
ホンダ車のダウンサイザー受け入れ車種として、重要なフィットシャトル

トヨタ のプリウスα は、7人乗りのミニバン タイプが売れると予想していたのにもかかわらず、初期の受注は約70%以上が5人乗りで、わずか1ヶ月で約38,000台の受注を獲得した。そして、ホンダ のフィット・シャトル 。こちらも人気で、約2週間で12,000台の受注を集めた。どちらも、ワゴン というジャンルであるが、ワゴン車ってこんなに人気なの? という疑問が浮かんだ。ワゴン車は日本マーケットにおいて、もはや終わったジャンル。スバル のレガシィ が、なんとか維持している程度だ。
もはやワゴン車は終わったマーケット、と考えていたのは間違えであって、この2台のヒットから導き出された答えは「ハイブリッドのワゴン車を待っていた」ということだったのだ。とくに、フィットシャトルにおいては、ハイブリッド無しでは存在できないほどで、12,000台の受注のうちハイブリッド比率はなんと86%と、ハイブリッドでないと売れないという図式が明確になったと評価していい。
このフィット・シャトル 、ホンダ の戦略上でも重要な要素をもつ。ダウンサイジングが加速する中、オデッセイ やストリーム 、ステップワゴン などのユーザーの受け入れ先となっているのだ。これらのミニバン ユーザーから、いきなりフィットだと小さ過ぎるからだ。そこで、ちょうどいいサイズというのがフィットシャトルなのだ。もちろん、もうひとつの受け入れ先である多人数モデル新型</A>などのユーザーの受け入れ先となっているのだ。これらのフリードハイブリッド も今年秋の販売に向けて着々と進行中だ。

大きく重くなっても、燃費は30km/lを維持したフィットシャトル・ハイブリッド
ホンダもシャトルのマーケットに、ハイブリッド 車を出せば売れるという調査結果があっての発売。このハイブリッド比率も予想通りだという。売れるというジャンルのクルマだからといって手を抜いていないのが、フィットシャトルの美点と評価したい。驚きその1が、全長が510mm伸び、60kgも重くなったのにもかかわらず、10・15モード燃費でフィットと同じ30km/lという数値を達成したのはホンダの意地でもある。
エンジンの摩擦抵抗やブレーキの回転抵抗、空気抵抗などの低減など、とにかく抵抗といわれるものは徹底的に減らした。燃費向上のためのこだわりは、デザインにも及んだという。ボディ下のカバーによる空気抵抗の軽減だけでなく、デザインで空気抵抗を減らすなどの努力で達成できた数字だ。さらに、ハイブリッドシステムも進化。モーター走行時の燃料ポンプや点火システム停止制御を新採用した。これらの技術は、フィットにも応用可能なので、いずれフィットの燃費もアップすることにもなるだろう。
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大きいだけじゃない! 便利で使いやすいラゲッジルーム
驚きその2が、ラゲッジルームの広さ。リヤゲートを開いたとたん、ドーンと低いフロアに高さがたっぷりあるラゲッジルームとご対面だ。ガソリン車で590L、ハイブリッドで517Lと巨大。ハイブリッド車は、フロア下にバッテリーが搭載されているため若干ガソリン車より積載量は少なくなる。ガソリン車は、フロアボード下の収納スペースが効率的に使えるため、590Lという巨大なスペースが生まれている。それもこれも、フィットに使われているセンタータンクレイアウトをもつプラットフォームの恩恵だ。ちなみに、全幅1800mm、全長4800mmを超えるようなサイズをもつ、ふたまわり以上大きいワゴン車でさえラゲッジの容量は500L後半がやっということを考えれば、フィットシャトルのラゲッジルームの巨大さが分かると思う。
実際にフィットシャトルを選ぶときに、とにかくラゲッジスペース重視ならガソリン車がお勧めだ。リバーシブルフロアボードは、本当に便利。大容量のラゲッジルームアンダーボックスを最大限に活用するために、新構造のフロアボードを採用。片側はカーペット素材とし、もう一方を汚れても簡単に拭き取れる仕様とした。だから、スポーツ用品や犬猫を載せるなど、汚れる可能性がある荷物のときは、カーペットとは逆側で使ったりと積む荷物によって使い分けが可能。さらに、両側に折りたためる世界初のダブルヒンジ構造を採用。これにより、どちらの面を上にした状態でも3通りのアレンジを可能なのもすごい。これだけの積載量と便利さを考えると、近い将来、ホンダの商用バン である新型パートナーとして出てきそうな雰囲気もあったと評価しよう。
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ハイブリッド車を買ってくれ! 無言のプレッシャーともいえる低価格とパフォーマンス
驚きその3は価格。フィットシャトル・ハイブリッドは185万円。フィットハイブリッドより26万円ほど高価だが、シャトルには横滑り防止装置VSAが標準装備など、グレードアップしている。また、同じシャトルのガソリン車15Xとの価格差はわずか20万円。わずかといっても、20万円分の価格差をガソリン代で回収するのは難しいのだが、10・15モード燃費の差が10km/lと大きい上に、エコカー減税100%免税のハイブリッドに対し、ガソリン車は75%減税と実際に買うときは、税金の差が数万円違うとなると、ハイブリッド車の方がお得感が強い。
実際に乗った印象もハイブリッドの方が良かった。やはり差が付くのは、車両が停止している状態での静粛性。さらに、走行時でもハイブリッドの方が静かだった。専用の吸音材が装備されていることもあり、ガソリン車より上質な雰囲気に差別化されている。価格差があまり無いことも含め、ホンダ側からのハイブリッドを買ってくれというメッセージなのかと思ってしまうほどだ。
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プリウスαとの比較は意味無し? 圧倒的コストパフォーマンス!

積載性という意味では、プリウスα5人乗りが535Lに対して、フィットシャトル・ハイブリッドは517Lとほぼ同じ。しかし、プリウスαが全長も全幅も一回り以上大きいこと考えれば、フィットシャトル・ハイブリッドの積載性はピカイチ。
さらに、大きな差は最小回転半径だ。フィットシャトル・ハイブリッドが4.9mに対して、プリウスα の売れ筋ツーリングセレクションは17インチタイヤになると5.8m。狭い路地や駐車場などで使い勝手という意味では、大きな差になる。当然、プリウスαは高価なので質感や乗り心地などでアドバンテージを持っている。完全にステータスが違うので、比較しても答えがでないのが現実だ。プリウスαと比べるのはともかく、185万円で買えるクルマとしてのコストパフォーマンスはかなり高い。より安価で便利なクルマという視点であれば、フィットシャトル・ハイブリッドはベストバイな1台になることには間違いない。
| 代表グレード | ホンダ フィット シャトル HYBRID・スマート セレクション |
|---|---|
| ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4410x1695x1540mm |
| 車両重量[kg] | 1200kg |
| 総排気量[cc] | 1339cc |
| エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 88ps(65kW)/5800rpm |
| エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 12.3kg-m(121N・m)/4500rpm |
| モーター最高出力[ps(kw)/rpm] | 14ps(10kW)/1500rpm |
| モーター最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 8.0kg-m(78N・m)/1000rpm |
| 電動機(モーター)種類 | 交流同期電動機(薄型DCブラシレスモーター) |
| 動力用主電池(IMAバッテリー) | ニッケル水素電池 |
| トランスミッション | ホンダマルチマチックS(無段変速オートマチック) |
| 10・15モード燃費[km/L] | 30.0km/L |
| 定員[人] | 5人 |
| 消費税込価格[万円] | 1,935,000円 |
| 発売日 | 2011/06/16 |
| レポート | 大岡智彦 |
| 写真 | CORISM編集部 |
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