2025 バンコク国際モーターショーレポート<BYD編>の目次
幅広い車種でトヨタを抜いて成約数1位となったBYD
今年のバンコク国際モーターショー会場での成約台数で、トヨタを抜いて首位に立ったのがBYD。成約台数は、各社の申告制であるため、100%正確な数字ではないのだが、それでもBYDがトヨタを抜いたことは大きなニュースとなった。
これはBYDが、バンコク国際モーターショーに向けて多くの車種を投入し、幅広い車種ラインナップで勝負をかけてきたことも理由だ。BYDオリジナルBEVのほか、ダイムラーとの合弁会社(現在はBYDの子会社)が始めたDENZAブランドの高級車も展示されていた。
あのミニバンに似ていると話題のDENZA D9
バンコク国際モーターショーの段階では、まだ左ハンドル車しか用意されておらず、予約受注を集めるだけだった車種もあるが、BYD/DENZAの豊富なラインナップを紹介しよう。
DENZA D9は、中国では2022年に発売された高級ミニバンだ。BEVだけでなく、1.5Lエンジンと電気モーターを組み合わせたPHEV仕様のモデルも設定されている。
ショー会場で最も目立つ位置に置かれていたD9はBEVモデルで、それも後輪用のモーターも搭載した4WDモデルだった。基本はフロントに230kW/360Nmの強力なモーターを搭載するFF車なのだが、4WDモデルには45kW/110Nmを発生する後輪用モーターも搭載されている。
航続距離1,300㎞!? 電動大型SUVのN9
DENZAブランドでは、もう1台、中国で発表されたばかりの大型SUVであるDENZA N9が展示されていた。大柄なボディを持つ大型のクロカンSUVだが、外観デザインは乗用車を思わせるスタイリッシュな印象。
バンコクでは、参考出品で詳細なデータは示されなかったが、中国のデータを見ると全長5258㎜×全幅2030㎜×全高1830㎜、ホイールベースが3125㎜という堂々たるボディで、室内には3列シートを配置する大型のSUVモデルだ。
2.0Lのターボ仕様エンジンと電気モーターを組み合わせたPHEVで、47kWhもの大容量バッテリーを搭載することによって、EV航続距離はWLTCモードで145㎞、PHEVとしての航続距離は1300㎞に達するという。
PHEVながら格安感あるSEAL5
タイで今後BYDの主力モデルに育っていく可能性を持つのがSEAL5。今回のショーでは、左ハンドル車を参考出品する形だったが、カローラよりもひと回り大きい程度の手頃なボディサイズクルマで、BYDがDM-iと呼ぶプラグインハイブリッドシステムを搭載している。
フィリピンでは、すでに発売されているモデルで、最上級グレードに119万8000ペソの価格が付けられている。最近のレート1円=2.56円で計算したら306万円ほどだから、ベーシックグレードならタクシー用として販売することも可能なモデルだ。
SEALION6にATTO2と続々投入される新型車
BYDは、日本でBEVのSEALION7を売り出したが、タイでは同じSEALION7に加えてSEALION6という新型車を投入した。これもSEAL5と同じくDM-iと呼ぶプラグインハイブリッドシステムを搭載したSUVモデルで、ボディは全長4775㎜×全幅1890㎜×全高1670㎜という中間的なサイズ。本格的なSUVというよりもクロスオーバー的な車種である。上級グレードのプレミアムで109万9900バーツと表示されていたか、日本円にすると480万円ほどになる。
BYDのブースで注目を集めていたのは、左ハンドル車が参考出品されたATTO2だ。名前が示すようにATTO3よりもひと回り小さなボディを持つBEVのクロスオーバーSUVで、今のタイでとても良く売れているカローラクロスよりも少し小さい。参考出品なので、価格などは表示されていなかったが、発売されればバンコク市内では一定の需要を確保できそうだ。
ピックアップも電動化時代に
タイでは最近、売れ筋車種のピックアップトラックを電動化する動きが目立っている。吉林自動車のリッダラもそうだが、BYDもSHARK6というPHEVのピックアップトラックをショー会場内で強調する形で展示していた。
1.5Lエンジンに電気モーターを組み合わせたPHEV車で、システムを使った走行距離は840㎞以上に達するという。ただ、荷台下に電池を搭載するために荷台の地上高が高くなりがちなことと、電動モデルに対する不安が払拭しきれていないことなどから、今回のショー期間中の受注台数は150台程度とあまり振るわなかったようだ。
タイではピックアップトラックが大きな市場を形成しているが、これを電動化していくにはまだまだ課題も多いようだ。
<レポート>松下宏
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