スズキ 新型スイフト 試乗評価 走りを磨き抜いた新型スイフトを試乗! [CORISM]

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【スズキ】2010/12/07

好評の外観デザインはそのままに、内装は大幅に質感向上

スズキ 新型スイフト エンブレム
 先代モデルのスイフトは、スズキが初めて本格的に取り組んだ小型乗用車だった。それまでのスズキは、軽自動車をベースにボディとエンジンを拡大したモデルを登録小型車として作っていたが、世界市場をターゲットにすることを考えると、本格的な小型車が必要ということで開発したモデルだった。
 従来の軽自動車とは違う開発過程を経て作られたモデルだけに、先代スイフトはデキの良さが高く評価された。その成功モデルを受け継ぐのが今回のスイフトだ。
 特徴あるデザインや、軽快なフットワークできびきびした走りのコンパクトカーという基本コンセプトを継承発展させる形でのフルモデルチェンジが行われた。
 そのためか、好評だった外観デザインは丸で先代モデルかと思うくらいに良く似ている。ひと目でスイフトと分かるのは良いが、ひと目見ただけでは先代なのか新型なのか分からないくらいに良く似ている。
 あまりにも似過ぎているのではないかという指摘に対し、「ボディの全長を95mmも拡大するなどプロポーションが大きく変わったのに従来のモデルと同じように見えるのは、それを狙ったデザイン的な成功だ」と言われると、何となく納得させられてしまいそうになる。でも、もう少し違った良さが表現されても良かったと思う。
 外観がほとんど変わらない印象なのに比べると、内装は大きく変わった印象がある。インパネ回りのデザインや樹脂パネルなどの質感が上がり、グンと良くなった印象。操作系なども悪くなく、ホールド性と座り心地に優れたシートなども含めて室内空間はとても良くできてている。シートリフターやチルト&テレスコピックステアリングによって誰にでも最適なドライビングポジションが得られるのも良い。
 強いてえば、後席に乗り込むときの開口部がやや小さめなのが難点。乗り込んでしまえば後席の居住空間にも不満はない。ただ、後席の中央には3点式シートベルトもヘッドレストレイントも用意されていない。
 ハンガリーで生産されるヨーロッパ向けのモデルには、シートバックにリトラクターを設けたきちんとした3点式シートベルトが装備されていることを考えると、日本向けを2点式にしてしまうのは何としても承服しがたいところ。
 法規との関係で日本でもそう遠くない時期に3点式に変更されるのは間違いないのだが、法規で背中を押される前に自らの意志と姿勢で安全な3点式シートベルトを装備するのでなくてはほめられない。
スズキ 新型スイフト フロントビュー
スズキ 新型スイフト リヤビュー
スズキ 新型スイフト フロントマスク

全長は95mmも拡大されたが、ひと目見ただけでは先代か新型か分からないくらいに似ている。ヘッドライトは若干ツリ目になった感じに。

スズキ 新型スイフト インテリア
スズキ 新型スイフト フロントシート
スズキ 新型スイフト リヤシート

インパネ回りのデザインや樹脂パネルなどの質感が向上し、グンと良くなった内装。シートはホールド性と座り心地に優れており、とても良くできた室内空間を確保している。

スズキ 新型スイフト ラゲッジルーム
スズキ 新型スイフト ラゲッジルーム
スズキ 新型スイフト ラゲッジルーム

リヤシートは6:4分割可倒式。すべて倒すとほぼフラットなラゲッジスペースが出現する。またラゲッジボードの下は、サブトランクとして使用できる。

さらに進化した欧州仕込みの走り

スズキ 新型スイフト メーター
 新しいスイフトは取り敢えず標準系のみがデビュー。スポーツスポーツは追って登場することになる見込みです。
 ボディは5ドアハッチバックのみで従来と変わらないが、基本プラットホームを新しくしてホイールベース(+40mm)や全長(+95mm)を延長している。たた、ボディの拡大は衝突安全性の向上などに大半が振り向けられ、室内空間は室内長が20mm長くなっただけだ。
 搭載エンジンは先代モデルの途中から搭載されるようになった1.2Lで、これにワゴンRなどに採用された副変速機付きのCVTが組み合わされている。
 動力性能は67kW/118N・mで、数値的にはごく平均的なレベルと評価できる。実際に走らせた印象も、特に元気が良いという感じではないが、それなりに良く回ってボディに見合った性能という印象。ボディが大きくなった割には重量増が抑えられているので、余計にそのように感じるのだと思う。
 芦ノ湖スカイラインなどのワインディングを走らせても、パワフル過ぎない分だけアクセルを踏み込めるので、楽しく走れる感じになる。
 試乗車は最上級グレードのXSだったので、CVTが7速マニュアルモード付きになってパドルシフトが備えられていた。シフトレバーにはマニュアル操作の機構は備えられていないが、パドルのほうが扱いやすいので問題はない。積極的にレバーを操作して走ったときのレスポンスも上々でこれも楽しい走りにつながっていた。
 このパドルシフトはDレンジのままで走行中に操作しても反応するから、軽いエンジンブレーキが欲しいときに有効。CVT車はアクセルペダルから足を離しただけではエンジンブレーキがかかりにくいので、この操作によって簡単にエンジンブレーキがかけられるのは良い。なお、Dレンジでパドル操作したときは、しばらくすると元のDレンジの無段変速に戻る仕組みだ。
 今回のスイフトでパワートレーン以上に良くできていたという印象を与えるのは足回りだ。前回のモデルと同様、ヨーロッパで走り込むことで磨き上げ、その仕様に日本でさらに改善を加えることでできあがったという足回りは、なかなか絶妙な走り味を味わわせてくれた。
 個人的に現行スイフトを所有しているが、それとは比べ物にならないくらいに乗り心地が良くなっているだけでなく、操縦安定性のレベルも極めて高いものがある。最上級グレードのXSには横滑り防止装置のESPが標準で装備されていたが、それが介入する前に高い操縦安定性を示していた。
 ステアリングはかなりきびきび感のある反応を示した。ステアリングを切るとすぐる曲がる感じのダイレクト感のあるシャープなステアリングフィールで、個人的には中立付近ではもう少しダルというか、遊びがあったほうが良いてようにも思うが、この味付けを好む人も多いだろう。
 騒音や振動はこのクラスの平均を超えている。先代モデルと比較したら格段に良くなっていて、段差を超えるときなどに安っぽい音を感じさせないのが良かった。
 取り回しの良さはちょっと微妙な感じ。試乗した16インチタイヤの装着車は最小回転半径が5.2mでちょっと大きめ。これが15インチタイヤを履くXGになると4.8mになって納得モノの数字になるから、良いとも悪いともいえる感じ。まあ何とか許容範囲にある。
スズキ 新型スイフト エンジン

搭載する1.2Lエンジンの動力性能は数値的にはごく平均的なレベルだが、それなりに良く回ってボディに見合った性能という印象となっている。

スズキ 新型スイフト CVT&パドルシフト

最上級グレードのXSでは、CVTがパドルシフト付7速マニュアルモードを採用。積極的にレバーを操作して走ったときのレスポンスも上々だ。

スズキ 新型スイフト 16インチタイヤ

16インチタイヤの装着車では最小回転半径が5.2mと多少大きめ。これが15インチタイヤを履くエントリグレードのXGでは4.8mと納得モノの数字となる。


スズキ 新型スイフト 走り
スズキ 新型スイフト 走り
スズキ 新型スイフト 走り

パワートレーン以上に良くできていたのは足回り。先代同様ヨーロッパで走り込むことで磨き上げたうえ、さらに日本で改善が加えられた。絶妙な走り味を味わわせてくれる。

望まれる安全装備の充実化

スズキ 新型スイフト フロントグリル
 価格は従来のモデルに比べるとやや高くなっている。全車にプッシュ式のキーレススタートが採用されるなど、装備が向上した部分もあるが、逆にグレードによってオーディオがオプション設定に変わったことなどを含めるとやや高くなった印象がある。
 コンパクトカーの主戦場となる価格帯は120万円台で、XGはその価格帯にあるのだから平均的といえばそうなのだが、価格的なメリットも感じさせるくらいでないとたくさん売れるクルマにならない。
 また価格との関係で止むを得ないといえばそれまでだが、横滑り防止装置のESPは最上級グレードのXSだけでなく全グレードに標準装備にしたいところ。SRSサイドエアバッグなども含めて安全装備の充実化では、まだまだやるべきことが残されている。

スズキ 新型スイフト 走り

代表グレード スズキ スイフト XS(2WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 3850×1695×1510mm
車両重量[kg] 990kg
総排気量[cc] 1242cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 91ps(67kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 12.0kg-m(118N・m)/4800rpm
ミッション CVT
10・15モード燃費[km/l] 23.0km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 147.525万円
発売日 2010/9/18
レポート 松下宏
写真 オフィスマッシュルーム

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(レポート:松下 宏

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