【VW 新型 トゥアレグ ハイブリッド 新車試乗評価】ブランドよりも本当の価値重視! 今、最もクールなエコカー

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【VW】2011/03/04

 

トゥアレグ ハイブリッド

エンジンの可能性を徹底的に追求するフォルクスワーゲンがあえて造ったハイブリッド車に興味津々

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド リアビュー 画像

 「そろそろフォルクスワーゲンにしようかな」と思っている。
なぜかというと、フォルクスワーゲンはエンジンをダウンサイジングさせ、燃費性能と走行性能の相反する性能を向上させたモデルを速いテンポで登場させているからだ。ガソリンエンジンの新たな可能性を追求している今一番クールなメーカーであり、一度ハンドルを握ってみたいと考えていた。そのフォルクスワーゲンで一番高価なモデルでもあるトゥアレグは二代目となり、初のハイブリッドモデルを登場させ、とても興味を持って試乗に望んだ。

新型VWトゥアレグのエクステリアは従来のイメージを継承し一目でフォルクスワーゲンだと分かるスタイルである。正面から見るとフォルクスワーゲン共通のデザインのVWマークを中心にシャープなラインで構成されている。筋肉質なスタイルであり、前モデルよりサイズは大きいのに引き締まっていて小さく見える。
トゥアレグのインテリアもゴルフにも通じる共通のデザインイメージで、まとめあげられていた。レザーシートも含め全体の質感は高く、全ての方向に余裕があるが意図的コンパクトに見えるデザインで運転のし易さを演出している。ナビゲーションと兼用の8インチ大型ディスプレイにはハイブリッドシステムの情報などが表示される。情報の図形が整理され、文字も大きく運転中も見やすい。こんな一端にも、乗員に対するフォルクスワーゲンの細かな配慮が感じられると評価したい。

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド V6 3.0リッター スーパーチャージャーエンジン 画像
フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド ニッケル水素電池 画像
フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド ハイブリッドシステムインフォメーション 画像

 

E-MODEのEV走行モードを体感

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ V6 BLUEMOTION 走り 画像

画像は「トゥアレグ V6 BLUEMOTION」

 アクセルを踏むとモーターだけで発進するが、少しスピードが上がると直ぐにエンジンが始動。トヨタのハイブリッドシステムよりモーターだけで走る時間は少ない。通常はエンジンが主役であり、3リッター直噴V6スーパチャージャー(最高出力:333PS)は振動が少なく低速トルクもあり、高回転までバランス良く回る。前モデルのV8搭載車に負けない質感とパワーを持ち、アクセルを強く踏めばブーストモードが作動。46PSのモーターがアシストして、車両重量2340kgが半分になったような加速をする。

VWトゥアレグ・ハイブリッドに装着されたE-MODEスイッチを押すと、EV走行モードとなる。50km/hまではモーターだけで走る。だが、車重が倍に増えたように緩慢な加速になるので、後続車にも迷惑になるし、エミッションフリーとかエコとかではなく、便利な装備と考えた方が良い。深夜の帰宅時の車庫入れなど、限定的な使い方にピッタリだ。

高速道路でのストレスは全くない。軽くハンドルに手を添えているだけでクルマが勝手に進み、室内も走行音は聞こえてくるが静かさが保たれていて疲労は最小限である。必要があればアクセルを軽く踏むだけで瞬時に望むスピードまで素早く加速、アクセルをオフにすればエンジンは停止しクラッチによりドライブトレーンから切り離されコースティング走行モードになる。市街地ではエンジンの停止が少なかったが、高速道路では頻回にコースティングモードになり、燃費の向上と快適性につながると評価しよう。

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド リアシート インテリア 画像
フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド フロントシート 室内 画像
フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド インパネ周り コックピット 画像

2トンオーバーとは思えない軽やかなハンドリング

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ V6 BLUEMOTION 走行シーン 画像
ハンドリングは4WDを意識する事も無く自然な動きであり車両重量が2トンオーバーのクルマとは思えない軽やかな動きである。エアサスペンションはしっかり路面を掴み変な突き上げもない。ダンパーは「コンフォート」、「ノーマル」そして「スポーツ」の3種類をセンターコンソールのスイッチで選択が可能で、「スポーツ」では硬さを感じるので試乗中は「ノーマル」を選択したがペースを上げても「スポーツ」の必要性は感じなかった。4WDはオンロード重視であるが4輪全てにエレクトロニック・ディファレンシャル・ロックを装備していて通常遭遇するオフロード性能にも対応している。最先端の運転支援装置である車間距離自動制御式クルーズコントロール、先行車衝突危険システム、車線逸脱警告システム、後方車両接近警告システムなどが標準装備され、最初はここまで必要かと思ったが、あればあったで運転中の危険が減り便利な装備だ。

V6モデルのお得度に驚きつつ、ハイブリッドモデルの完成度に感服

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ V6 BLUEMOTION 走り 画像

トゥアレグ V6 BLUEMOTION

 次にV6モデルに試乗した。V6 直噴3.6リッターFSIは280PSと従来と変わらないパワーを維持しながら、各種改良とアイドリングストップ機能やブレーキエネルギー回生システムを採用し38%燃費を向上している。エコは一種のガマンでもある。だから、エコモデルと聞いて、あまり期待はしていなかったが、試乗してみたら低回転でのトルクも十分でエンジンは高回転まで気持ち良く回り、8速ATとのマッチングも良かった。軽快な乗り味であり、装備はフル装備のハイブリッドモデルとは大きな差があるが、必要なものは付いていての623万円はお得な感じがした。

VWトゥアレグ・ハイブリッドは結果的には燃費の向上につながるが、エコの為ではなくクルマ本来の魅力を増すための装備であり、高級感の演出に役立っている。完成度が高く魅力的であるが900万円の値段を考えると、もう少し「華」が欲しいが、それではフォルクスワーゲンのシンプルでクリーンなイメージから外れてしまう。100万円以上高い兄弟車のポルシェカイエンSハイブリッドが真のライバル車であるが、ブランドより、そのモノの本当の価値が分かる人に、日常の足としてハンドルを握って欲しいクルマである。

フォルクスワーゲン 新型 トゥアレグ ハイブリッド 外観 画像

 

代表グレード Volkswagen Touareg Hybrid(フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド)[4WD]
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4800x1945x1740mm
車両重量[kg] 2340kg
モーター 交流同期電動機
モーター最高出力 46ps(34kW)
モーター動力用主電源 種類 ニッケル水素電池
エンジン種類 V型6気筒 DOHCインタークーラー付きスーパーチャージャー(4バルブ)
エンジン総排気量[cc] 2994cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 333ps(245kW)/5500-6500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 44.9kg-m(440N・m)/3000-5250rpm
トランスミッション 8速AT
10・15モード燃費[km/L] 13.8km/L
定員[人] 5人
消費税込価格[万円] 898.0万円
発売日 2011/02/17
レポート 丸山 和敏
写真 CORISM編集部

 

 

フォルクスワーゲン トゥアレグ V6 BLUEMOTION 走り 画像

 

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(レポート:丸山 和敏

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