日産セレナ試乗記・評価 日本カー・オブ・ザ・イヤー イノベーション部門賞受賞!運転支援技術&燃費は大幅進化! 走行性能の向上は微小 [CORISM]

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【日産】2016/12/05

 

 

燃費は大幅向上したものの、乗り心地や走行安定性はわずかに向上

日産セレナ

 セレナ のパワートレーンは、従来と変わらない。簡易型のマイルドハイブリッド であるSハイブリッドを引き続き採用する。マイルドハイブリッドなので、モーターだけで走行するEVモードなどはない。このマイルドハイブリッドは、2.0Lエンジンに、スターターとジェネレーターを統合したISGと呼ぶ部品を採用する。この方式のハイブリッドは旧型セレナに始まり、最近では軽自動車にも広がっているものだ。

新型セレナは旧型セレナとパワートレーンは、ほぼ同じで車両重量も従来とほとんど変わらないが、効率の追求によってJC08モード燃費は向上している。ハイウェイスターG同士で比較すると、旧型モデルの15.4km/Lから16.km/Lへと向上した。最も燃費の良い仕様は17.2km/Lで、ステップワゴン で最も燃費の良い仕様の17.0km/Lを上回っている。エンジンの型式こそ同じだが、中身は多くの部分が新設計された結果だ。

ただ、燃費を追求するために、走りがやや鈍くなったのは難点。じんわり発進するような設定になっているため、高速道路の料金所を通過した直後のように、イッキ加速するシーンで思うように加速しない。ついついアクセルを踏みすぎになりがちで、踏むとエンジン音はうるさくなるし、当然ながら燃費が悪くなる。

燃費志向の設定自体は悪いことではないが、走りとのバランスに配慮することも必要である。カタログ燃費を重視するあまり、実用燃費が悪くなるような設定にしたのでは意味がない。

ゆったりとクルージングしているときは、これまでに比べて静かなクルマになっているし、走りに不満を感じることもないのだが、ちょっと加速しようと思ったときに物足りない感じになる。

セレナの足回りについても似たようなことがいえる。家族を乗せて走らせているようなときには、普通の走りが可能ながら、ちょっと元気良く走らせようとすると操縦安定性がやや物足りない。ブレーキにもややプアな印象がある。ステップワゴンなどが、もう少しスポーティな方向を指向しているのに比べると、操縦安定性については語るべき点の少ないクルマという印象である。

セレナの乗り心地も運転席や助手席に座っている分には特に悪い印象はないのだが、2列目シートに座るとシートが常に振動しているのを感じる。本来なら、ミニバン の2列目シートは特等席であるべきものだが、そこに座ったときに振動を感じさせるのは何とも物足りない。

ミニバンの2列目シートは、たいていのクルマがこのような振動を感じさせていて、セレナの振動が際立って大きいというほどではないのだが、特に優れているという印象でもない。

操縦安定性や乗り心地などは、基本プラットホームがキャリーオーバーであることに起因していると思われる。日本でたくさん売れているミニバンなのだから、新プラットホームの採用で走りの性能を上げて欲しいところだった。

日産セレナ
日産セレナ
日産セレナ

渋滞が楽しくなる? プロパイロットは、自動運転ではなく「運転支援技術!」

日産セレナ

 セレナで話題となっているプロパイロットは、自動運転の時代がやってきたかのように宣伝しているが、実際にはごく限定的な状況で一定の効果が得られる程度。ステアリングホイールに設けられたメインスイッチと、セットスイッチを押すという2回の操作で簡単に作動を開始し、それがインパネ内に緑色のハンドルや車線で表示されるので、作動の様子も分かりやすい。

しかしながら、車線認識ができるときとできないときの差が大きく、思ったほどには作動してくれない感じである。高速道路で渋滞してしまったときなど、ごく限られた条件のときには一定の効果があるものの、それ以外のシーンでは特に便利に使えるというほどではない。限定的な運転支援技術と考えたら良いだろう。

日産はこれを“自動運転技術”と呼んでいるが、これは非常に誤解を生みやすい表現である。買った人は、この程度かというのがすぐに分かるが、知らない人はまるで自動運転の時代が到来したのかと思ってしまう。

自動運転は、間違いなく今後のクルマが進化していく方向なのだから、その初期段階でユーザーに誤解を生じさせいよう、運転支援技術であることをしっかりと説明するか、あるいは自動運転には段階があり、その段階によってクルマとドライバーの受け持つな内容が変わり、同時に責任の分担も変わることなどをきちんと説明すべきだろう。

とくに、自動運転ではなく運転支援技術の段階であるときには、ドライバーがクルマをしっかり監視し、万一のときには全面的に責任を負う必要があることをしっかり伝えるべきだと思う。

日産セレナ
日産セレナ
日産セレナ

売れていた自信か? 価格は大幅アップ!

日産セレナ

 日産セレナは、価格も大幅に高くなった。試乗したハイウェイスターGの車両本体価格は300万円強だが、プロパイロットなどを含めたセーフティパックBに24万3000円とかなり高めの価格が設定されているほか、ボディカラーやオーエアコンなどのメーカーオプションを合わせると、約42万円分ものオプションが装着されていた。

これに、カーナビを追加する必要がある。カーナビは車両価格の割高感を分かりにくくするためか、メーカーオプションではなくディーラーオプションの設定にしたと思われる。カーナビにカーペットを合わせて約45万円を足すと、合計で390万円弱の仕様になっていた。税金や諸費用を考えたら400万円を超える予算が必要なクルマである。ユーザーがミニバンの購入時に想定する予算からは、かなりかけ離れたクルマである。

日産セレナ
日産セレナ
日産セレナ

日産セレナ価格

■日産セレナ価格
<FF(前輪駆動)>
B 2,316,600円
S 2,435,400円
X 2,489,400円
G 2,847,960円
ハイウエイスター  2,678,400円
ハイウエイスター プロパイロットエディション  2,916,000円
ハイウエイスターG 3,011,040円
ハイウエイスターG プロパイロットエディション  3,187,080円
<4WD>
B 2,603,880円
X 2,733,480円
G 3,135,240円
ハイウエイスター  2,965,680円
ハイウエイスター プロパイロットエディション 3,176,280円

日産セレナ スペック、燃費など

代表グレード 日産セレナ ハイウェイスターG
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,770×1,740×1,865mm
ホイールベース[mm] 2,860mm
トレッド前/後[mm] 1,480/1,485mm
車両重量[kg] 1,700kg
総排気量[cc] 1,997cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 110(150)/6,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 220(20.4)/4,400
ミッション CVT
タイヤサイズ 195/60R16
JC08モード燃費 16.6km/L
定員[人] 8人
税込価格[円] 3,011,040円
発売日 2016/8/24
レポート 松下 宏
写真 編集部

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