ハリアーの歴史
トヨタは、ミドルサイズの高級SUVであるハリアーを一部改良、新たにプラグインハイブリッドのPHEVを追加し発売を開始した。ガソリン車、ハイブリッド車は、10月4日、PHEVは、10月31日に発売する。
トヨタ ハリアーは、2020年にフルモデルチェンジし4代目となった。初代モデルは、1997年にデビュー。この初代ハリアーは、SUVブームを巻き起こすきっかけとなった歴史的モデルだ。
従来のSUVは、トラックなどに使われるタフなラダーフレームをベースとしていた。オフローダーには、大きなメリットなのだが、市街地などを走る乗用車としては、乗り心地や静粛性など快適性部分が劣っていたのだ。
そこで、初代ハリアーは、カムリ系のプラットフォーム(車台)を使いSUV化された。そのため、悪路走破性を犠牲したものの、圧倒的な乗り心地の良さや静粛性の高さを得て、瞬く間に大ヒットした。
その後、2代目ハリアーもキープコンセプトで2003年に登場。2005年にはハイブリッド車も加わり、人気に拍車をかけた。また、北米の高級車ブランドであるレクサスRXと共通だったため、国内ではより高級SUVとしての地位を確立していく。
3代目ハリアーは、2013年に登場。レクサスRXとは切り離され、ほぼ国内専用車として販売された。
そして4代目は2020年にデビュー。RAV4と同じプラットフォームやパワーユニットを使いながら、より高級感と高い静粛性、快適な乗り心地を提供しRAV4と差別化。ハリアーのDNAをしっかりと継承している。
PHEVのメリットとは?
そんな国内高級SUVの代名詞となった4代目ハリアーだが、今回の改良で新たにPHEVが加わった。PHEVとは、Plug-in Hybrid Electric Vehicle。ハイブリッド車と大きく異なる部分は、外部電力を使い車両の走行用バッテリーを充電。その電力が無くなるまで、基本的にEV(電気自動車)として走行する点だ。走行用の電力が無くなれば、容易に入手できるガソリンを使いハイブリッド車として走行できるメリットがある。
新型ハリアーPHEVのEV航続距離は93㎞。93㎞もEVで走れるということは、日常の通勤や送迎・買い物といった使い方であれば、ほぼガソリンを使わない生活ができる。その間のCO2排出量は、ほぼゼロなのでカーボンニュートラル時代にピッタリなクルマとえる。
また、EVではまだまだ急速充電インフラに不安が多少あるものの、長距離走行時は容易に手に入るガソリンを使用するため、航続距離が長いというメリットがある。
システム出力は306ps! RAV4 PHVベースのシステムを搭載
ハリアーと基本骨格やパワーユニットを共有するRAV4には、すでにPHEVが設定されている。そのため、新型ハリアーPHEVもRAV4と同じシステムとなっていて、システム最大出力は306psと同じだ。
そして、ハイブリッド燃費は20.5㎞/L(WLTCモード以下同)。ハリアーハイブリッドの燃費は、21.6㎞/LなのでPHEV化によりわずかに悪化した。ただ、PHEV化により車重が約270㎏も重くなっていることを加味すれば、十分優れた燃費値といえる。
しかも、燃費値はほぼ同じだが、ハリアーハイブリッドのシステム出力は222psに対して、ハリアーPHEVは306psとかなりパワフルになっている。
ハリアーPHEV、価値ある1,500W100Vアクセサリーコンセントの標準装備化
新型ハリアーPHEVでは、専用のフロントグリルなどを採用。専用ボディカラー、グレーメタリックを含む4色を設定。インテリアには、インストルメントパネルからドアトリムへ金属メッシュ質感のダークレッドパイピングオーナメントを採用した。
装備面では、1,500W(AC100V)の外部給電システムや後席シートヒーター、床下透過表示機能付パノラミックビューモニターを標準装備。,500W(AC100V)の外部給電システムは、キャンプなどで家電製品が使えるなど、アウトドアの楽しみ方を変えることができる装備。さらに、災害時に家電が使えるメリットを生かし、給電車としての価値もある。
自動ブレーキも進化したが、最新にはならず・・・
新型ハリアーの改良点のポイントは、予防安全装備の機能向上。昼夜の歩行者と昼間の自転車が検知できる自動ブレーキへ変更。さらに、右左折時の歩行者と右折時の対向車にも対応する。
ただ、自動ブレーキの機能が進化したのは評価できるのだが、最新のトヨタセーフティセンスレベルに到達していない点だ物足りない。最新のトヨタセーフティセンスは、国内トップレベルの機能をもっていて、自動ブレーキは昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪まで検知する。
さらに、PDA(プロアクティブドライビングアシスト)と呼ばれる機能は、「歩行者の横断」「飛び出してくるかもしれない」など、運転の状況に応じたリスクの先読みを行う。歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないよう、ドライバーのステアリング・ブレーキ操作をサポートしてくるのだ。
さらに、市街地で前方の信号が赤。アクセルをオフにすると、先行車との車間距離を自動で維持しながら減速してくれる。停止時は、自らブレーキを踏む必要があるが、その間、ブレーキ操作の必要が無いので、ペダルの踏みかえ回数が減り疲労軽減にもなる。こうした機能が、コンパクトミニバンであるシエンタにも装備されているのだから、顧客の安全のために高級SUVであるハリアーにも早急に標準装備化してほしい。
その他、コネクティッドナビ対応のディスプレイオーディオを採用。12.3インチの大画面ディスプレイを設定した他、車載ナビも搭載した。また、クルマがWi-Fiスポットになる、「車内Wi-Fi」を採用。12.3インチTFTカラーメーター+マルチインフォメーションディスプレイを採用している。
納期の超長期化とリセールバリュー、高年式中古車の高騰、ハリアーを取り巻く環境
さて、一部改良を受けた新型ハリアー。価格も当然アップしている。ハイブリッドZ E-Fourの価格は4,848,000円。改良前のハイブリッドZ E-Fourの価格は4,740,000円だったので、10.8万円のアップとなっている。
ハリアーと言えば、超長期納期になっていて話題になっていたモデル。改良前のモデルを購入したまま、改良後のモデルになってしまった顧客も多い。値上げ分は、誰が負担するかなどで、販売現場は混乱したという。
また、超長期納期が影響して、ハリアーの高年式中古車相場も高騰。元々、ハリアーのリセールバリューは高かった。しかし、納期の超長期化により、新車価格越えの未使用車まで登場。高価な車両は600万円を超えているものもあるほどだ。しばらくの間、こうした状況が続くと思われるが、この異常な状況が早く収束することを願うばかりだ。
トヨタ ハリアーの価格
・3,128,000円(ガソリン S FWD)~5,148,000円(ハイブリッド Zレザーパッケージ E-Four)
・ハリアーPHEV Z 6,200,000円(E-Four)
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