AMGさえも、ダウンサイジングの波に逆らえない
今までのAMGモデルは、良い意味ですべてボクの予想を超えていた。だから、AMGの新エンジンが搭載されたというメルセデス・ベンツS63AMGに乗れるというだけで、うれしさのあまり朝から少々テンションは高め。唯一気になるのは、天気が雨だということだ。この雨の中、500馬力を超えるモンスターを操らなければならないかと思うと「大丈夫かオレ?」的気分になる。
目の前に静かに佇むメルセデス・ベンツS63AMGのスタートボタンを押すと、ボン! という空ぶかしを軽く決め威勢よくエンジンが目覚める。早朝や深夜の住宅街では少々気になるが、これは儀式のようなものだ。
今回のモデルチェンジでは、6.3Lから5.5Lへとダウンサイジングが図られた。AMGとはいえ、環境対策を無視することはできないという表れでもある。さすがAMGといえるのは、単純にダウンサイジングさせて環境対応というものではなく、ダウンサイジングさせながらも前モデルを19PS上回る544PS、170Nmアップの800Nmというパフォーマンス発揮する。これは、緻密な燃料噴射を可能としたピエゾインジェクターを用いたスプレーガイデッド・ガソリン直噴式燃料噴射システムやツインターボチャージャーを用いて実現している。
目の前に静かに佇むメルセデス・ベンツS63AMGのスタートボタンを押すと、ボン! という空ぶかしを軽く決め威勢よくエンジンが目覚める。早朝や深夜の住宅街では少々気になるが、これは儀式のようなものだ。
今回のモデルチェンジでは、6.3Lから5.5Lへとダウンサイジングが図られた。AMGとはいえ、環境対策を無視することはできないという表れでもある。さすがAMGといえるのは、単純にダウンサイジングさせて環境対応というものではなく、ダウンサイジングさせながらも前モデルを19PS上回る544PS、170Nmアップの800Nmというパフォーマンス発揮する。これは、緻密な燃料噴射を可能としたピエゾインジェクターを用いたスプレーガイデッド・ガソリン直噴式燃料噴射システムやツインターボチャージャーを用いて実現している。
アイドリングストップ機能で大幅燃費アップ評価!
もちろん、環境対策はこれだけではない。ECOスタートストップ機能と呼ばれるアイドリングストップ機能とトルコンから湿式多板クラッチに替えた7速トランスミッションAMGスピードシフトMCTにより、約50%の燃費向上を図っている。ダウンサイジングされたとはいえ、5.5Lもの排気量があるわけなので、アイドリングストップ機能の果す役割は大きい。考えてみれば、トヨタ新型ヴィッツの4台分以上の排気量だから、かなりの燃料が節約できるはずと評価していい。このアイドリングストップ機能、さすがにSクラスだけあり、違和感はほとんどなく、普通に走っている限りでは、いつ止まって再始動したか分からないくらい自然だった。当然のことながら、イグニッションをオンにしてエンジン始動時にあったボン! という、空ぶかしが入る演出はない。比較的大きな排気量をもつメルセデスだけに、このアイドリングストップ機能をすべてのメルセデス車に装着できれば、大幅燃費向上が期待できる。さらに、S63AMGには専用のオプションとしてAMGパフォーマンスパッケージが用意される。こちらは、さらに27PSと100Nmのエンジン出力が向上。カーボンのエンジンカバーや鍛造20インチホイールなどなどが組み合わされる。
インジェクターの精度を上げ、さらに1ミリ秒内に4回スパーク。さらにツインターボなどで、排気量をダウンさせながらも従来比19馬力UPを実現
63系のAMGでお馴染みの左右4本出しのマフラー。サウンドは静かというよりは高揚感のある感じだ
さらに27馬力もアップするパフォーマンスパッケージのホイールは20インチのツインスポークタイプになる。もちろん鍛造だ
超ハイパフォーマンスでも、Sクラスの品格は失わず
恐怖を感じるくらいのスペックをもつS63AMGだが、さすがにSクラスの品格は失っていなかった。2.2トンを超えるボディをゆったりと加速させる。その加速感は、エンジンスペックから感じる暴力的なものではなく、あくまで紳士的。ターボモデル特有のある回転域から唐突にトルクが出て、急に加速するようなことはないので、運転はしやすいと評価したい。とはいえ、加速力はハンパではない。少し大目にアクセルを踏めば、アッという間に高速道路の法定速度を超えていく。そんな加速をしながらも、このクルマの恐ろしいところは、車内はいたって平穏なのだ。肩肘をつきながら、リラックスモードで助手席のゲストと談笑しながらも、スピードメーターはとんでもない数字を表示する。もはや免許書が何枚あっても足りない、とはこのことで、自制心のない右足をお持ちの方はご遠慮願いたいクルマでもある。
ロングだけに、とくに後席の余裕はたっぷり。前席の居住性もまったく問題なし。ミッションは多板式のMCT7速に変更されている
これ以上、なにを求めるのか?
フットワークも素晴らしい。とんでもないスピードになっていても、クルマは常にフラット。スピードが上がれば上がるほど、小さな凹みや段差、うねりでも無視できないほど大きな衝撃を与え、クルマは揺れ振られる。ところが、そんな状況下でも車内はいたって平穏。鋼のボディと卓越したフットワークをもつAMGだからこその技でもある。
そんなコンフォートでジェントルな乗り味でいて、ハンドリングはスポーティなのだから、右足の自制心がない方にはたまらない。ステアリングを切れば、スパッとラインは決まるし、アクセルオンでもグイグイと大きく重いノーズがインを向く。立派なスポーツカーだ。気分は、スーツを着たまま100m走を9秒台走るウサイン・ボルトのようなものだろうか。
もはや、これ以上なにが必要なのか? と、思うほどにすべてがスーバーである。2,000万円を超える価格なのだから当たり前といえば当たり前だが、乗ると普通のSクラスがかすんでしまうほどのパフォーマンスをもつ。どちらにしても、スーパーエクスプレスで、ウルトラコンフォートなクルマであることは間違いない。
そんなコンフォートでジェントルな乗り味でいて、ハンドリングはスポーティなのだから、右足の自制心がない方にはたまらない。ステアリングを切れば、スパッとラインは決まるし、アクセルオンでもグイグイと大きく重いノーズがインを向く。立派なスポーツカーだ。気分は、スーツを着たまま100m走を9秒台走るウサイン・ボルトのようなものだろうか。
もはや、これ以上なにが必要なのか? と、思うほどにすべてがスーバーである。2,000万円を超える価格なのだから当たり前といえば当たり前だが、乗ると普通のSクラスがかすんでしまうほどのパフォーマンスをもつ。どちらにしても、スーパーエクスプレスで、ウルトラコンフォートなクルマであることは間違いない。
C63などのように弾けるようなパンチというよりも、あくまでフラットにパワーが出ていく感じだ。しかも天井知らずである。足回りもまったく破綻することなく、シャープなハンドリングと相まって、気持ちよく走れる
代表グレード | メルセデス・ベンツ S 63 AMG ロング |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5260×1870×1485mm |
車両重量[kg] | 2220kg |
総排気量[cc] | 5461cc ターボ |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 544ps(400kW)/5250-5750rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 81.6kg-m(800N・m)/2000-4500rpm |
トランスミッション | 7速AT |
10・15モード燃費[km/L] | 8.3km/L |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[万円] | 2292.0万円 |
発売日 | 2010/11/10 |
レポート | 大岡 智彦 |
写真 | 高木 博史 |
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(レポート:大岡 智彦)
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