■より良いモノをより早く! わずか2年での大幅改良は、マツダの積極的な姿勢の表れだ
マツダ のアテンザ が大幅な改良を受けた。現行アテンザは2012年にデビューしたばかりなので、わずか2年目にして大幅な改良である。かつてクルマの車検が2年ごとで、メーカー各社が4年ごとに主力車種のフルモデルチェンジをしていた時代には、中間の2年目にマイナーチェンジをするのが“お約束”だった。でも、最近のようにモデルサイクルが6〜7年になった時代に、2年で大幅改良というのは珍しい。
このマイナーチェンジは、現行アテンザに解決しなければならない課題があったために行われたものではなく、ユーザーに提供できる技術や仕様、装備があるなら、モデルサイクルなどの時期にとらわれることなく、提供できるタイミングで提供していくというマツダの積極的な姿勢に基づくものだ。
まず、変わったのは外観デザインだ。フロントグリルはフィンを強調し、シグネチャーウイングを立体的にするなどの改良が加えられた。さらに上級グレードにはLEDシグネチャーウィングを採用することで、夜間でもマツダ車であることが分かりやすくしたという。
インテリアはインパネやセンターコンソールの造形を大胆に変更した。普通、マイナーチェンジでも内装の造形にまでは手を入れないことのほうが多い。なのに、それをわずか2年目のマイナーチェンジで実施したというのは、マツダの気合の入り方を示すものである。
インパネの上面を低く抑えることで明るく開放的な室内空間を作り、そこに7インチのカーナビのディスプレーが独立して配置されている。幅が広がったセンターコンソールには電動パーキングブレーキのスイッチが配置されている。マツダコネクトをコマンドコントローラーと合わせて、全車に標準装備したのも見逃せない点だ。
■安全装備が進化し、安全で楽しいクルマとなった
自動ブレーキなどを含む先進安全技術のi-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)を進化させたのは、今回のマイナーチェンジの最も大きなポイントだろう。アテンザには従来からスマート・ブレーキ・サポートという充実した仕様の自動ブレーキが採用されていたが、今回の改良でこの機能が対応できる相対速度差を拡大して安全性を高めた。
ほかにも日本車初のLEDアレイ方式グレアフリー(防眩)ハイビームを備えた新世代のアダプティブ・LED・ヘッドライトを搭載し、対向車や先行車のドライバーを眩惑させることなく、常時ハイビームでの走行を可能とした。夜間走行における安全性を向上させるものだ。
従来のリア・ビークル・モニタリングシステムの検知範囲を広げ、自車の後方のみならず側方から接近する車両も検知するブラインド・スポット・モニタリングを新採用した。後退時に接近する車両を検知して警告するリア・クロス・トラフィック・アラート機能も備えている。このようにi-ACTIVSENSEが大きく進化したのが今回のアテンザの特徴である。
■6MTでルーズな運転も許容する力強いトルクをもつクリーンディーゼルエンジン
試乗したのはアテンザワゴンのXD Lパッケージで、 4WDの6速MT車だ。2.2Lのディーゼルエンジン は相変わらず力強く、スムーズな走りを見せる。エンジンを始動すると、停止状態ではガソリン車に比べてやや大きなエンジン音が聞こえてディーゼルであることが分かるが、走り出してしまえばすぐにディーゼルであることによる騒音は感じられなくなる。
最大トルクを発生する回転数は2000回転だが、それよりも低い回転数域から太いトルクを発生し、フレキシブルな実力を発揮する。そのトルクによって低回転域からでも、アクセルを踏み込めばすぐに滑らかな加速が得られる。6速MT車ではあるものの、頻繁にギアチェンジせずに少々ルーズな運転をしても、それを許容してくれるような広いトルクバンドを持つからだ。
エンジンの吹き上がりがガソリン車並みにスムーズなのも従来と変わらない。5000回転からのレッドゾーンに向けて、タコメーターの針が真っ直ぐに上昇していく感じだ。
■乗り心地が向上した足回りに静粛性のアップ。マイナーチェンジで総合力が向上!
足回りや静粛性などに関してもしっかり改良が加えられている。このあたりを真面目にやるのがマツダらしいところだ。過去においてもマイナーチェンジによる改良で、販売を伸ばした車種がいくつもある。
今回は前後のダンパーの構造を新しくするとか、ブッシュの形状を最適化することで、フラットな乗り心地を実現している。試乗車に装着されていたタイヤは19インチだったが、大径タイヤとは思えない乗り心地を感じさせた。ただ、ここまで大きなタイヤにしなくても良いのではないかという気持ちは拭えない。17インチか18インチならさらに良い乗り心地が得られるのではないかと思われるからだ。
アテンザの静粛性は従来も悪いものではなかったが、今回の改良でさらに向上した。高速走行中でも同乗者と自然な会話が可能である。
試乗車は今回から設定された4WD車で、電子制御カップリングを使った最新の4WDシステムを採用する。4WDの良し悪しはドライのオンロードでは全く分からなかったが、路面状態の変化を素早く感知し、滑りやすい路面では高い操縦安定性を発揮するという。
■■マツダ アテンザ セダン/ワゴン価格!
<2WD>
・20S 2,764,800円
・20S PROACTIVE 2,867,400円
・25S L Package SKYACTIV-G 2.5 3,331,800円
・XD SKYACTIV-D 2.2 3,175,200円 (6MT 3,229,200円)
・XD PROACTIVE 3,277,800円 (6MT 3,331,800円)
・XD L Package 3,742,200円 (6MT 3,742,200円)
<4WD>
・XD 3,402,000円 (6MT 3,456,000円)
・XD PROACTIVE 3,504,600円 (6MT 3,558,600円)
・XD L Package 3,969,000円 (6MT 3,969,000円)
■マツダ アテンザ燃費、スペックなど
代表グレード | マツダ アテンザ ワゴンXD Lパッケージ |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,805×1,840×1,480mm |
ホイールベース[mm] | 2,750mm |
トレッド前/後[mm] | 1,595/1,585mm |
車両重量[kg] | 1,520 |
総排気量[cc] | 2.188cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 129〈175〉/4,500 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 420〈42.8〉/2,000 |
ミッション | 6MT |
タイヤサイズ | 225/45R19 |
JC08モード燃費 | 22.2km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 3,742,200円 |
発売日 | 2015年1月7日 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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