トヨタ ミライ(MIRAI)先行開発車 トヨタFCV(燃料電池車)試乗評価 水素が燃料、排出は水だけ! 究極の環境性能をもつ燃料電池車の時代が、もう目の前だ!! 価格は700〜800万円前後? 発売時期は、2014年度後半から2015年前半か?

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【トヨタ】2013/11/09

 

 

クルマを走らせても、排出されるのは「水」だけ!

トヨタ FCVコンセプト

東京モーターショーに出展されるトヨタ FCVコンセプト

トヨタ の先進技術取材会で燃料電池車(FCV) のテスト車に試乗した。試乗車はレクサスHS のボディに偽装を施したもので、これではカッコ良くないし、先進的なクルマのイメージがないなあと思えるが、あくまでもテスト車両。基本プラットホームの基本部分は、すでに燃料電池車(FCV)用のものを採用しているというが、ボディはまだ本物ではない。

最初に、燃料電池車(FCV)についておさらいしておこう。そもそも英語でフューエル・セル・ビークルを日本語に訳して燃料電池車とされている。燃料電池を使った電気自動車という意味で、FCEVという言い方や、燃料電池を使ったハイブリッド車という意味で、FCHVという言い方もある。

ただ、FCを燃料電池としたのはほとんど誤訳に近い直訳。むしろ発電自動車などと意訳すれば分かりやすかったが、燃料電池車という呼び方はでに定着してしまったので、今さらどうにもならない。

FCでは、水の電気分解の逆をする。小学校の授業で実験をしたことを覚えていると思うが、水に電気を加えると酸素と水素に分解する。その逆だ。

つまり、水素と大気中にたくさんある酸素を結合させて水を作る。そうすると副次的に電気が発生する。その電気を使ってクルマを走らせようというわけだ。FCVでは、電気を取り出すことを目的にして、副次的に水が排出される形になる。

クルマを走らせるときに排出するのが水だけということで、究極の環境性能車とされているのがFCVだ。今の世界は、炭素を中心にしたエネルギーを使う炭素社会だが、これを水素社会へと変化させていこうというのが将来的な展望とされている。

 

 

 

 

姿は偽装車だが、走行性能などは市販直前といえる高い完成度

トヨタFCV(燃料電池車)

フル加速すると、マフラー?から水蒸気&水がドバドバと流れ出す。あまり、走っている姿は美しいとはいえない

 トヨタFCVの運転席に乗り込んで、システムのスタンバイを確認して走り出す。最初は軽くアクセルを踏んでゆるりと走り出すと、普通に静かな電気自動車という感じだ。

直線でアクセルを踏み込んで加速すると、かなり速い。発電能力やモーターの出力など、詳しいデータは公開されていないが、相当効率的に発電し、力強く走れるだけの能力を備えている。

加速時には、モーターがうなる音が聞こえるかと思ったら、そうではなかった。むしろFCが仕事をしている音が良く聞こえた。FCスタックで水素を酸素と結合させるのだが、大きな力を取り出すには、それなりの量の水素を使う。それに見合った量の酸素を供給しなければならない。その空気を取り入れる音が最も大きかった。

また、試作段階のテスト車両なので、ロードノイズなどもそれなりに聞こえてくるなど、騒音レベルに関してはまだまだという感じだったが、これは実際に市販されるクルマになれば大きく改善されるだろう。

トヨタFCVの車両重量は、けっこう重いとのこと。ハイブリッド 車のプリウス と同じくらいに収まるのかと思ったら、ずっと重いHS並みとのこと。プリウスよりも200〜300kgくらい重くなる。プリウスが1,350㎏くらいなので、1,550〜1,650㎏といったところだろうか。エンジンが不要になるが、水素タンクが必要になるなど、いろいろな出し入れの結果がそうなるという。

その重さもあってか、どっしりした走りを感じさせ、操縦安定性などのバランスはけっこう良かった。試乗コースは大きな駐車場を使った緩やかなジムカーナコースみたいな設定で、直線での加速のほかにコーナーでの切り返しや、小さな段差の乗り越えなどもあったが、足回りの印象は全体に好印象。

重さの割にブレーキの効きは良く、またフィールも自然なものだった。エンジンを搭載していないので、当然ながら負圧を利用することができず、電動サーボを使ったブレーキを採用しているが、自然な効き具合を感じさせたのだ。すでに、市販に相当に近いところまで開発が進んでいるようだ。

トヨタFCV(燃料電池車)

水素の充填そのものは、とても簡単。カチッとノズルをつなぐだけ

トヨタFCV(燃料電池車)

水素の充填口

トヨタFCV(燃料電池車)

いかにも頑丈な作りとなっている水素タンク

 

1台当りのコストは500万円!?

トヨタFCV(燃料電池車)

FCVの核となるFCスタック

 トヨタは、クルーガーVをベースにしたFCHVアドバンスというFCVを2008年に発表し、一部の官公庁などにリースしている。このモデルの時代には、1台当り1億円以上のコストがかかっているという話だったが、2015年の市販に向けてコストは20分の1くらいにまで下がったという。

だったら1台500万円で買えるのかというと、そうではない。まだコストが500万円かかっているのだから、販売価格は安くても800万円から1000万円というところだろう。さらに、コストダウンを進めて販売価格が500万円くらいにまで下がれば急速に普及が進むと思う。

トヨタFCVのコストが高いのは、FCスタックが高いからだ。水素と酸素を発生させるには、稀少金属を使った触媒が必要で、これが高くつく理由だ。プラチナ価格は最近では5000円を切る水準にあるが、少し前まではこれを100gくらい使う必要があった。研究開発が進んで最近ではプラチナの使用量は半分くらいになったとされるが、それでもプラチナの原価だけでざっと25万円くらいかかる。

それをFCスタックに仕上げて、クルマに搭載してということで、いろいろとコストがかさむのは理解できる。でも、量産が実現すればコストが下がる部分はあるし、研究開発が進めばプラチナの使用量はどんどん少なくなっていくだろう。

電気自動車と比較しても、電気自動車で700kmも走れるクルマを作ろうとしたら、電池代を中心にしたコストは相当に高いものになる。仮にFCVが700万〜800万円で買えるとなれば、そのほうが安上がりになるともいえるのだ。

 

 

 

 

 

究極の環境性能をもつ燃料電池車(FCV)が手に入る時代が、すぐ近くまでやってきた!

トヨタFCV(燃料電池車)

 もうひとつの問題は、水素の供給インフラをどう作っていくかだ。今回の試乗会場ではトラックに積載した水素タンクからFCVへの充填も実演されたが、水素ステーション自体はまだ全国に20個所ほどしかない。国の政策として2015年までに100個所に増やそうとしている段階だ。

充填自体は3分ほどですむから、水素ステーションができれば供給は容易。電気自動車ほどたくさんの充電設備がなくてすむ。

水素も、現在は精油所などで副次的に生産されている分をFCVに回すだけで、十分な生産量がある。ただ、将来的にFCVが増えていけば、どうやって水素を作るかが問題になり、石油や天然ガスなどの炭化水素から水素を取り出すことが考えられる。そのときにどれだけ効率の良い方法を開発てきるかも課題である。

いずれにしても、トヨタだけでなくホンダも2015年に、また日産もそれに近いタイミングでFCVを売り出す計画を表明している。優れた環境性能を持つ新しい時代の自動車がもうすぐ手の届くところまできている。

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(レポート:松下 宏

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