プジョー308試乗記・評価 ダウンサイジングしながら居住性アップ! プジョーらしさを高密度に凝縮した新型308!!

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【プジョー】2015/02/28

 

ダウンサイジングしながら、室内空間を拡大したのは高評価。しかし、1,805mmという微妙な全幅が惜しい!

プジョー308

プジョー308 が、フルモデルチェンジを受けた。これまではモデルを重ねるごとに数字が増えていたが、今回は「308のままでフルモデルチェンジ」された。過去に、309があったことなどが理由だろう。

新型プジョー308&308SWは、2位以下に大差を付けてヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。ヨーロッパで高い評価を受けているクルマである。

新型308シリーズは、全体にボディが小さくなった。全長が55mm短くなり、全幅は15mm狭く、全高は45mmも低くなって、パッケージングが煮詰められたのが分かる。世界中のほとんどのクルマが、フルモデルチェンジを受けるたびにボディやエンジンの排気量やタイヤサイズの拡大を重ねていることを考えると、今回の308のダウンサイジングは高く評価していい。

ただ、日本人として言わせてもらえば、15mm狭くしてなお1805mmという全幅は何とも惜しい。日本向けの仕様だけでも何とか1800mmに抑えて欲しいところだった。

日本には都市部中心に立体式の駐車場がたくさんあり、その多くが全幅1800mmを基準にしているから、1805mmだと車庫証明が取れないケースが出てくるのだ。繰り返すが何とも惜しい。メルセデス・ベンツCクラス の1810mmの全幅と同じで、日本市場に対する配慮がないことを感じてしまう。

今回の308でボディサイズが変わったのは、新しいプラットホームを採用したからだ。シトロエンC4ピカソ と共用のフレキシビリティに富んだプラットホームで、軽くてホイールベースの長さも自由に設定できるなど、新しい時代に即したプラットホームだという。

新型308のホイールベースは10mm延長され、これによって後席の居住空間が拡大されて余裕の広さが確保されている。さらにラゲッジスペースの容量は、72Lも増えて420Lになった。ボディの外寸が小さくなったのに、室内空間が拡大されたのは、新プラットホームと合理性なパッケージングの成果である。またこのプラットホームの採用は、ボディの軽量化にも大いに貢献するものだという。

プジョー308
プジョー308
プジョー308
プジョー308

 

プジョーらしさを表現する独自性の強いデザイン。ダウンサイジング1.2L直噴ターボエンジンは、想像以上によく走る!

プジョー308

 外観デザインは、ダイナミックな躍動感を感じさせるとともに、前後のオーバーハングが短縮されて密度感のあるものになった。際立って特徴的というほどではないが、悪くないデザインである。試乗車は上級グレードのシエロだったので、フロントにクラス初となるフルLEDのヘッドライトが採用されていた。

運転席に座ると小径のステアリングホイールと、その上から見る形になるメーターパネルのデザインが独特の個性を表現している。これは最近のプジョー車に採用されているもので、308ではタコメーターの針が反時計回りに動くようにするなど、独特の仕様も設定されている。これは低回転域の部分を見やすくするための設定だそうだ。

ただ、この小径ステアリングホイール&メーターパネルは、私の体型で最適の運転姿勢を取ろうとすると、メーターの一部がステアリングホイールの陰に隠れてしまう。なので、個人的にはあまり好きな仕様ではないのだが、プジョーの特徴であるのは間違いない。

ドライバー側にやや傾けられたタッチスクリーンは、ショートカットボタンを設定して使い勝手を向上させている。全体にスイッチ類を減らしたモダンなデザインとしたのも特徴だ。

搭載エンジンは直列3気筒1.2Lの直噴ターボ仕様で、これに第三世代になった電子制御6速ATが組み合わされる。プジョーがピュアテックと呼ぶ新パワートレーンだ。ちなみに、ピュアテックという名称は登録商標上の問題があって日本では2008のときにはまだ使えなかったが、それが解消されて使えるようになったという。

新型308は、直噴ターボ仕様とはいえ、Dセグメントのボディに対して1.2Lの排気量でどうかとも思ったが、実際に走らせてみると、これが意外なくらいに良く走った。箱根のワインディングを走らせても動力性能の不満を感じないのだ。この性能は、ダウンサイジング直噴ターボのなせる技である。

動力性能は、130ps/230N・mの実力で、これは2.0L級のエンジン並みか、それ以上の性能である。シエロは装備が充実している分だけ車両重量がやや重くて1320kgになるが、その車両重量に負けない動力性能といっていい。6速ATもスムーズな変速フィールを示し、とても滑らかな走りが可能だった。

スポーツモードを選択して走れば、アクセルワークやシフト操作に対するレスポンスが良くなるほか、ステアリングの手応えも増して一段とスポーティな走りが楽しめる。メーターパネルのバックライトが赤に変わったり、エンジン音を擬似的に増幅して聞かせるなど、人によってはギミックと言うかも知れないが、演出面でも工夫されているのが良い。

プジョー308
プジョー308
プジョー308

 

秀逸で懐の深さを感じるフットワークをもつ308。しかし、安全装備の機能はやや物足りなさも・・・

 プジョーといえばフットワークの良さで、今回の308でもパワートレーン以上に足回りの良さに好感が持てた。プジョーらしい乗り心地の良さとともに、サスペンションがしっかりストロークして懐の深さを感じさせる足回りは正に秀逸で、箱根のワインディングロードを気持ち良く走らせることができた。

ショックアブソーバーの内製にこだわるプジョーならではの乗り味で、この味付けは日本車ではどうにもまねのできない部分である。308は308SWに比べるとホイールベースが短いため、その分だけ軽快感のある走りが得られる印象だ。

新型プジョー308には、アクティブクルーズコントロールやディスタンスアラート、エマージェンシーブレーキサポート、ブラインドスポットモニターなどの運転支援装備が採用された。

ただ、これはグレードによって設定が異なり、ベースグレードのプレミアムには設定がない。しかもクルコンが全車速対応ではなく、速度が下がると自動的に解除されてしまうほか、エマージェンシーブレーキサポートも減速するだけで停止までは制御しないなど、仕様についてはやや物足りない部分も残る。

新型プジョー308の価格は279万円から339万円。フォルクスワーゲンゴルフ に比べると、やや高めの印象ながら、プジョーの販売規模でこの設定というのはそれなりに頑張ったものともいえる。街でたくさん見かけるゴルフとは違う欧州車が欲しいと考える人に向いたクルマである。

プジョー308
プジョー308
プジョー308

 

 

 

プジョー308価格、燃費、スペックなど

プジョー308

■プジョー308価格
・Premium 2,846,000円
・Allure 3,101,000円
・Cielo  3,390,000円

 

代表グレード プジョー308 Cielo
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,260×1,805×1,470mm
ホイールベース[mm] 2,620mm
トレッド前/後[mm] 1,555/1,555mm
車両重量[kg] 1,270kg
総排気量[cc] 1,199cc
エンジン最高出力[kW/rpm] 96/5,500rpm
エンジン最大トルク[N・m/rpm] 230/1,750rpm
ミッション 6速AT
タイヤサイズ 205/55 R16
JC08モード燃費 16.1㎞/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 3,458,000円
レポート 松下 宏
写真 編集部

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