最新・最良の走る歓びを具体化した大幅改良
マツダは、フラッグシップとなるアテンザのセダンとワゴンを大幅改良し発売を開始した。
今回の大幅改良は、デザインや走行性能・静粛性・進化型エンジンの搭載など多岐にわたる。マツダは、フラッグシップモデルにふさわしい最新・最良の「走る歓び」を具現化したとしている。
マツダ アテンザの歴史
マツダ アテンザは、2012年12月にフルモデルチェンジし3代目となった。CX-5に続き、マツダ新世代商品群の第2弾として登場。新デザインテーマの「魂動(こどう)」が採用され、生命感のあるダイナミックな美しさを表現。
搭載されたエンジンは、2.0Lと2.5Lの直4ガソリン。そして、2.2Lディーゼルエンジンが用意された。2.2Lディーゼルは、当時420Nmという大トルクを誇り、セダンのATで20.0㎞/Lという低燃費を実現。1ヶ月後の受注台数では、このディーゼル車が全体の76%を占めるほどの人気を誇った。
その後、アテンザは何度も改良を施す。2016年の改良では、新世代車両運動制御技術Gベクタリングコントロール、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備、進化型ディーゼルエンジン、静粛性の向上が行われている。
販売台数は低迷。どうやって顧客のハートをつかむのか?
アテンザの販売状況は、デビューから1年半ほど好調を維持したものの、その後、ズルズルと販売台数は下降。その後、1,000台/月売るのも厳しい状況が続いた。直近では500台/月売るのも、難しくなっていた。
セダンが売れない日本マーケットとはいえ、ワゴンもボディももつだけに、アテンザの存在感は非常に薄くなっているのが現状だ。また、セダンが売れないマーケットとはいえ、トヨタ カムリは予想を覆し大ヒット。2017年度は26,127台を売り、登録車販売台数ランキングで31位。クラウンに次ぐ順位となっている。
セダンが売れない日本マーケットとはいえ、個性的なデザインと、低燃費なハイブリッドという組み合わせなら、まだまだセダンも売れるということをカムリは実証したことになる。アテンザは、大幅改良によって、どう顧客のハートを響かせるかが重要だ。
品のある迫力を身につけたアテンザのデザイン
大幅改良が行われたマツダ アテンザ。まず、デザインは基本的なフォルムを維持しながら、細部に変更が加えらている。ひと目で分かる変更点は、ヘッドライトとグリル。ヘッドライトは、薄くワイドな造形と線表現の発光でより精悍な表情を演出。新グリルは、立体感、骨格の強さ、重心の低さ、広がり感を強調。品の良い睨みの効いたフロントフェイスになった。
インパネデザインは、インストルメントパネルとドアトリムのデザインを大幅に変更。ワイド感とスピード感、そしてエレガンスさをより質感高く表現。
シートもデザインを一新した。シート全体で体を支えるように、絶妙なフィット感を実現。背もたれや座面の構造を最適化。乗員の骨盤を立たせ、背骨を理想のS字に保持するシート性能を得た。さらに、人間が不快に感じる振動を遮断する性質を持ったウレタンを座面に採用。ロングドライブでも快適に座り続けられるシートに仕上げている。
レザー内装の上級モデルである「25S L Package」「XD L Package」には、ナッパレザーシートや本杢(ホンモク)パネル、Ultrasuede®nu(ウルトラスエードヌー)など、最新・最良の素材を使用。フラッグシップに相応しい高級感あふれる内装とした。
最新のエンジンにアップデート
マツダ アテンザの改良では、従来通り2.0L直4、2.5L直4のガソリンエンジンと、2.2Lディーゼルの3タイプとなった。ただし、エンジンは最新タイプにアップデート。2.0Lの「SKYACTIV-G 2.0」は、新技術を採用し、全域にわたるトルクアップを実現。実用燃費も向上させた。セダンのJC08モード燃費は16.6㎞/L。出力は156ps&199Nmとなった。
気筒休止技術を追加した2.5Lの「SKYACTIV-G 2.5」は、190ps&252Nmとなった。こちらも、日常域での扱いやすさと実用燃費向上に貢献している。セダンのJC08モード燃費は14.8㎞/Lとなっている。
2.2Lのクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」は「急速多段燃焼」技術などを採用。静粛性も向上させながら、出力を175psから190psへ、トルクを420Nmから450Nmへとアップした。ディーゼルの燃費は、新たな基準となるWLTCモードで、セダンのAT車が17.8km/Lとなった。
ボディを強化。快適な乗り心地と爽快な走り、そして高い静粛性を実現
フラッグシップモデルとしての価値を上げるため、走りの質を大幅に向上。まず、ボディを強化。とくに、サスペンション取り付け部の局部合成を大幅にアップさせている。
より強固になったボディに合わせ、サスペンションを再設定。さらに、タイヤまで新開発。この新開発タイヤは、サイドウォールをわずかに柔らかくした。タイヤのサイドウォールを柔らかくすると、バネ効果が発揮され振動を吸収する。
しかし、デメリットとして、カーブなどでは、サイドウォールの変形が大きくなり、操舵に対するレスポンスが悪くなったりする。しかし、マツダはタイヤのトレッド剛性を高くすることで、こうした悪癖を解消した。こうした改良により、アテンザらしいキビキビとした走りと快適な乗り心地を両立している。
同時に静粛性も向上。フロントウインドウやフロアパネルの板厚アップ、各ピラートリム内に吸音材などを追加。静粛性を大幅に高めている。
夜間でも歩行者検知できる自動ブレーキを標準装備化。より高い予防安全性能を得た
装備面では、夜間における歩行者認識が可能となった自動ブレーキを含む先進予防安全装備「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」を採用。「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」のLEDブロックを20分割に細分化。ハイビーム照射性能と配光性能を進化させ、より緻密な照射範囲のコントロールを実現していて、夜間の走行もより安心できるようになった。そして、ようやく「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」には、停車状態からでも追従走行が可能な全車速対応式に進化。高級モデルといえるレベルになった。
また、4つのカメラ映像を加工し、まるでクルマを真上から見たような映像にした「360°ビュー・モニター」を設定。周囲の状況がひと目で分かるので、うっかり接触などのリスクを軽減できる。
アテンザに標準装備化された安全装備の数々は、非常にレベルが高く、高級車に相応した安全性能を得ている。
マツダ アテンザ、アテンザワゴンのグレード選び
マツダ アテンザは、セダンかワゴンか? と、いう選択になる。ボディ選びは、使い方と好みで選べばいい。より荷物を多く積みたいというのであれば、当然ワゴンということになる。
重要なのがエンジンの選択。アテンザの車格を考えると、2.0Lというのは少々物足りない。市街地中心での走行や、車両価格重視の人向けとなる。お勧めは、やはり2.2Lディーゼル。価格は、ガソリン車に対して約41万万円も高価だ。
価格差は大きいが、まずディーゼルは燃費がよい。ディーゼルのWLTCモード燃費は、FF(前輪駆動)で17.8㎞/L。2.5Lは14.2㎞/L、2.0Lは15.0㎞/Lとなっている。ディーゼルは、燃料に軽油を使う。軽油はレギュラーガソリンより、20円/L前後も安い。こうなると、燃料費は大幅に変わる。さらに、補助金やエコカー減税など、非常に優遇されている。実際、それでも41万円を回収するには、かなり走行距離を重ねる必要もあり、元を取るのは難しいかもしれない。ただ、450Nmという大トルクは魅力で、非常に余裕がありスポーティな走りも可能。ディーゼル車の満足度は、非常に高い。
アテンザのグレード選びは、まず20SやXDは外したい。安全装備などは高いレベルにあるものの、全車速追従式のクルーズコントロールや、車線維持を支援するレーンキープ・アシスト・システムが装備されていない。高級車としては、少々物足りない。価格優先という人以外は、あまりお勧めできない。
アテンザのグレードでは、まずPROACTIVEをベースに考えると良いだろう。PROACTIVEと最上級グレードのL Packageとの差は、パワーシートやヒーター、シートベンチレーション、Boseサウンドシステム、19インチホイール、ナッパレザーシートなどなどと、かなり多い。ほとんどが豪華装備の差となっている。価格差は大きく約58万円だ。基本的には、PROACTIVEの装備で十分。後は、予算や好みによって一部はオプション選択できるので、プラス装備してみるといいだろう。
マツダ アテンザ/アテンザワゴン価格
・20S 2WD AT 2,829,600円
・20S 2WD AT 2,959,200円
・25S L Package 2WD AT 3,542,400円
・XD 2WD AT 3,240,000円/6MT 3,294,000円、4WD AT 3,477,600円/6MT) 3,531,600円
・XD PROACTIVE 2WD AT 3,369,600円/MT 3,423,600円、4WD AT 3,607,200円/MT 3,661,200円
・XD L Package 2WD AT/MT 3,952,800円、4WD AT/MT 4,190,400円
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