンを使っても無理なく200km以上を走れるだろう。

また、車両システムなどをアップデートして最新状態に保つSDVであることも魅力に挙げられる。もちろん、V2LとV2H機能も装備した。

日本車と比べて補助金は少ないし、中国製ということで二の足を踏む人もいる。だが、ファミリーカーとしての実力は予想以上に高い。購入後の保証なども充実しているから、試乗してみる価値のある逸材だと思う。

<レポート:片岡英明

ホンダN-BOX VS スズキ スペーシア徹底比較

ホンダN-ONE e:(JG5系)試乗記

日産ルークス 試乗記

【動画】スズキ ハスラー 試乗レビュー

日産リーフ(ZE2系)試乗記

スズキ eビターラ(e VITARA)試乗記

テスラ モデルY試乗記

 

BYDラッコ(CK系)新車価格

 

・200 2,145,000円

・300プラス 2,398,000円

・300プレミアム 2,497,000円

 

BYDラッコ(CK系)航続距離、電費、ボディサイズなどスペック

 

代表グレード 300プレミアム

全長×全幅×全高 3395×1475×1800mm

ホイールベース 2520mm

最低地上高 130mm

車両重量 1230kg

乗車定員 4名

モーター型式 TZ180XSAB

モーター最高出力 47kW

モーター最大トルク 160N・m

一充電走行距離(WLTCモード) 320km

バッテリー種類 リン酸鉄リチウムイオン

バッテリー総電力量 35.8kWh

電費(一充電走行距離÷バッテリー総電力量) 約8.9km/kWh
駆動方式 前輪駆動

サスペンション型式 前:ストラット 後:トーションビーム

タイヤサイズ 前後 165/65R15

最小回転半径 4.8m

 

ライター紹介

モータージャーナリスト

片岡英明

1954年、茨城県生まれ。自動車専門誌で編集に携わった後、独立してモータージャーナリストに。新車だけでなく、クラシックカーやEVなどにも精通している。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

【関連記事】

【オススメ記事】