【アウディ R8 5.2FSIクワトロ 試乗記】待望のトップモデルは走りも快適性も一級品![CORISM] [CORISM]

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【アウディ】2010/06/02

待望の5.2FSIクワトロが追加された!

アウディ R8 5.2FSIクワトロ フロントマスク
 アウディのスポーツカー、R8に真打ちとも言える5.2FSIクワトロが追加された。車両重量は従来の4.2FSIクワトロ(4.2リッターV8)に対してわずか50kg増の1690kg。それに対してエンジンは2気筒追加のV10、排気量は1リッター増え、馬力は105馬力増の525馬力。注目すべきは最高出力の回転数でV8の7800回転から、排気量が増えたにもかかわらず、さらに高い8000回転である。エンジンで定評のあるBMWのM6(5リッターV10)でさえ、最高出力は7750回転で発生するので、乗る前から期待が高まると評価したい。
 R8 5.2FSIクワトロのエクステリアはV8モデルと大きな変化はなく、テールパイプのデザインやメッキの使い方などR8オーナーでなければ分からない小変更に留まる。全幅1930mmに対して全高は1250mm、低く幅が広いスタイルの存在感はデビューから3年経過するが、いまだに衰えない。フロントの造形は他のアウディ車と共通のイメージだがスポーツカーの顔としても、アウディ・ファミリーとしても似合っていてデザインの力を感じる。試乗車は側面にオプションのカーボンパネル(32万円)が装着され、ガラスのフードから見えるカーボンのエンジンカバー(46万円)、レザーパッケージ(87万円)など、R8のオーナーには必要なオプションが装備され2400万円弱にも達する。
アウディ R8 5.2FSIクワトロ フロントビュー
アウディ R8 5.2FSIクワトロ リヤビュー
アウディ R8 5.2FSIクワトロ リヤスポイラー

R8 5.2FSIクワトロのエクステリアデザインは、従来のR8 4.2FSIクワトロと比べて大きな差はあまりない。だが、低くワイドなフォルムは個性的で、いかにもスポーツカーらしいもの。

乗用車ライクな実用的なインテリア

アウディ R8 5.2FSIクワトロ カーボンパネル
 大きなドアを開け乗り込む。大きなドアは開口部が広い利点があり、この手のスポーツカーにありがちな乗降の悪さない。インテリアは派手さが無い実用的なデザイン。必要なモノがいつもの場所にあり操作には迷いは起きないが、スポーツカーらしいワクワク感もない。ポイントで使用するカーボンパネルとレザーのインテリアも美しくアウディの最上級車としてふさわしい質感がある。レザーシートは、ごく普通の形状でリクライニングも出来るので、違和感無いドライビングポジションが取れる。ミッドシップなので、絶対的な室内空間は狭いが横方向はたっぷりスペースがあり窮屈感はない。シートの後ろもアタッシュケースを入れる空間も残っていて2人分の身の回り品を置くのに困らない。
 最近はプッシュスターターが主流になりつつあるが、R8はエンジンキーを回してエンジンを始動する。スポーツカーらしい鼓動を期待していたが、他のアウディ車と同様に静かにエンジンは動き出した。耳を澄ませば後部よりエンジン音は聞こえるが、同スペックのランボルギーニ ガヤルドとは明らかに異なり、良い意味でアウディらしい高級車であると評価しよう。
 R8 5.2FSIクワトロのトランスミッションはMTがなく6速のRトロニックのみ。Rトロニックはシングルクラッチであり、他車はダブルクラッチ式を採用してきているのでスペック的な見劣りは感じる。しかし試乗を通してRトロニックには不満は感じなかったが、高価格車だからこそ常に最新スペックを適応して欲しい。シングルクラッチとはいえ発進はスムーズで、ギヤチェンジもBMWのSMG程の違和感は感じない。もちろんダブルクラッチの様なスムーズさはないので、積極的にパドルを使ってマニュアルでギヤチェンジをした方が大部分の人は運転しやすいだろう。
アウディ R8 5.2FSIクワトロ インテリア
アウディ R8 5.2FSIクワトロ シート
アウディ R8 5.2FSIクワトロ ラゲッジ

インテリアはスポーツカーというよりは、乗用車的な実用性を重視したデザイン。ハイパフォーマンスカーらしいワクワク感があまりないのが残念ではある。だが、シートはサポートがしっかりしており、コーナーでもきちんと体を支えてくれる。フロントラゲッジは手荷物程度は入れられる。

パワフルで車重を感じさせない走りが楽しめる

アウディ R8 5.2FSIクワトロ 走り
 走り出して最初に感じたのはクルマが軽く感じる事であると評価していい。車両重量は1690kgと軽く、絶対的なパワーに勝る5.2リッターV10エンジンは低回転から高回転まで常にボディの重さを感じない。また操作系も軽く、安全のためおすすめしないがハイヒールにスカートの女性でも運転出来るだろう。タウンスピードで感心したのが乗り心地の良さである。ホイールベースは約2.6mとA3とA4の中間のサイズであるが、あたかもA8の様な快適な乗り心地で、ボディ剛性の高さとサスペンションの作り込み熱意を感じる。これなら平日はA8の後部座席が指定席のオーナーでも不満は出ないだろう。
 高速道路の流入路に入り、左手でパドルシフトを操作しシフトダウン。自動でブリッピングし、古い言葉であるが電光石火で加速体制が整う。右足を強く踏み込むと瞬間的にタコメーターの針が8000回転に近づき、慌てて右手のパドルシフトを引きシフトアップ。しかしタコメーターの針の勢いは変わらなく再び8000回転でシフトアップ。走行車線に合流した時には遙かに周囲より速いスピードに気がつき慌ててブレーキを踏む。100km/hでのクルージングは極めて快適でエンジンは軽く囁くだけである。
アウディ R8 5.2FSIクワトロ 5.2リッターV10エンジン
アウディ R8 5.2FSIクワトロ シフトレバー
アウディ R8 5.2FSIクワトロ 19インチタイヤ&アルミホイール

5.2リッターのV10は、かなり高回転型のセッティング。だが、排気量が大きいこともあり低速トルクは十分あり、街中でも非常に扱いやすい特性だ。ミッションはシングルクラッチの6速Rトロニックのみの設定。ライバルの多くはツインクラッチの7速を採用しているが、走りに大きな不満はない。

シャープなハンドリングと快適性を両立させた

 フロント235/35ZR19、リヤ295/30ZRの幅広いタイヤを履いているが、直進安定性は良く高速道路でも軽くハンドルに手を添えているだけである。これならアウトバーンを延々と長距離を走行してもドライバーの疲労は最小限だろう。
 ハンドリングはオンザレール感覚であり、公道では限界を確かめる事は出来ない。ターンインではミッドシップらしい切れ込みの良さがあるが同時にフロントの軽さを感じる。通常は後輪に駆動配分が多く、常にリヤから押されるように感じる。ブレーキはオプションのセラミックブレーキを装着しており、安定した制動力を発揮していた。
 R8 5.2FSIクワトロはどんな環境下でも涼しい顔で最高のパフォーマンスを見せてくれる。またアウディの最高級車としての高品質もあわせ持っている。しかしスポーツカーとしてのパッションを感じない。エンジンはスムーズに8000回転オーバーで回るが、BMWのV10の様なドラマが少なくモーターの様である。全てが機能的で高性能であるがデザインも含め感性に訴える事が少なく、ガヤルドの様な未完の部分を持っていた方が私は魅力を感じてしまう。もっと夢を見させて欲しいと思うが、2000万円を払えるアウディ・オーナーであればアウディの最上級車としての存在感、高性能が日常的に使え、満足度の高いクールなクルマであると評価していい。

代表グレード アウディ R8 5.2FSIクワトロ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4445×1930×1250mm
車両重量[kg] 1690kg
総排気量[cc] 5204cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 525ps(386kW)/8000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 54.0kg-m(530N・m)/6500rpm
ミッション 6速Rトロニック
定員[人] 2人
税込価格[万円] 1994.0万円
発売日 2009/4/21
レポート 丸山和敏
写真 CORISM編集部

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