おすすめ軽自動車はどっち? スズキ ワゴンR VS ダイハツ ムーヴ カスタム【軽自動車比較評価/新車バイヤーズガイド】 [CORISM]
低燃費化、安全装備の充実、操縦安定性の向上と、急速に進化する軽自動車が今おすすめだ!
軽自動車の販売競争が激しさを増している。ダイハツとスズキの争いの中にホンダのNシリーズが割って入る形になり、混戦模様を強めているからだ。従来からの2強はホンダにあおられがちな状況だが、そんな中で2強の争いも激しくなっている。
2012年には、ワゴンRがこれまで5年だったフルモデルチェンジのサイクルを4年に短縮して新型車を投入し、しかもエネチャージやエコクール、新アイドリングストップ機構など、電気系の新技術をふんだんに盛り込んで28.8km/Lというクラストップの低燃費を実現してきた。
そのわずか3カ月後には、ムーヴがイーステクノロジーの進化などによって、ワゴンRの燃費をわずか0.2km/Lながら上回る29.0km/Lの燃費と、低価格、さらには追突軽減ブレーキなどの安全装備の充実化を果たしてきた。
2011年に、ミライースが達成した30.0km/Lの燃費をわずか3カ月ほどでアルトエコが0.2km/L上回った経緯があるが、今回のムーヴでは見事にそのリベンジを果たしたといっても良い。
そんな急速に低燃費化や安全装備の充実が進み、大きく商品力が向上したスズキ ワゴンRとダイハツ ムーヴを比較してみよう。おすすめ軽自動車は、ワゴンR? それともムーヴ?
デザイン
スズキ ワゴンR | ダイハツ ムーヴ |
スズキ ワゴンRの外観デザインはあまりにも変わっていない印象だ。良く見れば分かるとは言うものの、まるで間違い探しのクイズ問題でも作ったかのように変わった部分が分かりにくい。
ワゴンRの場合には、どこにでもあるような目立たないクルマが欲しいというニーズもあるのだそうで、地方に行くほどそうした傾向が強まるという。そうしたユーザーには、良いデザインといえるのかも知れないが、クルマの進化が伝わりにくいという点では、どうなのかと思う。 |
ダイハツ ムーヴは、マイナーチェンジであるのに外観や内装のデザインを変更してきた。樹脂製の部品を変更するだけでなく、プレス部品も変更し、インパネなどはセンターメーターを運転席前に移動するなど、フルモデルチェンジ並みの変更を実施した。
外観デザインについては、空力特性にも配慮したいうが、内装についてはややコンサバな方向に振ったといえなくもない。 ワゴンRがあまりにも変わらなすぎるので、どちらかといえばムーヴが勝ちだが、デザインは好みによって評価が変わるものでもある。好きなデザインを選んだら良い。 |
空間設計&使い勝手
スズキ ワゴンR | ダイハツ ムーヴ |
軽自動車はボディサイズと排気量に制約があって、その中で微妙な競争を繰り広げている。ボディの外寸は全く同じ数値で、その中で室内のサイズを競い合っている。カタログ上の数値はワゴンRが室内長で優位に立つが、室内幅と室内高はムーヴのほうが上回っている。
ドアの開き方による乗降性の良さについても、ほとんど違いはないので、空間設計については両車とも互角と考えていいだろう。
運転席回りの収納スペースについても、やはり互角の印象だ。マイナーチェンジ前のムーヴはセンターメーターのレイアウトからステアリングの向こう側に収納スペースがあったが、チェンジ後はそれがなくなった。その意味で、やや後退した感もあるがワゴンRとは同等である。
ワゴンRとムーヴが明確に異なるのは、バックドアの開き方だ。ワゴンRが縦開きのドアを採用するのに対して、ムーヴは横開きを採用する。
ワゴンRの縦開きは雨のときに、傘の代りになるというメリットがあるものの、後方に十分なスペースがないとドアが開かない。またドアを全部開かないと荷物の出し入れができない。
ムーヴの横開き方式は、ドアを少し開けただけで買い物袋などを出し入れできるのが便利。後方にスペースがない場所でも容易に出し入れできるのが良い。
使い勝手については、どちらが優位ということより、どちらが自分の使い方に適しているかで判断したら良い。
動力性能
スズキ ワゴンR | ダイハツ ムーヴ |
カタログデータを見ると、ワゴンRの自然吸気エンジンは38kW/63N・mの動力性能を発生する。これに対してムーヴは38kW/60N・mでトルクがわずかに劣るほか、発生する回転数がいずれもワゴンRよりも高く、それを合わせて考えると、数値的にはムーヴがやや劣っている感じもある。
また、ベースグレード同士で比較すると、ワゴンRのほうが30kgほど軽く作られている。ムーヴも現行モデルが登場したときに軽量化を図っていたし、今回のマイナーチェンジでも改良を進めたが、それでもワゴンRの大幅な軽量化には及ばなかった。
これによる走りの性能の違いは、発進加速などに端的に表れる。ワゴンRのほうが発進加速に優れていて、アクセルを軽く踏むとすっと走り出すからだ。
ムーヴは、低燃費を実現するためにギア比をハイギアード化したこともあり、発進加速ではワゴンRにやや劣る印象だ。ただ、ワゴンRの発進加速も、ともすれば唐突感につながりがちな部分もあるので、単純に優位に立つとは言いにくい。
乗り心地&操縦安定性
ワゴンRは、今回のフルモデルチェンジで、従来のモデルに比べて仕様ダウンした。FXリミテッドに標準装備されていたフロントスタビライザーが、今回のモデルでは、FXも含め両方とも設定なしになってしまったからだ。
同じ自然吸気エンジンを搭載するスティングレーのXには、スタビライザーが装着されているのだから、これがあったほうが良いのは間違いない。
これに対してムーヴは、今回のマイナーチェンジで全車にフロントスタビライザー(FF車はリヤも)を標準装備してきた。操縦安定性に関する考え方の違いが表面化した。
仕様の違いは走りに直結していて、ムーヴはコーナリングや高速レーンチェンジ、スラロームといった動きを試しても、実に安定した姿勢で走り抜けていける。
これに対して、ワゴンRは操舵によってクルマが大きくロールするシーンもあり、操縦安定性に関しては完全に完全にムーヴの勝ちといっていい。
しかも、乗り心地でもムーヴのほうが好印象だった。ワゴンRは低燃費を実現するためにタイヤの空気圧を高めに設定していて、それが乗り心地の硬さにつながっている。これに対してムーヴは平均的な空気圧に抑えていて、乗り心地もスポイルしていない。トータルでムーヴの勝ちといっていい。
先進技術
スズキ ワゴンR | ダイハツ ムーヴ |
ワゴンRは、減速時を中心に効率的な発電をして電気をリチウムイオン電池に蓄え、それを必要に応じて使うエネチャージというシステムを採用した。
また、アイドリングストップ機構も時速13kmで停止する仕組みにし、エアコン内部の冷媒を冷やしておいてエンジン停止時に使い、アイドリングストップ時間を延長するエコクールも採用した。いずれも燃費につながる技術である。 ただ、高価なリチウムイオン電池を使うことなどから、新車価格がやや高くなったのも確かである。 |
ムーヴは、安全に関する先進技術を採用した。追突軽減ブレーキのスマートアシストがそれで、時速20km以下での衝突を回避するシステムを搭載した。それも横滑り防止装置のVSC(従来はこれだけで6万3000円だった)も含めて5万円という低価格である。
これだったら、絶対に装着したほうが得。軽微な衝突をしても、すぐに5万円くらいの修理費用はかかるから、それが防げると思ったらとても安い装備といえる。 どちらの先進装備も魅力的なものだが、追突軽減ブレーキを5万円という低価格で実現したムーヴのほうがやや優位に立つ。 |
まとめ
スズキ ワゴンR | ダイハツ ムーヴ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
<スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー価格> ■ワゴンR ・FX 2WD 1,109,850円 4WD 1,227,450円 ・FXリミテッド 2WD 1,249,500円 4WD 1,367,100円 ■ワゴンRスティングレー ・X 2WD 1,333,500円 4WD 1,451,100円 ・T(ターボ) 2WD 1,496,250円 4WD 1,613,850円 |
<ダイハツ ムーブ/ムーブ カスタム価格> ・L 2WD 1,070,000円 4WD 1,191,000円 ・L“SA”2WD 1,130,000円 4WD 1,251,000円 ・X 2WD 1,200,000円 4WD 1,321,000円 ・X“SA” 2WD 1,250,000円 4WD 1,371,000円 ・カスタム X 2WD 1,300,000円 4WD 1,421,000円 ・カスタムX“SA” 2WD 1,350,000円 4WD 1,471,000円 ・カスタム X Limited2WD 1,420,000円 4WD 1,541,000円 ・カスタム X Limited SA 2WD 1,470,000円 4WD 1,591,000円 ・カスタム RS 2WD 1,430,000円 4WD 1,551,000円 |
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おすすめ軽自動車は、ダイハツ ムーヴ。自分が重視したい項目を比べて選べ
軽自動車は、メーカー直系のディーラーで購入するのではなく、古くから付き合いのある自宅近くの整備工場などを通じて買うケースが多い。なので、その店がどんなブランドを扱っているかによって自動的に購入車種が決まることも多いのだが、そうした販売店任せの買い方ではなく、自分で積極的に比べて選ぶようにしたほうが良い。そのほうが、満足度の高いクルマ選びができるからだ。
これまで伝えてきたように、デザイン、空間設計&使い勝手、動力性能、操縦安定性、先進技術などの面で、それぞれに優位に立つ部分とそうでない部分とがある。
すべての面で、全面的に勝ちというような大差が付く状況ではない。なので、自分が重視したい項目を決め、その項目でどちらが優位に立っているかを判断基準にすると良い。
また、欲しい仕様に仕上げたときの値引きも含めた購入予算も大きな要素。軽自動車は値引きが少ないと言われるが、支払い総額を見てしっかり比べることが大切だ。
どちらか1台を選ぶとなれば、やはり操縦安定性を重視してムーヴのほうを選びたい。スマートアシストを装備したモデルなら、横滑り防止装置もついて急なハンドル操作のときの安定性が高まるのが良い。
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