ヒョンデ インスター試乗記・評価 神コスパ! 軽BEV、ハイブリッドコンパクトカーの脅威になる!?
徐々に日本で存在感が出てきたヒョンデ、BEV第3のモデルが「インスター」
韓国の自動車メーカー、ヒョンデ(現代)はトヨタとフォルクスワーゲン・グループに次ぐ世界で第3位の自動車メーカーに成長した。
一度日本マーケットから撤退したヒョンデだが、地球温暖化の元凶となるCO2削減やカーボンニュートラルを目指し、2022年にゼロエミッション・ビークルを携えて日本市場に戻ってきている。
上陸から3年目を迎えたバッテリーEVのアイオニック5は、かなり都市部で見かけるようになった。これに続くコナも少しずつ増えてきている。そしてBEV(バッテリー電気自動車)の第3弾として日本市場に送り込まれたのがコンパクトカーの「インスター」だ。
日本マーケットにピッタリ!? 軽自動車より少し大きなBEV
インスターは、軽自動車よりも少し大きいヨーロッパのAセグメントに属し、ホイールベースも2580㎜とした。2ボックスだが、パッケージングはハイトワゴンに近い。全長は3830㎜、全幅は5ナンバー枠に余裕を残した1610㎜だ。全高は1615㎜と、サイズ的にはスズキのソリオに近い。
多く存在する全高制限1,550mmという立体駐車場には入らないが、背を高くしたことによって大人4名が無理なく座れる、居心地のいい空間を生み出している。もちろん、日本仕様は右ハンドル車で、ウインカーレバーも右側だ。
神コスパ? エントリーグレードは、日産サクラに迫る!
日本に導入されるインスターのグレードは3グレード構成。ボトムは284万9000円の戦略価格を打ち出した「カジュアル」になる。日産のサクラに迫るリーズナブルな価格設定だから、快適装備と運転支援システムは物足りないが、その他必要な装備に加え、ナビシステムだけは標準とした。
また、バッテリー容量も42kWhと、それなりの容量を確保した。実際の一充電走行距離は300km前後だろう。エアコンを使っても軽規格のBEVより距離を伸ばせるはずだ。
中間グレードの「ボヤージュ」とトップグレードの「ラウンジ」は、バッテリー容量が49kWhに増量されている。WLTCモードの一充電走行距離は、クラストップの458kmだ。こちらなら余裕で300kmの距離を走れるだろう。
快適装備と運転支援装備も「ボヤージュ」は充実している。フルLEDヘッドライトやルーフレール、アルミホイール、ヒーター付き本革巻きステアリング、前席シートヒーター、車速追従クルーズコントロールなど、満足できる内容だ。
357万5000円の「ラウンジ」は、17インチタイヤとアルミホイール、電動スライド式サンルーフ、スマートフォン・ワイヤレスチャージ、前席シートヒーター&ベンチレーション、デジタルキー、200V充電ケーブル、アンビエント・ルームランプなどが加わる。「ラウンジ」は、クラスの常識を大きく超えた充実した装備内容が自慢だ。
SUVテイストのカッコかわいいデザイン
インスターのベースとなっているのは、ガソリンエンジンも設定する軽車(韓国版の軽自動車キョンチャ)のキャスパーである。エクステリアは個性の強いデザインだ。クロスオーバーSUVムードのフォルムで、ヘッドライトもリアコンビネーションランプも丸形にしてキュートな表情を狙った。アイオニック5などと同じように、デジタルの世界を構成するパラメトリックピクセルをモチーフとしたデザインアイデンティティは、このインスターでも健在だ。
インスターのインテリアは、水平基調のシンプルなデザインで、中央に10.25インチのナビシステムをセットしている。開放感あふれ、上級の「ラウンジ」は電動スライド式サンルーフを標準装備した。
フロントシートは、ベンチタイプだからウォークスルーが可能だ。インテリアの質感はそれなりで、割り切りが目立つ。軽自動車レベルで、ちょっと安っぽい。リアシートはリクライニング機構だけでなくスライド機構も装備し、快適性を高めている。
ガソリン車からの乗り換えでも違和感なし! ジェントルな加速フィール
試乗に引っ張り出したのは、トップグレードの「ラウンジ」だ。前輪を駆動するモーターは「カジュアル」の97ps(71kW)よりパワフルで、最高出力115ps(85kW)/5600〜13000rpmを発生する。最大トルクは147N・m(15.0kg-m)/0〜5400rpmだ。1.5Lのガソリンエンジンと同等のスペックだが、モーターは瞬時にトルクが立ち上がるから不満はない。
シフトレバーは、ステアリングコラムの右側にあり、上から進行方向に回すとDレンジに、前に回すとR(リバース)に入る。すぐに慣れ、違和感なく運転できた。車両重量は1400kgと軽くはない。が、速いクルマの流れにも難なく乗ることができた。
スポーツモードは、唐突感のないジェントルな加速フィールだ。穏やかなアクセル特性を好む日本の市場に合わせて上手にチューニングしている。モーターならではのシームレスで滑らかな加速は心地よい。静粛性に代表される快適性もガソリン車の一歩上をいく。
ワンペダルOK! 便利な回生ブレーキ
BEVのアピールポイントのひとつである回生ブレーキの使ったワンペダル制御のiペダルは、強弱を4段階に切り替えることができる。完全停止までOKだから、BEVに乗り慣れたワンペダル推進派は嬉しいだろう。
もちろん、回生ブレーキを穏やかな方向にセットすれば、ガソリン車から乗り換えても違和感はない。また、回生ブレーキの強度を自動で調整してくれるスマート回生モードも設定していて、とても便利だ。
コンパクトカーなのに、意外と小回りは苦手
サスペンションはフロントがストラット、リアはトーションビームである。最上級の「ラウンジ」のタイヤは205/45R17で、クムホのエコスタHS52EVを履いていた。
ちなみに、他のグレードは185/65R15サイズだ。ブレーキは全車ベンチレーテッドディスクとディスクの組み合わせとなっている。電動パワーステアリングとサスペンションも、日本のユーザーの走り方や乗り方を分析し、好みに合うようにチューニングを施した。
パワーステアリングは、軽い操舵で運転しやすい。とくに、車庫入れなどのシーンでは軽いと感じられる。だが、意外だったのは最小回転半径が5.3mと意外に大きいことだ。駐車や幅寄せのシーンでは慣れを必要とする。
ZF製のザックス・ショックアブソーバーは、乗り心地に振った味付けとした。サスペンションは快適方向に振っているが、ヨーロッパ車のようなフィーリングだ。路面によっては引き締まっていると感じられるが、コーナリングでのリアのスタビリティ能力は高いし、ロールも上手に抑え込んでいる。高速道路でのレーンキープ、車線追従も上手だ。
補助金次第とはいえ、日本の軽BEVやハイブリッドコンパクトカーよりも安価に!?
インスターは、フロントバンパー左側に給電口を設けている。200Vの普通充電器だけでなく、日本の急速充電器の充電規格CHAdeMOにも対応。最近増えている100kW以上の高出力充電器も使うことが可能だ。
また、家庭用機器などの電源となる「V2L(Vehicle to Load=ヴィークル トゥ ロード)」にも対応している。最大出力は1360Wだから多くの機器を使えるだろう。
ちなみにCEV補助金は、2026年4月現在、47万円(クロスのみ37万円)だ。日産サクラと大差ない出費でバッテリー容量の多いインスターに乗ることができる。販売価格を含めコスパはメチャ魅力的だから、ニッポンの軽EVとコンパクトカーには脅威の存在になりそうだ。
<レポート:片岡英明>
ヒョンデ インスター新車価格
*()内バッテリー容量
・カジュアル 2,849,000円(42.0kWh)
・ボヤージュ 3,355,000円(49.0kWh)
・ラウンジ 3,575,000円(49.0kWh)
・クロス 3,729,000円(49.0kWh)
ヒョンデ インスター航続距離、電費、ボディサイズなどスペック
代表グレード ラウンジ
全長×全幅×全高 3,830×1,610×1,615mm
ホイールベース 2,580mm
最低地上高 145mm
荷室容量 280L
車両重量 1,400㎏
モーター型式 EM08
モーター最高出力 85kW(115㎰)/5,600~13,000rpm
モーター最大トルク 147Nm(kgf·m)/0~5,400rpm
一充電走行距離WLTCモード(航続距離) 458㎞
総電力量(バッテリー容量) 49.0kWh
電費(航続距離÷バッテリー容量) 約9.4㎞/kWh
動力用主電池種類 リチウムイオン
駆動方式 後輪駆動
サスペンション型式 前:ストラット式 後:トーションビーム式
タイヤサイズ 前後 205/45R17
最小回転半径 5.3m
【関連記事】
- スバル クロストレック(GU系)新車情報・購入ガイド ブラックの内外装で、よりスポーティさをアップした特別仕様車「Limited Black」登場!【スバル】
- BMW M135 xDrive(F70)試乗記・評価 割り切りが必要な乗り味【BMW】
- フォルクスワーゲン ゴルフ8 ヴァリアント試乗記・評価 より完成度を高めたマイナーチェンジ【VW】
- トヨタ プリウスPHEV新車情報・購入ガイド ブラックを使ったパーツ類で精悍さをアップした特別仕様車「G ナイトシェード(Night Shade)」を投入【トヨタ】
- スバル インプレッサ新車情報・購入ガイド 充実装備とスポーティな内外装とした特別仕様車「ST Black Selection」【スバル】
- 日産オーラ ニスモ(AURA NISMO) tuned e-POWER 4WD試乗記・評価 絶賛! まるで後輪駆動のような楽しい走行性能【日産】
- 【動画】60系トヨタ プリウス 試乗レビュー! 超低燃費性能と、気持ち良い走りを高次元で融合!【トヨタ】
- 【動画】60系トヨタ プリウス内外装レビュー こだわりポイントを詳細レポート【トヨタ】
- トヨタ カローラシリーズ新車情報・購入ガイド スポーティな特別仕様車「ACTIVE SPORT」新投入!【トヨタ】
- スバル インプレッサ新旧比較 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
【オススメ記事】
- ヒョンデ インスター試乗記・評価 神コスパ! 軽BEV、ハイブリッドコンパクトカーの脅威になる!?【その他】
- スバル クロストレック(GU系)新車情報・購入ガイド ブラックの内外装で、よりスポーティさをアップした特別仕様車「Limited Black」登場!【スバル】
- マツダCX-80(KL系)新車情報・購入ガイド グレード体系刷新と、利便性&走りの質感向上をアップした一部改良【マツダ】
- マツダCX-60(KH系)新車情報・購入ガイド 機能性・快適性・安全性の向上とグレード体系の見直した一部改良【マツダ】
- トヨタ タンドラ新車情報・購入ガイド 全長5.93m! とにかくデカい!! アメリカを象徴するフルサイズピックアップトラック【トヨタ】
- トヨタ ハイランダー新車情報・購入ガイド 円安が理由!? 少々高価な3列シートSUV【トヨタ】
- トヨタ GRヤリス(10系)新車情報・購入ガイド さらなる熟成が施された26式【トヨタ】
- レクサスLM(10系)新車情報・購入ガイド 日本車らしい、細部にわたるおもてなし【レクサス】
- ホンダCR-V(RS5/6)新車情報・購入ガイド スポーティグレードのみで勝負!【ホンダ】
- トヨタ RAV4 PHEV(60系)新車情報・購入ガイド 優れた走りが楽しめるGR SPORTを設定!【トヨタ】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!

























