日産保管庫ではフェアレディZフリークも大満足!? (フェアレディZ(S30)編〜日産ヘリテージコレクション探訪記その2) [CORISM]

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【エンタメ】2012/07/25

「オレはGT-RよりもZの方が・・・」というアナタ!やっぱり日産保管庫は聖地です!?

日産フェアレディZ(S30)

フロントグリルを無くし空力性能をよくした「Gノーズ」とヘッドライトカバー、オーバーフェンダーを装着した「240ZG」。1971年発売当時の価格は150万円。

 日産保管庫探訪記、第2回目はスカイラインGT-Rと並び日産を代表するもう一つの看板車種、フェアレディZです。

 ともに日産の誇るスポーツカーとして長らく君臨してきた両車ですが、GT-RとフェアレディZ、どっちも好きという人は意外に少ないかも。

 でもそれもある意味、当然、歴史をひも解けばお互い生い立ちからまるで正反対、と言えるような車なのです。今回はその辺を少し掘り下げていってみましょう。

 かたや国内でのレースに勝つため、大きめのセダン・ボディに高性能エンジンをぶち込んだ出自を持つGT-R。

 その血筋ゆえ、歴代GT-Rは国内市場向けのボディ・デザイン(ベース車がほぼ国内専用だったスカイラインなのである意味当然ですが)、セダンから派生したクーペ・ボディ、活躍の場はサーキット・レース、といった特徴を持ちます。

 かたやアメリカ市場で認められ成功することを目標に開発されたフェアレディZ。

 それゆえボディ・デザインはどことなくアメリカン・テイストで、アメリカ人好みのロングノーズ&ショートデッキの典型的なスポーツカー・ボディをまとい、サーキットをくるくる走り回るよりは、どこまでもまっすぐに続く高速道路を飛ばしていくことが得意な車に仕上げられていました。

 GT-Rは日産と合併したプリンス系の車、フェアレディZは海外でダットサンZと名乗ったように日産系の車、といった違いもあります。

 フェアレディZは1969年11月に発売されましたが、スカイラインGT-Rのデビューも同じ年の2月。何か両車の因縁を感じてしまいますね。

日産フェアレディZ(S30)

こちらはフロントグリルがある標準仕様のフェアレディZ(1977年のZ-L)。

日産フェアレディZ(S30)

ボンネットフードのエンブレムの変遷。右が2代目S130型、真ん中が3代目Z31型、左が4代目Z32型のエンブレム。

日産フェアレディZ(S30)

白いZ、というのも案外カッコイイ(1977年のZ-T)。保管庫には全部で9台のS30型フェアレディZが保管されている。

S30型初代Zは、モータースポーツシーンでもけっこう活躍!意外なあの人も乗っていた!?

日産フェアレディZ(S30)

第41回モンテカルロ・ラリー3位入賞車。フェンダーに「トッド」の名前が・・・。

 さてそんなフェアレディZ、最近では「スーパーGT」選手権で一時活躍していたこともありますが、やはりサーキットでの日産の代表はGT-Rという感じ。モータースポーツでのZの影は少し薄いように思います。

 しかしながら、初代フェアレディZであるS30型はスポット参戦ながら、いろいろなレースで活躍したようです。

 有名なところでは、日産得意のサファリ・ラリーで第19回(1971年)、第21回(1973年)と2回総合優勝。この時の優勝車は両方とも日産ヘリテージコレクションに収められ、保管庫に飾ってありました。

 そして意外だったのはモンテカルロ・ラリー。

 現在では、WRC(世界ラリー選手権)の開幕戦となっている、アルプスの雪の山道を走り抜ける過酷なラリーですが、なんと第41回(1972年)のモンテカルロ・ラリーでフェアレディZが総合3位に輝いているのです。

 しかも、その時のコ・ドライバー(ナビゲーター)がまたすごい。F1のフェラーリ・チームの元監督で、現在はFIA(国際自動車連盟)の会長を務めるあの人、そう、ジャン・トッドがZに乗って3位を獲得したのです。

 アメリカンな車だと思っていたフェアレディZですが、アフリカやヨーロッパでも活躍していたのでした。

日産フェアレディZ(S30)

こちらは1973年のレーシング仕様のテストカー。300馬力の2.8Lエンジンを搭載。Zは国内のサーキット・レースでも入賞したことがあるそう。

日産フェアレディZ(S30)

第21回サファリ・ラリー優勝車。破損した右ヘッドライトがサファリ・ラリーの過酷さを物語る。

日産フェアレディZ(S30)

第19回サファリ・ラリー優勝車。この年サファリ・デビューしたフェアレディZは1-2フィニッシュという輝かしい戦績を挙げた。

特別なZは実はたくさんある!?GT-Rファンもパトカーファンも見どころいっぱい・・・。

日産フェアレディZ(S30)

Gノーズ装着はこの車と神奈川県警高速機動隊のパトロールカーの2台。

 ちなみにこの初代フェアレディZ、2Lエンジン搭載車が国内仕様として発売されましたが、アメリカ向けには2.4Lエンジン搭載車を用意。

 アメリカで爆発的なヒット車となり、その人気を耳にした日本のファンの要請に応える形で1971年に「240Z」シリーズが追加発売され、クルマ好きの憧れとなりました。

 なかでも最上級グレードの「240ZG」はフロントマスク先端部を延長しグリルレス化したGノーズ(FRP製のノーズコーン)やヘッドライトカバー、オーバーフェンダーといった他のZとはひと味もふた味も違う外観が自慢。値段も150万円と2L車の約1.5倍で、「240ZG」で街を走れば他のZ乗りからも羨望の眼差しで見られたと言います。

 そして、もうひとつグレード、特別なフェアレディZが。

 なんと、当時のスカイラインGT-Rに積まれていたS20型エンジンをZのボンネット・フードに押し込んだ「Z432」という高性能モデルが存在したのです。

 432の意味はS20型エンジンの特徴を表す4バルブ・3キャブレター・2カムシャフトから来たもの。ちょっとフェラーリの命名法っぽいですね。

 そうそう、そう言えばもっと特別なフェアレディZがあるのを忘れていました。みなさんはもうお気づきですね、そう、高速機動隊用のパトロールカー。

 漫画とかでも良く出てくるフェアレディZのパトカー、日産保管庫には神奈川県警から寄贈された初代フェアレディZのパトロールカーが飾られています。その走行距離、実に370,940kmとのこと。神奈川県内の高速道路をいったい何往復したのでしょうか・・・?

 フェアレディZってまるでトリビアの宝庫のようですね。みなさんももし実車に見に行く機会がありましたら、お出かけ前に少しウンチクネタを調べてみて下さい。実車を見た時の楽しさ倍増まちがいなし、ですよ。

日産フェアレディZ(S30)

こちらは「Z432」。外観上はおとなしめだが、中身はスゴイ。

日産フェアレディZ(S30)

高速機動隊用のパトカー。漫画「逮捕しちゃうぞ」にも同型のパトカーが出ていたような・・・。

日産フェアレディZ(S30)

初代フェアレディZもレストア界で大人気(写真はノスタルジック2daysより)。

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(レポート:堂島 昭

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