高級なのにエコって本当なのか?【メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG試乗評価】 [CORISM]

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【メルセデスベンツ】2011/05/23

斬新だが、どこから見てもメルセデス

 古いメルセデス・ベンツを街で見かけると目で追ってしまう。流行に左右されず、実用性を追求した普遍的な機能美がカッコ良いと思う。そのメルセデスも近年は大きく変わってきた。流行を追わなかったメルセデスが、むしろ時代を作るようになり、その最たるクルマがメルセデス・ベンツCLSである。
 クーペスタイルの4ドアは、バブル時代に日本でブームとなったが、泡と共に消滅した。しかし21世紀になりメルセデスはCLSを発売、その成功を見たヨーロッパの自動車メーカーも同様の4ドアクーペを登場させ、今はBMWの4ドアクーペも噂されている。そのCLSも7年が経過、満を持して2代目が発売された。
 事前に写真で見たCLSは、強面のクルマの印象だったが、実車は先代をベースに華麗かつ筋肉質の躍動感を感じるスタイル。前方から流れる側面のラインはリヤホイールアーチで爆発し、LEDを配置した特徴的なテールランプにつながる。先代より長く、広く、そして低くなり全長は5m弱まで拡大した。Sクラスの4ドアクーペと言っても良い程に大きい。ボディは拡大したが空気抵抗値(Cd値)は先代より約13%向上させ、スポーツカーも真っ青な0.26である。
 また片側だけで71個のLEDを採用したヘッドライトは走行条件や天候に応じて照射範囲を自動で切り換え、デザインと機能美が融合している。斬新なデザインであるが、どの角度から見てもメルセデスだと分かるスタイルであり、今後のメルセデス・スタイルの方向性を示しているかもしれないと評価したい。
メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 CLS 63 AMGのカーボンエクステリアパッケージは60万円のオプション。ベース車の価格は1645万円也

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 CLS 63 AMGにカーボンエクステリアパッケージ装着車。ドアミラーやフロントリップスピラー、リヤディフューザー、トランクリッドスポイラーがカーボン製

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 写真のCLS350は、人気のAMGスポーツパッケージ装着車。19インチホイールやエアロパーツ、シングルルーバーのフロントグリルなどが装備される


メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 AMGスポーツパッケージ車は、60万円のオプション。AIRマティックサスペンションも装備されるので、意外とお得?

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 全体に彫が深く、精悍なイメージをもつフロントフェイス

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 片側だけで71個ものLEDが使われているヘッドライト。もちろん、省電力化にも貢献

4人分のパーソナルで上質な空間は、Sクラスオーナーでも満足できる

 CLS 350 BlueEFFICIENCYは新開発のV6 3.5リッター直噴エンジンを搭載。従来比+34PSの最高出力306PSの動力性能を向上させながらリーンバーン(希薄燃焼)を実現、アイドリングストップや電動パワーステアリングも採用しJC08モード燃費は12.0km/lを実現した。一部重量が増えるオプションを選択すると、75%エコカー減税対象車となっている。
 インテリアはSLS AMGに共通するシンプル・モダンであり、ルーフが低いのに圧迫感は感じない。リヤシートはセンターに大きなコンソールを配して左右に完全に分離、よりパーソナル性を強調すると同時に足下が広いので、セダンとしても充分の居住性である。内装の質感、仕上げともEクラスより明らかに上質で、Sクラスのオーナーでも満足出来るだろう。最小回転半径5.2mとメルセデス伝統のボディサイズの割には良く切れるステアリング、この大柄ボディを狭い道でも取り回しは苦労しない。まるで一回り小さな車に乗っているような感覚で運転出来る。
 またリヤビューカメラが装備され、更にパークトロニックにより障害物が近づくと音と光で教えてくれるので車庫入れも安心である。
メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 CLS350のフロントシート。派手さはないものの、落ち着きのあるデザインだ

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 足元のゆとりも十分なリヤシート。後席の2人がゆったりとした贅沢でパーソナルな空間を楽しむことができる

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 節度のあるメーターやスイッチ類はメルセデスの伝統ともいえる普遍的なものだ


メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 アルカンターラをステアリングに使用したAMGパフォーマンスパッケージ仕様車のインパネ。ベージュのレザーシートとカーボンインテリアのコントラストが、豪華なスポーティさをアピール

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 ドライビングダイナミクスを総合制御するAMGドライブユニットシステム。色々な走行モードをここで設定する

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 バケットタイプだが、窮屈でもないフロントシート。座り心地も抜群で、CLS350にもこのシートが欲しくなるくらいだ

高級感を際立たせるアイドリングストップ機能

 少しスピードを上げるとステアリングはずっしりと重くなり、直進安定が増す。アクセルはリーンバーンのためか、低回転ではアクセルに対するエンジンのレスポンスが悪いが、多くの人は気になるレベルではないだろう。アイドリング状態でも静かで振動も少ないが、ECOスイッチを押しておけば、停止と同時にエンジンはストップするので一段と高級感が増す。そしてブレーキを離すやいなやエンジンは滑らかに再始動する。環境に優しく、財布に優しく、そして無振動・無音であるので通常はECOスイッチのオンがお勧めである。走行中は静かで振動も少なくエンジンの存在感は少ない。高回転までエンジンを回すとノイズが室内に侵入してくるが、ココまでエンジンを使う事はまず無いだろう。
 試乗車にはオプションのAIRマティックサスペンション(電子制御エアサスペンション)が装備されていて、状況に応じて減衰力や車高を自動調整する。その乗り心地はクーペスタイルに相応しい適度な硬さとロールの少なくEクラスセダンとは一線を画する。コーナリングは弱アンダーステアで常に安定志向である。電子制御7速ATはシフトショックも少なく、必要な時に必要のギヤをドライバーの望むギヤを自動選択してくれるので試乗中はDレンジに入れっぱなしで不満は感じなかった。
メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 CLS350に搭載されるV6直噴3.5リッターエンジン。アイドリングストップ機能やリーンバーンなどを組み合わせて、30%以上もの燃費を向上させた

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 AMGパフォーマンスパッケージを選択するとパワーが525馬力が557馬力に、トルクは700Nmが800Nmにアップ。スピードリミッターの作動も300km/hになる

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 ツインスポークの19インチ鍛造ホイールを履くCLS 63 AMG。大型の赤く塗られたキャリパーが誇らしげに見える


メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 CLS350は、AMGスポーツパッケージが19インチホイール。通常は18インチホイールが装備される

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 CLS350より一段と素直なフィーリングを持つCLS 63 AMG。どんなドライバーでも受け入れてしまう寛容さも兼ね備える

メルセデス・ベンツCLS、CLS 63 AMG

 変速の速度やレスポンスなどが自在にコントロールできる7速デュアルクラッチ式AMGスピードシフトMCT

卓越したパフォーマンスを持ちながら、ドライバーを選ばない乗りやすさが光る

 次に試乗したのがCLS 63 AMG。エクステリアは一目でAMGだと分かる攻撃的なデザインであるが、CLSは元々のエレガントのスタイルのためスパイスが効いたAMGは優雅さが増しスタイルだけでもこちらを選びたい。19インチ5スポークホイールから覗くレッドブレーキキャリパー(AMGパフォーマンスパッケージ装着車)はAMGの存在感を増している。
 インテリアはオプションのカーボンインテリア(40万円!)が装備され、レザーも最高級のナパレザーがダッシュボードにも使われSクラスを凌ぐ高級感である。インテリアでCLS 350と最も違うのがフロントのシートである。見た目も座りたくなるカッコいいシートで、身体を優しく包み込み、しっかりホールドする、これだけでもCLS 63 AMGの価値がある。
 スタートスイッチを押すと「ブォン!」とエンジンが目覚め、クルマ好きが「ニヤ」とする瞬間である。63と名前はついているが、エンジンはV8 5.5リッターにダウンサイジングし燃費を従来の6.3リッターに比較して30%以上の改善を図りながら、直噴エンジン+ツインターボチャージャーを採用する事により最高出力525PS、最大トルク700N・mを実現。試乗車はオプションのAMGパフォーマンスパッケージ装着し(内容を考えれば110万円のバーゲンプライス)、最高出力557PS、最大トルク800N・mに強化されている。アイドリング時も含め素行中は常にエンジンの存在を感じるが、不快ではなくむしろ心地よい。以外な事にこれだけ強化したエンジンにも拘わらず、とても運転がしやすい。右足のアクセルペダルに自分の意志を伝えるだけで自由にスピードをストレスなく加減速でき、アクセルとスピードがリンクしCLS 350より扱いやすい。
 サスペンションは一段と硬いがしなやかで、ターン・インではフロントが軽くなったようにコーナーに切り込んでいき、狭い峠道も楽しめる。エンジンの演出がまたいい。回せば回すほど、ビートの聞いた排気音、振動が心身を揺さぶり高揚してくる。パドルシフトを使ってシフトダウンするとブリッピングし瞬時にシフトダウンが終了する。この時のサウンドが気持ち良く、意味もなくシフトダウンしたくなる。ただ高出力というだけでなくコントロールの幅が広く、レスポンスも良くターボチャージャーのデメリットを感じない。同じAMGの車種の中でもこのCLSは足回りとエンジンのバランスが良く完成度が高い。車を返却する時にはすっかりCLS 63 AMGに心を奪われてしまった。
 スタイルに目を奪われがちなCLSであるが、4ドアとしての実用性も兼ね備えながら、高級車としても、そしてスポーティカーとしての資質が高く、良いところ取りの車である。ベストな選択はCLS 63 AMGではあるが、オプション込みで1900万円弱の車両価格を考えると、AMGに比べて半分の値段のCLS 350 BlueEFFICIENCYは燃費も良く長く乗るにはお勧めであると高く評価しよう。

代表グレード メルセデス・ベンツCLS350
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4940×1880×1415mm
車両重量[kg] 1750kg
総排気量[cc] 3497cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 306ps(225kW)/6500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 37.7kg-m(370N・m)/3500-5250rpm
トランスミッション 7速AT
10・15モード燃費[km/L] 12.4km/L
定員[人] 4人
消費税込価格[万円] 930万円
発売日 2011/02/18
レポート 丸山和敏
写真 CORISM編集部

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(レポート:丸山 和敏

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