レーシングドライバーも開発に参画したGRカローラ
トヨタは、カローラスポーツをベースとしたスポーツモデルであるGRカローラを発表した。このGRカローラの日本での発売は、2022年後半を予定している。
GRカローラの開発は「お客様を虜にするカローラを取り戻したい!」という豊田章男の強い思いで始まったという。開発は「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を実践。
サーキットはもちろん、負荷の高いダートや雪道においても走り込みを実施。開発ドライバーは、レーシングドライバーの石浦宏明選手、全日本ラリーチャンピオンである勝田範彦選手などを加え、社内の評価ドライバーなど、様々な目線を持つドライバーよって壊れるまで走り込み徹底的に鍛え上げたという。
国内のカローラブランドイメージは、小型セダンのイメージが強かった。ユーザーの高年齢化も進み「おじいちゃんのクルマ」的だった。だが、2018年にデビューしたカローラスポーツをきっかけに、トヨタはカローラをリブランディング化。急速にカローラ=スポーティというイメージへシフト中。今回のGRカローラ登場で、さらにこうしたイメージが強化されることになる。
エンジン、4WD機能などはGRヤリスの改良版を採用
今回登場した新型トヨタ GRカローラは、すでに発売済みのGRヤリスに近い血統をもつ。GRカローラ用に最適化されているが、パワーユニットや4WDシステム、プラットフォームの一部などがGRヤリスと共通化されている。
新型GRカローラの外観は、カローラスポーツを基本骨格をベースとし、フロントフェンダーを片側20mm、リヤフェンダーを片側30mm拡大。全幅は1,850mmと、カローラスポーツに対して+60mmとかなりワイドなスタンスとなった。
リヤビューもカローラスポーツのイメージを残しつつ、3本出しマフラーや大型化されらリヤスポイラーが、特別感あるスポーティさを感じさせる。
また、フロントバンパーにインテーク、フロントフェンダーとフードバルジにアウトレットを設定。これは、サーキットやダート、雪道などあらゆる道で冷却性能、空力性能を徹底的に鍛え上げた結果、必要とされたものだ。
手引きサイドブレーキで、ドリフトも容易に
新型GRカローラのインテリアでは、6速MT用ショートストロークのシフトレバーを採用。ステアリングから自然に腕を下した位置に配置することで、素早いシフト操作を可能とした。
また、ドリフト走行など限界域での車両コントロール用途を重視したことにより、パーキングブレーキには手引き式となっている。
メーターは、専用開発したフルTFTメーターを採用。レーシングカーをお手本に、プロドライバーの意見を取り入れ、スポーツ走行時の視認性を高めている。
プラス32psの304psを発揮する名機G16E-GTS
新型GRカローラに搭載されたエンジンは、GRヤリスと同じ1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジンである名機G16E-GTS型だ。
GRヤリス用に対して、更なる高出力化を目指し、エンジンの排気効率を向上。バルブ付き3本出しマフラーを採用し、排圧低減と消音性能を両立させている。圧倒的な加速と気持ち良い回転数の伸びがより感じられるエンジンに仕上げられた。
GRカローラの1.6L直3ターボエンジンの出力は、最高出力304ps/6,500rpm。
最大トルクは370N・m/3,000~5,550rpmとなった。GRヤリスと比べると、出力で+32ps、トルクには変更はない。
車重はGRカローラが1,475㎏となり、パワーウェイトレシオは約4.9㎏/ps。GRヤリスの車重は1,280㎏なので、パワーウェイトレシオは約4.7㎏/psとややGRヤリスが上回る数値となった。どちらにしても、かなり優れた数値なので、その加速力はスポーツカーに相応しいものとなった。
そして、フロントを60mm、リヤを85mmワイドトレッド化し高速旋回性能を高めた。その結果、安定性・コントロール性が大幅に向上。限界域での走りを意のままに安心して楽しめる仕様となっている。
カーボンルーフなど、もはや別物となったボディ
新型GRカローラの4WDシステムは、GRヤリスと同様、電子式多板クラッチによる前後駆動力可変システムを使ったスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を搭載。
GR-FOURは、駆動配分を制御する4WDモードと、アクセル応答性やステアリングなどを制御するドライブモードを分けた。分割設定できるようになったことで、ドライバーの好みや走行環境に応じた選択を可能としている。
さらに、ボディ関連ではブッシュのピロボール化、スプリング、アブソーバー、アライメントの最適化にも取り組んだ。余すところなくGR-FOURの最適駆動力配分を路面に伝達し、圧倒的な旋回性能を実現している。
もちろん、ボディ剛性を強化さえた。元町工場 GR Factoryにおいて生産することで実現する高剛性基本骨格に加え、リヤホイールハウス間や床下トンネル、タンク前の床下にブレースを追加し、操縦安定性能を高めている。
ルーフパネルには、GRヤリスと同様に形状自由度の高いSMC工法で成形されたCFRP素材採用。剛性を高めるだけでなく、軽量化にも寄与。ルーフといった高い場所にある部分の軽量化は、車体の重心位置をより下げる効果もあり、より走行性能を高めることに貢献する。
ブレーキは、安定した制動力とコントロール性を実現する対向キャリパーブレーキを搭載した。
高く評価したいのは、予防安全性能。詳細はまだ不明だが、予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備。最新のトヨタセーフティセンスが採用されているのであれば、スポーツカーであっても世界トップレベルの予防安全性能を得ることになる。
GRカローラの価格は? ライバル車は?
そして、気になるのは新型GRカローラの価格。GRヤリスRZハイパフォーマンスの価格は4,560,000円。GRカローラはGRヤリスより1クラス上のモデル。エンジン、4WDシステムなども進化している。
GRヤリスもコストパフォーマンスに優れたモデル。GRカローラも同様であり、トヨタが攻めた価格設定をすると、エントリーグレードの価格が500万円切る可能性も高い。最上級グレードは恐らく500万円オーバーは確実だろう。それでも、GRカローラのパフォーマンスを考えれば、世界的に見ればバーゲンプライスといえる。
新型GRカローラは、Cセグメントのコンパクトスポーツカー。国内のライバル車は、ホンダ シビックタイプRやスバルWRX S4。こうしたライバル車達に対して、どんな走りを披露してくれるのか? 最も速いのは? など、興味は尽きない。デビューは、2022年後半。登場が待ち遠しい1台だ。
新型トヨタ GRカローラ(北米仕様)、エンジン出力、ボディサイズなどスペック
全長 (mm) 4,410 全幅 (mm) 1,850 全高 (mm) 1,480(アンテナを含む数値。ルーフ高は1,455)
ホイールベース (mm) 2,640
トレッド前 (mm) 1,590
トレッド後 (mm) 1,620
乗車定員 5
エンジン種類 1.6L直列3気筒インタークーラーターボ
エンジン型式 G16E-GTS
内径×行程 (mm) 87.5×89.7
総排気量 (L) 1.618
圧縮比 10.5
最高出力 (kW[PS]/rpm) 224[304]/6,500
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 370[37.7]/3,000~5,550
トランスミッション iMT(6速マニュアルトランスミッション)
駆動方式 スポーツ4WDシステム“GR-FOUR”
電子制御多板クラッチ式4WD(3モード選択式)
変速比1/2/3/4/5/6/後退 3.538/2.238/1.535/1.162/1.081/0.902/3.831
減速比 1~4/5、6、後退 4.058/3.45
差動装置 フロント:トルセンLSD リヤ :トルセンLSD
サスペンション フロント :マクファーソンストラット式 リヤ:ダブルウィッシュボーン式
ブレーキ フロント: ベンチレーテッドディスク(18インチアルミ対向4ポットキャリパー) リヤ:ベンチレーテッドディスク(16インチアルミ対向2ポットキャリパー)
ホイール 18インチ グロスブラック15スポークキャストアルミホイール
タイヤ(フロント・リヤ) 235/40R18 Michelin Pilot Sport 4
燃料タンク容量 (L) 50
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