ヒョンデ インスター試乗記・評価 神コスパ! 軽BEV、ハイブリッドコンパクトカーの脅威になる!?

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【その他】2026/04/13

ヒョンデ インスター フロントスタイル

 

徐々に日本で存在感が出てきたヒョンデ、BEV第3のモデルが「インスター」

 

韓国の自動車メーカー、ヒョンデ(現代)はトヨタとフォルクスワーゲン・グループに次ぐ世界で第3位の自動車メーカーに成長した。

一度日本マーケットから撤退したヒョンデだが、地球温暖化の元凶となるCO2削減やカーボンニュートラルを目指し、2022年にゼロエミッション・ビークルを携えて日本市場に戻ってきている。

上陸から3年目を迎えたバッテリーEVのアイオニック5は、かなり都市部で見かけるようになった。これに続くコナも少しずつ増えてきている。そしてBEV(バッテリー電気自動車)の第3弾として日本市場に送り込まれたのがコンパクトカーの「インスター」だ。

ヒョンデ インスター リヤスタイル

 

日本マーケットにピッタリ!? 軽自動車より少し大きなBEV

 

インスターは、軽自動車よりも少し大きいヨーロッパのAセグメントに属し、ホイールベースも2580㎜とした。2ボックスだが、パッケージングはハイトワゴンに近い。全長は3830㎜、全幅は5ナンバー枠に余裕を残した1610㎜だ。全高は1615㎜と、サイズ的にはスズキのソリオに近い。

多く存在する全高制限1,550mmという立体駐車場には入らないが、背を高くしたことによって大人4名が無理なく座れる、居心地のいい空間を生み出している。もちろん、日本仕様は右ハンドル車で、ウインカーレバーも右側だ。

ヒョンデ インスター フロントアップ

ヒョンデ インスター リヤアップ

 

 

神コスパ? エントリーグレードは、日産サクラに迫る!

 

日本に導入されるインスターのグレードは3グレード構成。ボトムは284万9000円の戦略価格を打ち出した「カジュアル」になる。日産のサクラに迫るリーズナブルな価格設定だから、快適装備と運転支援システムは物足りないが、その他必要な装備に加え、ナビシステムだけは標準とした。

また、バッテリー容量も42kWhと、それなりの容量を確保した。実際の一充電走行距離は300km前後だろう。エアコンを使っても軽規格のBEVより距離を伸ばせるはずだ。

中間グレードの「ボヤージュ」とトップグレードの「ラウンジ」は、バッテリー容量が49kWhに増量されている。WLTCモードの一充電走行距離は、クラストップの458kmだ。こちらなら余裕で300kmの距離を走れるだろう。

快適装備と運転支援装備も「ボヤージュ」は充実している。フルLEDヘッドライトやルーフレール、アルミホイール、ヒーター付き本革巻きステアリング、前席シートヒーター、車速追従クルーズコントロールなど、満足できる内容だ。

357万5000円の「ラウンジ」は、17インチタイヤとアルミホイール、電動スライド式サンルーフ、スマートフォン・ワイヤレスチャージ、前席シートヒーター&ベンチレーション、デジタルキー、200V充電ケーブル、アンビエント・ルームランプなどが加わる。「ラウンジ」は、クラスの常識を大きく超えた充実した装備内容が自慢だ。

ヒョンデ インスター インパネ

ヒョンデ インスター メーター

ヒョンデ インスター センターコンソール

 

SUVテイストのカッコかわいいデザイン

 

インスターのベースとなっているのは、ガソリンエンジンも設定する軽車(韓国版の軽自動車キョンチャ)のキャスパーである。エクステリアは個性の強いデザインだ。クロスオーバーSUVムードのフォルムで、ヘッドライトもリアコンビネーションランプも丸形にしてキュートな表情を狙った。アイオニック5などと同じように、デジタルの世界を構成するパラメトリックピクセルをモチーフとしたデザインアイデンティティは、このインスターでも健在だ。

インスターのインテリアは、水平基調のシンプルなデザインで、中央に10.25インチのナビシステムをセットしている。開放感あふれ、上級の「ラウンジ」は電動スライド式サンルーフを標準装備した。

フロントシートは、ベンチタイプだからウォークスルーが可能だ。インテリアの質感はそれなりで、割り切りが目立つ。軽自動車レベルで、ちょっと安っぽい。リアシートはリクライニング機構だけでなくスライド機構も装備し、快適性を高めている。

ヒョンデ インスター フロントシート

ヒョンデ インスター リヤシート

 

 

ガソリン車からの乗り換えでも違和感なし! ジェントルな加速フィール

 

試乗に引っ張り出したのは、トップグレードの「ラウンジ」だ。前輪を駆動するモーターは「カジュアル」の97ps(71kW)よりパワフルで、最高出力115ps(85kW)/5600〜13000rpmを発生する。最大トルクは147N・m(15.0kg-m)/0〜5400rpmだ。1.5Lのガソリンエンジンと同等のスペックだが、モーターは瞬時にトルクが立ち上がるから不満はない。

シフトレバーは、ステアリングコラムの右側にあり、上から進行方向に回すとDレンジに、前に回すとR(リバース)に入る。すぐに慣れ、違和感なく運転できた。車両重量は1400kgと軽くはない。が、速いクルマの流れにも難なく乗ることができた。

スポーツモードは、唐突感のないジェントルな加速フィールだ。穏やかなアクセル特性を好む日本の市場に合わせて上手にチューニングしている。モーターならではのシームレスで滑らかな加速は心地よい。静粛性に代表される快適性もガソリン車の一歩上をいく。

ヒョンデ インスター モータールーム

 

ワンペダルOK! 便利な回生ブレーキ

 

BEVのアピールポイントのひとつである回生ブレーキの使ったワンペダル制御のiペダルは、強弱を4段階に切り替えることができる。完全停止までOKだから、BEVに乗り慣れたワンペダル推進派は嬉しいだろう。

もちろん、回生ブレーキを穏やかな方向にセットすれば、ガソリン車から乗り換えても違和感はない。また、回生ブレーキの強度を自動で調整してくれるスマート回生モードも設定していて、とても便利だ。

ヒョンデ インスター 荷室

ヒョンデ インスター 荷室

ヒョンデ インスター 荷室

 

コンパクトカーなのに、意外と小回りは苦手

 

サスペンションはフロントがストラット、リアはトーションビームである。最上級の「ラウンジ」のタイヤは205/45R17で、クムホのエコスタHS52EVを履いていた。

ちなみに、他のグレードは185/65R15サイズだ。ブレーキは全車ベンチレーテッドディスクとディスクの組み合わせとなっている。電動パワーステアリングとサスペンションも、日本のユーザーの走り方や乗り方を分析し、好みに合うようにチューニングを施した。

パワーステアリングは、軽い操舵で運転しやすい。とくに、車庫入れなどのシーンでは軽いと感じられる。だが、意外だったのは最小回転半径が5.3mと意外に大きいことだ。駐車や幅寄せのシーンでは慣れを必要とする。

ZF製のザックス・ショックアブソーバーは、乗り心地に振った味付けとした。サスペンションは快適方向に振っているが、ヨーロッパ車のようなフィーリングだ。路面によっては引き締まっていると感じられるが、コーナリングでのリアのスタビリティ能力は高いし、ロールも上手に抑え込んでいる。高速道路でのレーンキープ、車線追従も上手だ。

ヒョンデ インスター 充電口

ヒョンデ インスター シフトノブ

 

補助金次第とはいえ、日本の軽BEVやハイブリッドコンパクトカーよりも安価に!?

 

インスターは、フロントバンパー左側に給電口を設けている。200Vの普通充電器だけでなく、日本の急速充電器の充電規格CHAdeMOにも対応。最近増えている100kW以上の高出力充電器も使うことが可能だ。

また、家庭用機器などの電源となる「V2L(Vehicle to Load=ヴィークル トゥ ロード)」にも対応している。最大出力は1360Wだから多くの機器を使えるだろう。

ちなみにCEV補助金は、2026年4月現在、47万円(クロスのみ37万円)だ。日産サクラと大差ない出費でバッテリー容量の多いインスターに乗ることができる。販売価格を含めコスパはメチャ魅力的だから、ニッポンの軽EVとコンパクトカーには脅威の存在になりそうだ。

<レポート:片岡英明

 

ヒョンデ インスター新車価格

*()内バッテリー容量

・カジュアル 2,849,000円(42.0kWh)

・ボヤージュ 3,355,000円(49.0kWh)

・ラウンジ 3,575,000円(49.0kWh)

・クロス 3,729,000円(49.0kWh)

 

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ヒョンデ インスター航続距離、電費、ボディサイズなどスペック

代表グレード   ラウンジ

全長×全幅×全高  3,830×1,610×1,615mm

ホイールベース 2,580mm

最低地上高 145mm

荷室容量 280L

車両重量 1,400㎏

モーター型式  EM08

モーター最高出力  85kW(115㎰)/5,600~13,000rpm

モーター最大トルク  147Nm(kgf·m)/0~5,400rpm

一充電走行距離WLTCモード(航続距離)  458㎞

総電力量(バッテリー容量) 49.0kWh

電費(航続距離÷バッテリー容量) 約9.4㎞/kWh

動力用主電池種類 リチウムイオン

駆動方式  後輪駆動

サスペンション型式  前:ストラット式 後:トーションビーム式

タイヤサイズ 前後  205/45R17

最小回転半径  5.3m

 

ライター紹介

モータージャーナリスト

片岡英明

1954年、茨城県生まれ。自動車専門誌で編集に携わった後、独立してモータージャーナリストに。新車だけでなく、クラシックカーやEVなどにも精通している。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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