BMW は、SUV の「BMW X6」をフルモデルチェンジし、注文の受付を開始する。BMW X6 xDrive50iの納車は2014年12月から、BMW X6 xDrive35iの納車は、2015年2月からを予定している。

　BMW X6は、2008年にデビューし、SUVなのに低い全高とクーペ のようなルーフラインをもつ画期的なクロスオーバー車としてデビュー。このルックスにBMWらしい高い走行性能をもっていた。BMWはこういったモデルをスポーツ・アクティビティ・クーペ（SAC）と呼んだ。

　この後、BMW X6はSUVの新たなトレンドリーダーとなる。こうした低全高型のSUVは、最近ではポルシェ マカン やレクサス NX などが投入され人気となっている。これらのモデルと比べると、ややBMW X6はやや大きいが、低全高型SUVのパイオニアともいえる存在だ。

　エクステリアデザインは、先代同様タフネスさあふれるフロントデザインと、優雅なルーフラインが強調されるリヤスタイルを継承。フロントフェイスは、幅広のキドニー・グリルに回り込むヘッドライトや、力強い「X（エックス）」のラインを描くフロントバンパーのデザインが精悍さをアピールする。

　サイドビューは、ショートオーバーハングや後方に配置されたキャビンなど、BMWならではのFR車的なプロポーションをもつ。大きく傾斜したAピラーからリヤエンドまで流れるようなルーフラインは、まさにクーペ的。力強い精悍なフロントフェイスまわりと、優雅なボディラインを見事に融合している。このサイドビューこそが、BMW X6最大の魅力でもある。

　リヤビューは、後端部分を上方にグッと持ち上げ、フロントを低く、リヤを高く見せるデザイン。クラウチングスタイルとすることで、すぐにでも俊敏に動き出しそうなスタイルとしている。また、LEDライトバーが配置された幅広のL字型リヤコンビネーションライトと、リヤバンパーとテールゲートに走る水平方向のボディラインが、ワイドなスタンスと見た目の安定感を強調している。こうしたデザイン力があるからこそ20インチという大径ホイールも映える。

　インテリアは、スポーティなラグジュアリー仕様といった感じでまとめられている。複数の面を重ねるレイヤリングという手法により、陰影が際立つ立体的なデザインとした。こうしたことで、空間の広がりを強調するとともに、モダンで美しい室内空間を演出。後席は、スポーティなデザインの左右独立タイプだ。

　先代のX6は、車体が大きい割にはデザイン優先ということもある、ラゲッジスペースは狭かった。2代目X6では、使い勝手も大きく進化させた。ラゲッジスペースの容量は、最大1,525Lとなった。この容量は、先代モデルから75L拡大されている。テールゲートは、当然電動。スマートオープン／クローズ機能により、荷物で両手がふさがった状態でも足元の操作によりテール･ゲートの開閉が可能な装備も用意されている。

　フルタイム4輪駆動システム「xDrive」は、全車に標準。最近SUVのトレンドでもある2駆モデルは用意されていない。X6 xDrive50i M Sportには、ダイナミックパフォーマンスコントロールを標準装備。この機能は、Xドライブと連動しファイナルドライブに組み込まれた電子制御システムが、左右のリヤホイール間の駆動力を走行状況に応じて最適に配分。コーナリング時には、外側ホイールの駆動力を高めることにより、優れたコーナリング性とハンドリングを実現するといものだ。

　BMW X6に搭載されるエンジンは2タイプ。 35iには、3L直列6ターボエンジンを搭載。最高出力225kW（306ps）/5,800rpm、最大トルク400Nm（40.8kgm）/1,200-5,000rpmのパワーとトルクを発揮。
先代モデルとの比較すると、0-100km/h加速は0.3秒向上の6.4秒を実現しながら、燃料消費率（NEDC測定値）は約20%向上した。

　そして、ハイパワーを誇る50iには、4.4LのV8ツインターボチャージャーガソリンエンジンが搭載された。最高出力と最大トルクは、先代モデルに比べ約10%向上の330kW（450ps）/5,500rpm、650Nm（66.3kgm）/2,000-4,500rpmを発揮。先代モデルと比較すると、0-100km/h加速は0.6秒向上の4.8秒としながら、燃料消費率（NEDC測定値）を約20%向上させている。両エンジンとも、さらに速さと低燃費性能の向上が実現されている。

　残念ながら、X5に搭載されているクリーンディーゼルエンジン 搭載車や、アクディブハイブリッド車は用意されていない。

　ボディ関連では、アルミニウム製のエンジンフードや軽量樹脂製のフロントフェンダーに加え、ダッシュボードの構造部材にマグネシウム合金などの軽量素材を採用し最大約40kgの軽量化を達成。低燃費走行アシストするECO PROモードで、時速50km以上の走行において、アクセル・オフ時にエンジンとトランスミッションを自動的に切り離し、エンジンの回転数をアイドリング状態までを落とすことなどで低燃費性能が引き上げられる。

　900万円超という車両価格ということもあり、カメラとミリ波レーダーにより前方の監視を行い安全なドライビングに貢献する革新的運転支援システム「ドライビング・アシスト・プラス」を全車標準装備。車載の通信モジュールを利用し、乗員の安全と車両の状態を見守ることで、ドライビングにさらなる安心感を与える「BMW SOSコール」および「BMWテレサービス」も標準装備されている。

　BMW X6選びは、排気量別に2グレードしかないので、好みと予算で選ぶしかない。ただし、今回はMスポーツがグレードで設定されている。Mスポーツを選ぶと50iで100万円ほど高価になるが、やはりBMWはリセールバリューを考えるとMスポーツを選ぶ方がよい。

　随分進化したBMW X6だが、やはり大排気量のガソリン車はなかなか選びにくい時代。やはり、X5のように560Nmを誇るクリーンディーゼルの設定や、アクティブハイブリッドの設定も欲しいところだ。

■BMW X6価格
・X6 xDrive35i　¥8,980,000
・X6 xDrive35i M Sport　¥9,750,000
・X6 xDrive50i　¥11,850,000
・X6 xDrive50i M Sport　¥12,850,000

＜BMW X6の主な標準装備＞
・エンジン・オート・スタート／ストップ機能
・ドラインビング・パフォーマンス・コントロール（ECO PROモード付）
・サーボトロニック（車速感応式パワー・ステアリング）
・アダプティブLEDヘッドライト（LEDハイ／ロービーム、LEDフロント・ターン・インジケータ、LEDスモール・ライト・リング、LEDコーナリング・ライト、LEDフロント・サイド・マーカー。光軸自動調節機構付）
・LEDフォグ・ライト
・PDC／パーク・ディスタンス・コントロール（フロント&リヤ、ビジュアル表示機能付）
・リヤ・ビュー・カメラ（予測進路表示機能付）
・トップ・ビュー／サイド・ビュー・カメラ
・ドライビング・アシスト・プラス
　　　　　　　　■ レーン・ディパーチャー・ウォーニング（車線逸脱警告システム）
　　　　　　　　■ 前車接近警告機能
　　　　　　　　■ 衝突回避・被害軽減ブレーキ
　　　　　　　　■ アクティブ・クルーズ・コントロール（ストップ&ゴー機能付）
・BMWヘッドアップ・ディスプレイ*
・BMW SOSコール／BMWテレサービス
・オートマチック・テールゲート・オペレーション（オープン／クローズ）
・電動フロント・シート（運転席&助手席、運転席メモリー機能付）
・40:20:40分割可倒式リヤ・シート
・HDDナビゲーション･システム（VICS3メディア対応）
・10.2インチ・ワイド・コントロール・ディスプレイ
・スピーチ・コントロール（音声入力システム）
・インテグレイテッド・オーナーズ・ハンドブック
・iDriveコントローラー（コントロール・ディスプレイ用、ダイレクト・メニュー・コントロール・ボタン、タッチ・パッド付）
・地上デジタルTVチューナー（12セグ／ワンセグ自動切替）
・USBオーディオ・インターフェース
・ハンズフリー・テレフォン・システム
*:　BMW X6 xDrive35iスタンダード・モデルはオプション設定。