究極のエコカー、ミライがフルモデルチェンジ!
トヨタは、10月24日から11月4日まで開催される東京モーターショー2019のMEGA WEB会場FUTURE EXPOにて、2代目となる「ミライコンセプト(MIRAI Concept)」を初公開する。
この新型トヨタ ミライコンセプトは、2020年末に発売が予定されている2代目ミライだ。
初代トヨタ ミライは、2014年12月に発売された世界初の量産FCV(Fuel Cell Vehicle)。世界中で約1万台を販売した。トヨタ ミライの燃料は水素。空気中の酸素と化学反応させ電気を取り出しモーターを駆動させて走行。走行中に排出されるのは水のみ。化石燃料車のように、CO2やNOxなどを発生しないため、究極のエコカーと呼ばれている。
石油をほぼ100%輸入に頼っている日本において、戦争などにおいて海上封鎖されれば発電すらままならないのが日本の現状。しかし、水素は容易に色々な物質から取り出しやすく貯蔵しやすい。また、太陽光など自然由来で発電した電力を水素にして貯めておくことも可能。FCVに使われているFCスタックは、未来のクリーンな発電ツールとして注目されている。
こうした最先端のFCスタックを搭載した初代ミライの価格は、なんと約720万円。この価格は破格といえるもので、トヨタは完全に赤字といわれていた。しかも、補助金は200万以上も付き、実際には500万円程度で先進技術の塊であるミライに乗れたのだ。
究極のエコカーは「走っても、つまらないクルマ」というレッテル?
当初、ほぼ手造りといった状態のミライの生産が、なかなか追いつかない状況が続いた。こうしたことと、水素スタンドというインフラがなかなか進まないこともあり、ミライを含むFCVの普及はなかなか進まなかった。
また、ミライそのものも、腰高で好き嫌いが明確に出るデザインなど賛否両論。歩行者検知式自動ブレーキさえ装備されていなかった。さらに、究極のエコカーというイメージが、一般の顧客には「走っても、つまらないクルマ」として認知されていたのもマイナスだった。
そんなイメージが先行したミライだが、モーター出力は154ps&335Nm。最大トルクは、V6 3.5L並み。非常に力強くスムースな加速性能を誇っていた。ただ、FF(前輪駆動)としたのが、ややマイナスイメージに拍車をかけてしまったのかもしれない。
とにかく、先進性では世界トップのミライだったが、こうしたマイナス要因もあり、徐々に話題にならなくなっていった。
GA-Lプラットフォームを採用しFFからFRへ!
そこで、2代目となる新型ミライは、初代ミライのマイナス要因を徹底的に払拭。さらに、ハード面も大幅に進化させて2020年末に投入されるという。
トヨタがFCVにかける執念は半端ない。一般的にこうした先進車の2代目は、基本骨格であるプラットフォーム(車台)はキャリーオーバー。ボディパネル程度のデザイン変更といったところが相場といえる。お金がかかる部分は、使いまわしてコスト低減を図る。こうしたクルマはたくさんある。
ところが、2代目新型ミライはプラットフォームを刷新。なんと、FFからFR(後輪駆動)へ変更してきた。クラウンやレクサスLSなどにも採用されているFR用GA-Lプラットフォームを使用。このGA-LプラットフォームをFCV用に改良している。
ボディサイズはひと回りアップ。スタイリッシュなセダンへと変貌
2代目新型トヨタ ミライコンセプトのボディサイズは、全長4,975×全幅1,885×全高1,470mm、ホイールベースは2,920mmとなった初代ミライのボディサイズが、全長4,890×全幅1,815×全高1,535mm、ホイールベースが2,780mm。初代ミライと比較すると、ひと回りボディサイズが大きくなったが全高は下がっている。
外観デザインは、FR車らしいロングノーズショートデッキのスタイリッシュなフォルムだ。初代ミライとは全く異なり、GA-Lプラットフォームを採用したことで、低重心さも手に入れている。タイヤは20インチ。スポーツモデルであることを予感させる。
ボディカラーは、鮮やかさと深み感を強調した「フォースブルー マルチプルレイヤーズ」を新規開発。スポーツマインドを刺激する“強いブルー”を追求した。
インテリアは、水平基調でワイド感をアピールするインパネデザインとなった。柔らかくラウンドするラインで、ドライバーを包み込むようなデザインも施された。注目は、12.3インチのワイドモニターを取り込んだセンタークラスター。デジタルメーターと合わせると、メルセデス・ベンツ系と同様な視認性に優れ先進性を感じさせる。初代ミライでは不評だった4人乗りも5人乗りに変更されている。
航続距離は30%アップ? 約850㎞か?
2代目新型ミライコンセプトの心臓でもあるFCシステムは、FCスタックを始めすべてを一新。さらなる効率アップが図られ、性能を大幅に向上。同時に、水素搭載量を拡大するなどし、航続距離を従来型比で約30%延長。初代ミライの航続距離は約650㎞(JC08モード走行パターンによるトヨタ測定値)。30%走行距離が延びると、約850㎞の航続距離になる。普通のガソリン車より、長く走れるレベルといえる。
エコだけじゃない「究極のエコ、スポーツセダン」を目指した新型ミライコンセプト
そして、2代目新型ミライコンセプトで、最も注目したい点が走行性能だ。初代ミライは、なかなか力強い走りだったが「究極のエコカー」のイメージが強く「走っても、つまらないクルマ」というレッテルを貼られてしまった。しかし、2代目ミライコンセプトは、低重心化されたGA-Lプラットフォームを採用。スポーティな走りを予感させるデザインと、後輪駆動とすることで、スポーツセダン的なイメージを強調している。
今のところ、2代目新型ミライコンセプトに搭載されるモーターの出力は公表されていない。大きな出力のモーターを搭載すれば、当然、高速距離悪化傾向になる。このあたりのせめぎ合いの中で、トヨタはどんな出力をもつモーターを積んでくるのか注目だ。このモーターの出力次第で、2代目新型ミライコンセプトの本当のキャラクターが明確になるだろう。
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