2025 バンコク国際モーターショーレポート<NETA編>の目次
低価格路線のNETAは、高級路線へ変更
2023年にコンパクトで低価格のBEVであるネタVをタイ市場に投入し、価格の安さによって一定の販売台数を確保したのがNETAだ。
ただ、発売から2年目に入って低価格BEVを求めるユーザー層の間でのブームは去り、NETAとしては車種ラインナップの上級移行を図っている。今後は上級モデルによってタイ市場を開拓していく方針で販売しており、今年のバンコク国際モーターショーでは上級モデルであるNETA Sのシューティングブレークを参考出品していた。展示されているクルマは左ハンドル車だったので、タイ市場に投入できるまでには少し時間がかかるだろう。
NETAは、昨年のバンコク国際モーターショーに出品していたSUVモデルのNETA Xのタイ国内での生産を間もなく始めるを予定になっていて、このモデルを皮切りにタイ市場への上級モデルの展開を進めていく計画だ。
一昨年のバンコク国際モーターショーに登場して以降、年々展示スペースを拡大してきたNETAだが、今回は広めのスペースを確保しながらも、ブースの雰囲気はやや閑散としたものになっていた。
NETAは、昨年のバンコク国際モーターショーでの低価格帯BEVの制約台数で2位だったが、今年は全体の販売台数を前年よりも減らし、全体の順位も11位から14位に落としている。今後のタイ市場にどのように浸透していくか、その消長が改めて注目されるメーカーである。
法的整理手続きに入ってしまったNETA
だが、バンコクモーターショーに出展していた中国の新興EVメーカーであるNETAが、中国で法的な整理手続きに入ったと報じられている。
そもそもNETAはコンパクトで低価格のBEVによって中国市場で頭角を現し、その勢いに乗ってタイ市場にも進出していた。タイ市場への参入については中国政府の後押しというか、推進政策に乗せられたものだったが、タイでも低価格のBEVは一定の支持を集めていた。
今回のバンコクモーターショーでは、低価格路線からやや高級路線へと方針の変更を図ろうとしていたが、別掲のようにショー会場の展示ブースは閑散とした雰囲気が漂っていて、将来性に不安を感じさせる部分もあった。
NETAのBEVはコンパクトで安いものの、BYDなどの大手EVメーカーに比べると、品質や性能の面で見劣りする部分もあり、ユーザー層の広がりには一定の限界もあった。中国では、「業界の激しい競争の中で販売台数が落ち込み、債務返済の圧力やサプラヤーへの支払いが滞るなどして部品の供給が厳しくなるなどの問題が重なり、経営難に陥った」とのことだ。
建前上は、海外市場は別とされているが、タイ市場での前途も厳しいものがあるだろう。
<レポート>松下宏
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