
話題のEV「ボルト」に初試乗してきました

今年のアメリカのカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「シボレー ボルト」のハンドルを握りながら「こら相当マズい状況になるかもしれないぞ」と思った。日本人がぬるま湯に浸かってノンビリしている間、ライバル達は日本を徹底的に分析し、追い越そうと考えていたのだろう。そして成果を出し始めている。
かくいう私も昨年このコラムでボルトを低く評価した。「ナメていた」と言い換えてもよかろう。なぜか? ボルトの真の実力を同業者が伝えてくれなかったからだ。以下、日産の電気自動車&トヨタのハイブリッド車の強力な対抗馬になること間違いないボルトを分析してみたい。
そもそもボルトは電気自動車に発電機を搭載したレンジエクステンダーだと紹介されていた。三菱自動車「i-MiEV」(アイ・ミーブ)と同じ16kWhという電池を搭載し、電気自動車として60km程度走行。それ以上走る場合、車載のエンジンで発電機を回して電気を作り、それを使って走る、といった具合。批評するつもりになれば、いくらでも悪口を並べられる。リーフに代表される純粋な電気自動車と比べたなら、エンジンを搭載している分、複雑かつ重い。一方、ハイブリッド車として考えると、エネルギー効率という点で厳しい。エンジンで走るモードになった後の「燃費」はハイブリッド車より悪いですから。
エンジンも積む「シボレー ボルト」が、あえて「100%ピュア」な電気自動車ではない理由

なぜか? 電池容量少なくなったらエンジンで電気を起こし、そいつをインバーターで変換し、さらにモーターを駆動することになる。それぞれの効率を92%としたなら、エンジンのエネルギーが車軸に伝わるまで(伝達効率)78%になってしまう。だったらエンジンで直接駆動した方が有利(伝達効率約95%)。
でもGMの開発陣はそう思わなかった。電気自動車だと、電気切れの心配をしなくちゃならない。治安の悪いアメリカで深夜に電気切れなどしようものなら、命の危険すらある。加えて遠出することだって不可能。それならバッテリーが無くなっても走れる電気自動車を作ろう、と考えたワケ。
とはいえ、前述の通りエンジンで発電機を回すタイプだと、どうしても伝達効率悪く(熱効率と言い換えても良い)、燃費悪い。そこでバッテリー容量少なくなった時の効率の良い駆動方法を考えた。できあがったのがトヨタのハイブリッドシステムと同じプラネタリーギアを使った、似ているけれど新しいシステムである。
簡単に言えば、プラネタリーギアによってエンジン出力を直接駆動に使う分と、発電機の駆動に分配するというもの。GMのエンジニアによれば「最大でエンジン出力の70%を直接駆動に回します」。電池容量が少なくなった後も、70%分を直接駆動と同じ伝達効率に出来るワケ。しかも電気自動車モードの時もプラネタリーギアを使うことによって15%くらい電費を伸ばせるそうな。もっと驚くことに、プリウスの特許が切れたらクラッチを1セット加えることにより、プリウスと同じ効率を持つハイブリッドとして成立する(その場合、バッテリー搭載量をプリウスと同等に減らす)。60km圏内であれば電気自動車として使え、それ以上走るならハイブリッド車に近い燃費を期待できるワケ。
このシステム、大化けする可能性を持つ。日本勢はそろそろぬるま湯から出なくちゃアカンです。

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