【フィアット500(チンクエチェント)ツインエア試乗評価】キャラありき! 笑って許せるユルさに癒される

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【フィアット】2011/04/12

 

大胆なダウンサイジング2気筒+ターボエンジン登場

フィアット500ツインエア エンジン

 21.0km/Lの低燃費を発揮する875CCのツインエアエンジン。1900回転で145Nmのトルクを発揮。低回転でトルクを出すため高回転まで回る設定にはなっていないが、レブリミットまではストレスなく気持ちよく回るのはさすがだ
 ハイブリッドシステムを持たない欧州車のトレンドは、VWのTSIエンジンを代表とするダウンサイジング化だ。小さい排気量にターボやスーパーチャージャーなどを組み合わせ、パワーと低燃費の両立を目指している。そんな流れに乗り、フィアット500にもダウンサイジングエンジンであるツインエアエンジンが搭載された。
ツインエアとは、なんと直列2気筒の875ccのエンジンにインタークーラー付きターボを搭載したものだ。スペックは85馬力&145Nmと、トルクは1.5リッター車並みだ。しかし、さすがに物マネが嫌いなイタリア人。単純に4気筒エンジンのダウンサイジング化はお嫌いのようで、3気筒を飛び越えイッキに2気筒とは驚きであると評価したい。

 

ブルルーンという振動と、バイクのようなフィーリング

フィアット500ツインエア エンジンカットモデル

 従来の4気筒エンジンに比べ、約23%もコンパクトになった。1.2Lのラウンジに比べ燃費を20%改善。1.4POPと比べると58%も燃費が向上している。もちろん、アイドリングストップ機能付きだ
 エンジンがどう変わろうが、ほのぼのとした癒し系キャラであるフィアット500のスタイルに変化はない。シートに座りエンジンをスタートさせた瞬間「ブルルーン」と、まったく違うエンジンのフィールに驚く。「ブルルーン」というのは、エンジン音というよりはエンジンの振動。こりゃキタね。お尻に足の裏、手のひらにブルルーンと。もう、笑うしかないくらい。
ところが、走りだすと一番フィアット500らしいともいえる元気さが前面に出る。ブォオーンとまるでバイクか? と、思うほど、エンジンはよく回りグイグイと加速する。気持ちいい荒々しさだ。2気筒になりエンジンが軽くなったこともあり、より軽快さが増し飛ばしていると、とにかく面白い。ECOスイッチを押すと、パワー&トルクが絞られ77馬力&100Nmに変更され、燃費重視と評価したい。

走り好きならツインエア。すべてが許せる偉大なデザイン力に脱帽

 通常走行に戻ると、AT機能付きの5速デュアロジックミッションは、低燃費を意識してか、なるべく高いギアを選択する傾向にある。その状態では「ブルルーン」振動が気になりだす。アイドリングストップ機能も搭載されているものの、とりあえずエンジン停止できます的でスタート時の反応も遅い。ストップ&ゴーの多い都心部では、この反応の遅さには疲れが出てくるだろう。
それゆえ、実際にこのフィアット500を買おうと思うと大いに悩む。気持ちよく走っているときのテイストを重視するなら、ツインエアだろう。しかし、毎日使うとか移動の足としてなら、振動を含め選びにくい。小回りの良さや日常の使い勝手、癒し系のスタイルなど重視、走りは二の次というのなら1.2リッターだ。すべてにバランスよくというなら、1.4のスポーツという選択になるだろう。
まぁ、フィアット500のスタイルに、本気で惚れているのなら、ツインエアの振動もあばたもえくぼ。やはり、フィアット500のデザインは偉大。少々のことなら、笑って許せる究極の癒し系である。

 

代表グレード 500 TwinAir LOUNGE
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3,545×1,625×1,515mm
車両重量[kg] 1040kg
総排気量[cc] 875cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 85ps(63kW)/5,500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 14.8kg-m(145N・m)/1,900rpm
トランスミッション ATモード付5速シーケンシャルトランスミッション
(デュアロジック)
10・15モード燃費[km/L] 21.2km/L
定員[人] 4人
消費税込価格[万円] 245.0万円
発売日 2011/03/24
レポート 大岡 智彦(CORISM編集部)
写真 CORISM編集部・フィアット グループ オートモービルズ ジャパン

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(レポート:大岡 智彦

 

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