トヨタアクア がマイナーチェンジを受け、ホンダフィット に一時的に奪われていた燃費世界一の座を奪還するとともに、乗り心地の向上させて静粛性を高めるなどの改良を実施した。

現行フィットが本格的なハイブリッド システムを搭載して登場して以来、販売台数でも2013年10月から2014年1月まで首位に立った。アクアとしてはこれに対抗する意味もあって、2013年11月にマイナーチェンジを実施し、2月に販売ランキングの首位を奪回している。これもマイナーチェンジの効果だと思う。

2013年の年間販売台数ではアクアが首位、プリウス が2位だったから、アクアとしては2014年も販売ランキングの首位を確保したいところだろう。そんな状況も反映してのマイナーチェンジである。

さて、アクアとフィットのような燃費競争だが、自動車メーカーが技術開発で競争することは基本的に良いことだ。競い合うことで、クルマが進化していくからだ。ただ、競争はすれば良いというものではない。フィットとアクアの燃費競争を見ているとそんな思いを禁じ得ない。

そもそもアクアがデビューしたときに、世界最高をうたった燃費は35.4km/Lだった。プリウスのように燃費スペシャルの半分インチキなグレードを設けるのではなく、全グレードが同じ燃費だったから、それなりに意味のある燃費性能だったともいえる。

とはいえ、アクアの燃費も車両重量1080kgというJC08モード燃費を測定するときの重量区分ぎりぎりのところで達成しているもので、パッケージオプションや寒冷地仕様などを装着すると、車両重量が1090kgになって燃費は33.0km/Lにダウンするものだった。

パッケージオプションは、さまざまなものが用意されているから、1080kgの仕様で買ったユーザーがどれくらいいるのかと思うような設定だった。

しかも、重量変化と燃費の悪化は、カタログを相当に良く読んでも普通のユーザーだったらまず分からないだろうというような書き方であり、このあたりはアクアの世界最高燃費もかなり眉唾的なところがあった。実力値の33.0km/Lではプリウスに及ばないため、多少は無理をしても燃費最高をうたおうとしたのだろう。

　昨年デビューした現行フィットは、そのアクアを上回る36.4km/Lの燃費を達成し、世界最高燃費をうたっていた。私が出席できなかった新車発表会では、伊東社長が得意そうに世界最高燃費を誇っていたという。

でも、フィットの低燃費はアクアと同じようにインチキなもので、後席のシートをほかのグレードとは違うものにし、安全装備であるヘッドレストレイントを省略してまで達成したものだから、正気の沙汰とは思えない。安全装備をケチってまで燃費を向上させるなどというのは、正に禁じ手である。こんなことをして達成した世界最高燃費がどれだけうれしいのか。

ただ、そんな燃費であってもカタログに表記できるものであるなら、アクアとしても負けたままでいるわけにはいかない。フィットの登場を待っていたかのように、2013年11月にマイナーチェンジを実施し、37.0km/Lの燃費を達成してフィットを再逆転した。

当然ながら、今回のアクアも車両重量1080kgを基準に達成したもので、SRSサイドエアバッグや寒冷地仕様など、何かオプションを装着するとすぐに1090kgになって燃費の実力値は33.8km/Lに下がる。今回のカタログでは、それが多少は分かりやすく表記されていることは多少は評価できる。といっても主要諸元表ページの下の小さな字の注書きでしかないが・・・。

■トヨタ アクア価格
・G“ブラックソフトレザーセレクション”　2,005,714円
・G　1,923,428円
・S　1,861,715円
・L　1,748,572円
・アクアG G's　2,283,429円

定員［人］5人