ホンダ フィットは、2001年に初代を発売し、今年で10周年を迎えた。初代の発売からの国内累計販売台数は約163万台という大人気車。センタータンクレイアウトなどにより、コンパクトカーなのに広大な車内、優れた燃費性能が人気の秘密だ。2011年上半期（1月〜6月）の販売台数も好調で8万8,282台（自販連調べ）となり、登録車と届出車を合わせた上半期の車名別新車販売台数において第1位となった。

　そんなフィットに、専用のブラック内装や、メーカーオプション装備として人気の高いスマートキーシステム、ETCなどを標準装備した10周年特別仕様車「13G・10th アニバーサリー」をお買い得感のある価格設定として発売した。

●10周年特別仕様車「13G・10th アニバーサリー」の主な装備内容
・Hondaスマートキーシステム（2個付）
・ETC車載器
・専用ブラックインテリア
・ガンメタリック塗装スイッチパネル（フロントドア）
・専用メタリック塗装フロントグリル
・専用メタリック塗装フルホイールキャップ（スパークルシルバー）
・10th アニバーサリー専用エンブレム
・ハーフシェイド・フロントウインドウ
・クロームメッキ・メーターリング
・バニティミラー付サンバイザー（助手席側）
・Fパッケージ（LEDドアミラーウインカー、電動格納式リモコンカラードドアミラーなど）

●ホンダ フィット価格　13G・10th アニバーサリー1,320,000円（CVT、FF車）1,495,600円（5AT、4WD車）

　確かに、ホンダにとってフィットは国内のマーケットを支える重要な車種で、10周年というおめでたい時期なので、これだけの装備が付いて132万円というのはバーゲンプライス。迷うことなく、このグレードの購入をお勧めする。

　しかし、こういった特別仕様車は最初からリーズナブルな価格なので、値引きができないという営業マンが多い。確かにそうかもしれないが、それで簡単に納得してはいけない。通常グレードに、特別仕様車並のオプションを付けて見積もりを出してもらい、最終的にどちらが支払い価格が少なくなるかを見極める必要がある。多くの特別仕様車には、値引き抑制の目的で登場するものも少なくない。とくに、9月は半期決算。販売店は1台でも売って、インセンティブを確保した時期。この特別仕様車の値引きが少ないと感じたら、在庫車の値引きと組み合わせて商談することをお勧めしたい。

　

　もうひとつの見方は、ハイブリッド車が売れ過ぎのための対応だ。フィット・ハイブリッドは、まさに絶好調で、初期の受注では全体の70％以上がハイブリッド車になった。つまり、ハイブリッドしか売れないという状況。ある程度、まんべんなく売れてくれないと困るのメーカーの都合だ。

　そして、ライバルのデミオSKYACTIVへの対応だ。デミオSKYACTIVの燃費は30km/lでフィット1.3Gは24.5km/lより約20％ほど上回る。だが、デミオSKYACTIVは140万円、フィット1.3G10thアニバーサリーは132万円と8万円ほどデミオSKYACTIVが高価なのだ。コンパクトカーの場合、価格重視のユーザーが多いため、装備充実を図り買い得感のある特別仕様車で、デミオSKYACTIVへの対応も考えているはずだ。

　当然、実際の商談では、十分にこういったライバル関係を理解して、営業マンとの値引きの駆け引きとして使いたい。当然、デミオの見積書をとっておくことが前提だ。とくに、デミオSKYACTIVは、マツダにしては珍しく値引きをしない姿勢を示しているので、デミオSKYACTIVを購入しようと考えている人にとっては、フィットの特別仕様車の見積もりも有効だ。