ポルシェだってエコには逆らえない! 速くて低燃費になった新型911カレラ【ポルシェ911カレラ新車情報】 [CORISM]

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【ポルシェ】2011/08/29

よりスタイリッシュに軽量化されたボディ

 ポルシェAGは、新型ポルシェ911カレラS、911カレラのワールドプレミアを9月13日に開催されるフランクフルト モーターショーで行うと発表した。

 新型ポルシェ911カレラは、ホイールベースを100 mm延長。さらに、全高が低くなったうえに20インチのホイールを装着し、よりスポーツカーらしいシルエットになった。一新された軽量ボディは、アルミ二ウムとスチールを組み合わせたインテリジェント構造。この新しいボディは剛性を高めながら、最大45 kgという大幅な軽量化に貢献した。

 空力性能は、可変式リアスポイラーをワイドにするなど、エアロダイナミクス特性の最適化を図った。これらにより、新型ポルシェ911カレラはCd値は0.29という数値になった。

 新型ポルシェ911カレラのインテリアデザインは、カレラGTのデザインをモチーフ製作された。シフトレバー/セレクターレバーは、フロントに向かってせり上がるセンターコンソールに位置していることから、その操作位置は高く、レーシングマシンと同様にステアリングホイールとの距離が近くなった。レーシングカーのようなコックピットは、ドライバーとクルマが一体化するようなイメージ。まさに、スポーツドライビングのためにデザインされている。

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ

ポルシェ911カレラ

ポルシェといえど、燃費性能を無視できない現実

ポルシェ911カレラ
 急加速する低燃費志向は、ポルシェといえど無視できない。新型ポルシェ911カレラおよびカレラSも大幅に効率を高めた。どのモデルも走行距離100 kmあたりの燃料消費量は、10Lを下回っている。先代モデルと比較した場合、燃料消費量とエミッション排出量は最大16%の低下を実現。これは、オートスタート/ストップ機能(アイドリングストップ機能)、熱管理システム、エネルギー回生機能、世界初の7速マニュアルトランスミッション、さらにはコースト走行機能(ポルシェ・ドッペルクップルング仕様車)などを採用したことによる。新しい電気機械式のパワーステアリングは、ポルシェならではの精度とフィードバックを誇るだけでなく、効率性の向上と燃料消費量の削減にも寄与している。

 1L当り100PSを超える高出力エンジンは、350PS(257 kW)の新型3.4Lボクサーエンジンを搭載する。911カレラ(PDK仕様車)の場合、新欧州ドライビングサイクル(NEDC)に基づく燃料消費量は8.2L/100 km。これは、先代モデルの燃料消費量を1.6Lほど下回る値だ。約16%の燃費向上だ。また、CO 2排出量は194 g/kmを達成。ポルシェのスポーツカーとしては初めて200 g/kmを切ることに成功した。

 よりパワフルな911カレラSは、最高出力400 PS(294 kW)の3.8Lボクサーエンジンを搭載。先代モデルに比べて出力が15 PSアップした。パワーアップしながらも、燃費は8.7L/100kmを達成。先代モデルの燃料消費量を1.5L下回る値(-14%)を達成した。

 低燃費化しながら、どのモデルもパフォーマンスを向上。PDK仕様車のカレラSは、0-100 km/h加速で、わずか4.3秒のタイムをマーク。 オプションのスポーツクロノパッケージを装備してスポーツプラスボタンを押した場合は、さらに4.1秒にまで短縮されるという。また、PDK仕様車のカレラは、4.6秒(Sport Plusの場合4.4秒)を叩き出している。

 速さの表現方法が、数字ということならば、サーキットのラップタイムもそのひとつ。新型911カレラには、アクティブ制御のロール抑制システムであるポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールシステム(PDCC)がカレラSに初めて装着される。このシステムは、コーナリング中に横方向の傾きを抑え、タイヤが的確に路面をとらえられるようにするため、より大きなトラクションを伝えることが可能。当然のことながら、コーナリングスペードをは上がり、ポルシェの速さの表現方法であるサーキットのラップタイムを縮めることができる。

 ポルシェの素晴らしさは、卓越した速さをもちながらも、日常の足としても使えるフレキシブルさも魅力のひとつ。だが、最近の傾向として、スポーツカーやSUVといった一般的に燃費が悪いとされるクルマは世間的に肩身が狭い状態。ポルシェもそのあたりは十分理解していて、ハイブリッドカーやEVのスポーツカーの開発も急ピッチに進んでいる。今は過渡期とはいえ、着実に燃費性能をアップさせ、スポーツカーとはいえ燃費がよいことをアピールすることで、こういったクルマを買いやすい環境を作ることも重要だ。

 新型ポルシェ911カレラは、日常と非日常を1台で楽しめる世界的にも数少ないクルマ。そこにこれからは環境問題が加わる。この911カレラから、ポルシェ流のスポーツカーと環境の付き合い方を提示するクルマ作りが始まった。

ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ
ポルシェ911カレラ

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(レポート:大岡 智彦

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