ショーファーカー = セダンは、過去のもの!? 攻めのSUV風センチュリー登場!
トヨタは、ショーファーカーのセンチュリーにSUV風の新モデルを発表した。発売は2023年中としている。
トヨタ センチュリーは、トヨタにおける最上級ショーファーカーとして、1967年に誕生。初代センチュリーは、「今までにない新しい日本の高級車」を作ることを目指して開発された。「日本の伝統的な美」を取り込んだ品格のあるデザインとし、圧倒的な静粛性・快適性を実現する「人中心」の思想を設計コンセプトに、日本の技術の粋を注ぎ込み生み出された。センチュリーは、唯一無二の「おもてなしの心」を備えた日本を代表するショーファーカーとして、半世紀以上に渡り販売されてきた。
従来、ショーファーカーは「セダン」であることが、絶対条件だった。それは、世界のニーズがセダンモデルだったこともある。そして、いつの間にか、多くの自動車メーカーは思考するのをやめ、ショーファーカーは、セダンであるべきと思い込み続けてきたのかもしれない。
その一方で時代は流れ、顧客ニーズは徐々に変化してきた。世界中でセダン離れが進み、SUVブームが起きた。贅を尽くした大型の高級SUVが続々と投入された。そして、日本ではアルファードなどのLクラスミニバンをショーファーカーとして使うムーブメントも起きた。
こうした流れは、理にかなっている。SUVやミニバンは、セダンより乗り降りがしやすく、より広い空間をもち開放感もあり、見晴らしが良い。より快適な移動空間というのであれば、こうしたモデルの方が最適かもしれない。
そんな中、2018年にショーファーカーのトップブランドであるロールスロイスから、初のSUVであるカリナンがデビューした。このモデルを見た時、セダンのショーファーカー時代は終わるのでは? と、思ったほどだ。ただ、まだショーファーカーの中心はセダンである。
そう意味で、トヨタがセンチュリーのSUV風モデルを見たとき、「トヨタ、攻めてるなぁ」と驚きを隠せなかった。
トヨタは、このSUVセンチュリーの開発コンセプトを「The Chauffeur」とし、常に本質を追求。センチュリーにふさわしい品格や静粛性・乗り心地を継承しつつ、新しいショーファーカーへと進化させたという。
シルエットは、ロールスロイス カリナン似?
SUV風トヨタ センチュリーの外観デザインは、なかなかユニークだ。“威風凛然”をテーマに日本の美意識を随所にちりばめた、品格のある佇まいとした。
水平・垂直を基調とした、堂々としたシルエットが特徴。そのシルエットは、ロールスロイス カリナンにも似ている。ウインドウ部分は、かなり小さくなっていることもあり、とても塊感がある。
フロントとリヤ共に、4つのランプで構成されていて、センチュリーのユニークな部分だ。
おもてなしの空間。フルリクライニングできる後席などを装備
センチュリーのインテリアは、「人中心」の思想で設計された。日本人が贅沢と感じる広さや装備が用意され快適な室内空間を提供。リヤシートは、リフレッシュ機能などにより、くつろげるフルリクライニングシートを採用。車内で疲れを癒すことができる。生演奏を彷彿させる心地よい音を奏でるオーディオも用意した。
そして、大きな魅力は、後席に乗る顧客の利便性。最大75°まで開くリヤドアと、掃き出しフロアで、優れた乗降性を実現。最低地上高は185mmとSUV並みなので、便利なオート電動格納式ステップやセンターピラーに取り付けられた握りやすい大型アシストグリップで、ストレスなく乗降をサポートする。
やっぱりSUV? センチュリーセダンとは、まったく異なるプラットフォーム
SUV風センチュリーのプラットフォーム(車台)は、数多くの車種に使われているFF(前輪駆動)ベースのGA-Kをセンチュリー専用に改良している。プラットフォームそのものは、すでに北米で公開された3列シートをもつSUVであるレクサスTX用と思われる。ホイールベースも共通だ。
FFベースのプラットフォームを採用していることから、FR(後輪駆動)用プラットフォームを使うセンチュリーセダンとは、車名は同じでもまったく異なるクルマであることが分かる。
このGA-Kプラットフォームをベースに、センチュリーにふさわしい乗り心地の実現を目指し、「ラゲージルームセパレート構造」を新開発したと思われる。フロント各部の構造強化に加え、リヤサスペンション取り付け部に「ラゲージルームセパレーター骨格」を結合。ボディねじり剛性や乗り心地を大幅に向上した。ラゲージルームセパレーターの室内側には「遮音機能付クリア合わせガラス」を採用。ショーファーカーにふさわしい、荷室とは切り離されたプライベート空間と圧倒的な静粛性を実現している。
SUV風センチュリーの燃費は14.2㎞/L!
パワーユニットもレクサスTX550h+と共通とみられる3.5L V6(2GR-FXS型) プラグインハイブリッドシステムを採用。システム最大出力は、412psと非常にパワフル。
充電電力使用時走行距離は69㎞。街中の日常走行であれば、十分な航続距離だ。また、ハイブリッド時の燃費は、14.2㎞/L(WLTCモード)。後輪側には、高出力モーターを設置したe-Axleを採用した。
フラットな乗り心地とする多くの制御技術を投入
センチュリーは、E-Four Advancedと呼ばれる電気式4WDシステムを使う。走行状態に合わせて前後輪トルク配分を100:0〜20:80の間で緻密に制御。さまざまな路面で、高いトラクション性能と操縦安定性を実現した。
センチュリーは、ショーファーカーということもあり、ドライブモードにリヤコンフォートモードを設定。後席のVIPに加減速を感じさせないように、前後輪の駆動・制動力を適切に配分。フラットな乗り心地を保つように、車両姿勢をコントロールする。
センチュリーには、後輪操舵機能であるDRS(ダイナミック・リヤ。ステアリング)が装備されている。この機能を使い。車線変更時には、DRSの制御によって後部座席の横方向Gを低減。後席に座っていると車線変更中であることに気づかないほどだという。DRSの効果により、センチュリーの最小回転半径は、5.5mとコンパクトカー並みの小回り性能を得ているので、大きなボディながら扱いやすい。
さらに、ブレーキ車両姿勢制御(ピッチ制御)にてブレーキの前後制動力の配分を最適化。制動時の「安心感」と「前傾姿勢低減による快適性」を追求するなど、後席のVIPがより快適でいられる制御が満載だ。
革新か伝統か? どちらのセンチュリーを選ぶ? 価格は2,500万円!
そして、SUV風センチュリーの価格は、2,500万円となった。センチュリーセダンの価格は2,008万円。約500万円の価格差が付いた。
センチュリーセダンは、FRでV8 5.0Lハイブリッド、SUV風センチュリーはFFベースのE-Four AdvancedでV6 3.5L PHEV。まったく異なるクルマだが、ショーファーカーを選ぶ顧客が、伝統のセンチュリーセダンか、革新のSUV風センチュリーのどちらを選ぶのか注目が集まる。
トヨタ センチュリー価格
・センチュリー 25,000,000円
トヨタ センチュリー燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード: センチュリー 3.5L PHEV
ボディサイズ[mm]: 全長 5,205×全幅1,990×全高1,805
ホイールベース[mm]: 2,950
最低地上高[mm]: 185
最小回転半径[m]: 5.5
車両重量[kg]: 2,570
総排気量[cc]: 3,456
エンジン種類:2GR-FXS型 V6 DOHC
エンジン最高出力[kW(ps)/rpm]:193(262)/6,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm]: 335(34.2)/4,600
フロントモーター最高出力[kw(ps)]: 134(182)
フロントモーター最大トルク[N・m(kg-m)]:270(27.5)
リヤモーター最高出力[kw(ps)]: 80(109)
リヤモーター最大トルク[N・m(kg-m)]:169(172)
システム最高出力[kw(ps)] 303(412)
ミッション: 電気式無段変速機
WLTCモード燃費[km/l]: 14.2
充電電力使用時走行距離[km]:69
バッテリー 種類:リチウムイオン
サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク
タイヤサイズ:255/55R20
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