トヨタ ライズ VS スズキ クロスビー徹底比較評価の目次
実用性に優れたAセグSUVを徹底比較評価
空前のSUVブーム。人気の中心は、ヤリスクロスやヴェゼルなどのBセグメントSUV。あまり話題にならないが、手堅く売れているクラスがBセグメントより小さいAセグメントのコンパクトSUVだ。キュートさとSUVのタフネスさを併せ持つ、ユニークなスタイルが魅力的。価格も安価で、広いスペースをもつなど、利便性も高い。今回は、そんなAセグメントSUVを代表するのが、トヨタ ライズとスズキ クロスビー。2台の人気モデルを徹底比較評価する。
トヨタ ライズの特徴
1.2Lガソリンと、1.2Lハイブリッドが追加!
トヨタ ライズは、2019年に登場したAセグメントのコンパクトSUVだ。トヨタとダイハツによる共同開発車だが、主にダイハツが開発・生産を担い、トヨタに供給している。ダイハツではロッキーとして売れており、外観などに若干の違いがあるが同じクルマである。
ライズの特徴は、ダイハツが軽自動車で鍛えた優れたパッケージング技術が生かされていることだ。
全長はわずか4m弱としながらも、後席や荷室はとても広く実用的。外観デザインは、大きく見えて見栄えもよい。
デビュー時に設定されたパワーユニットは、直3 1.0Lターボのみで、燃費面もやや物足りなかった。しかし、2021年11月の改良では、ダイハツ初となるハイブリッドシステム1.2Lのe‐SMARTを投入。同時に1.2Lガソリン車も用意され、選択肢を増やしている。
スズキ クロスビーの特徴
愛着がわくキュートなデザインと、パワフルな走り
スズキ クロスビーは、新型車として2017年末に登場した。
スズキの大人気車種であるハスラーは、ハイト系ワゴン軽自動車にSUVテイストをプラスしたクロスオーバー車だ。その成功体験をもとに、クロスビーもコンパクトハイトワゴンモデルのクロスオーバー車となった。
売れるSUVのデザイン要素は、より大きく見え迫力があることだ。しかし、クロスビーは、その逆をいく。
大きく見えるものの、とにかく愛着の湧く可愛らしいデザインとなった。キュートさとSUVのタフネスさを併せ持つ、とてもユニークなスタイルが魅力だ。
もちろん、軽自動車で磨いた優れたパッケージング技術も生きている。全長はわずか3,760mmしかないのに、室内の広さと荷室は十分だ。
搭載されるエンジンは、1.0L直3ターボのマイルドハイブリッドシステム付きのみだ。99ps&150Nmという出力をもち、なかなかパワフル。ミッションは、CVTではなく6速ATとなっている。
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ライズ圧勝!大差がついた燃費性能
1.燃費比較
ライズの評価は 4.0
クロスビーの評価は 3.0
燃費性能は以下の通りだ。
車種 | 燃費(km/L) | 走行モード |
---|---|---|
ライズ1.2Lガソリン車 | 20.7km/L | FF、WLTCモード |
ライズ1.0Lターボガソリン車 | 17.4km/L | 4WD、WLTCモード |
ライズ1.2Lハイブリッド車 | 28.0km/L | FF、WLTCモード |
クロスビー1.0Lターボ マイルドハイブリッド車 | 18.2km/L | FF、WLTCモード |
トヨタ ライズに新搭載されたe‐SMARTは、1.2Lのハイブリッドシステム。エンジンは発電専用で、その電力を使いモーターで走行するシリーズハイブリッドシステムだ。
そのため、マイルドハイブリッドのクロスビーでは、さすがに燃費は歯が立たない。これは、ハイブリッドシステムがまったく異なるので仕方がない。
クロスビー4WD車の燃費は、17.0km/L(WLTCモード)。マイルドハイブリッド車なのだが、マイルドハイブリッド車ではないライズの1.0Lターボ車(4WD)の燃費に負けている。
これは、クロスビーが6速ATであるのに、ライズはCVTであることが大きな要因。小型車や排気量の小さいクルマは、ATよりCVTの方が、燃費効率が良くなる傾向にあるからだ。
ライズの1.2Lガソリン車の燃費性能もなかなか優秀なレベルに達している。
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高価だがリセールバリューと燃料費で元が取れそうなe‐SMART
2.価格比較
ライズの評価は 3.5
クロスビーの評価は 3.5
エンジンやハイブリッドの仕組み、駆動方式が異なるので単純比較はできないことを前提に、最も比較しやすいグレード同士を比較してみよう。
ライズ1.0Lターボ4WD Z 2,299,200円
クロスビー1.0LターボマイルドハイブリッドMZ 4WD 2,207,700円
約9万円、クロスビーのほうが安い。
ライズの17インチアルミホイールに対し、クロスビーは16インチアルミホイールなどの違いがある。だがクロスビーはマイルドハイブリッドを装備する。このグレードに関しては、ややクロスビーの方が安価な印象だ。
【エントリーグレード】
ライズ1.2LガソリンXグレードFF 1,707,000円
クロスビー1.0Lターボ ハイブリッドMX FF 1,805,100円
エントリーグレードでは、約10万円ライズが安価だ。しかし、クロスビーは、マイルドハイブリッド機能がプラスされ、エンジンがターボになる。
この差であれば、むしろクロスビーの方がリーズナブルに感じる。だが、クロスビーのMXには以下が装備されていない。
・サイドエアバッグ
・カーテンエアバッグ
・スズキセーフティサポート(自動ブレーキなど)
安全装備が充実したライズの1.2L Xグレードのコストパフォーマンスは優れているといえる。
【最上級グレード】
ライズ1.2LハイブリッドZグレードFF 2,328,000円
クロスビー1.0Lターボ ハイブリッドMZ FF 2,062,500円
約27万円ライズが高価だ。ストロングハイブリッドであるライズが約27万円アップなのは、妥当なレベルといえる。
ただし、この約27万円という価格を燃費差による燃料費で元を取ろうとすると約10万km乗る必要がある。現実的な価格差では無いように感じるかもしれない。
だが、今後、ますますコンパクトSUVでもハイブリッド車のリセールバリューは高くなると予想できる。リセールバリューを含めた短期の乗換えであれば、逆にライズのハイブリッド車が安価になる可能性もある。
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両車、値引きに期待大!
3.購入時の値引き術
ライズの評価は 4.0
クロスビーの評価は 4.0
トヨタ ライズは、新たにハイブリッドであるe‐SMARTを投入した。しかし2021年度の販売状況は、前年比70%に止まった。コロナ禍の部品不足により、順調に生産ができていないとはいえ、なかなか厳しい状況だ。
新パワーユニットとはいえ価格も高価なので、競合されると値引き対応するしかない状態のようだ。
値引きを引き出すのに重要なのは、クロスビーとの競合だ。クロスビーは2017年デビューとすでにモデル後期に入っているため、容易に値引き対応してくれる。
両車の値引きで重要なのは、本命モデルの見積りを後に取ることだ。本命がライズなら、先にクロスビーの見積りを取り、逆にクロスビーが本命なら先にライズの見積りを取る。
あくまで、本命はライバル車であると営業マンに勘違いさせることがポイントだ。結果、ライバル車に負けじと最初から一定の値引きが提示されやすくなる。
この2台は比較的容易に値引き対応してくれる可能性は高いが、欲張ってはいけない。最初から安価な価格帯なので、20万円を超える値引きをさせるのは至難の業だ。その後は、用品値引きなどに切り替えるとよいだろう。
同時に注意したいのが下取車だ。値引きで頑張っても下取価格が安ければ元も子もない。事前に買取店などで査定してもらい、ディーラーでの下取り価格と比較することも大切である。ディーラーで見積りを取るとき「買取店で査定されました?」と、探りを入れる営業マンには要注意だ。買取店に行っていないのであれば、下取り価格を低めに提示する可能性が高い。
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方向性は異なるが、ツボを押さえた優れたデザイン
4.デザイン比較
ライズの評価は 4.0
クロスビーの評価は 4.0
トヨタ ライズのデザインは「力強く!新しい!アクティブスタイル」をコンセプトに開発されている。
売れるSUVデザインのポイントは、大きく見えて迫力のあるフェイスデザインだ。
ライズは、ワイド感と安定感を表現している。ボンネットフードを路面とほぼ平行にして大きな顔を作り、左右に大きく開いたエアダクト風デザインを取り入れた。
さらに、大径17インチタイヤと張り出したフェンダーにより、SUVらしい力強さをアピールしている。
また、夜間に目立つよう、人気の薄型LEDヘッドランプやLEDシーケンシャルターンランプを採用している。
ライズは、売れるSUVデザインのツボをしっかり押さえている。さらに、あまり好き嫌いが明確にならないような配慮も加わった。多くの人に高い好感度を与える、計算され尽くしたデザインといえる。
対するスズキ クロスビーは、ライズとは逆のアプローチとなるデザインが魅力的だ。デザインコンセプトは「一緒に毎日の楽しさを広げていきたくなる“愛すべき相棒”」である。
クロスビーにはハスラーの成功体験が生かされており、ライズとは逆の可愛らしさで存在感をアピールしている。
角を丸くしたボクシーなシルエットに丸形の大型ヘッドライトを組み合わせ、とにかく可愛らしく、愛着が湧くデザインとした。
さらに厚く張りのある力強いボディサイドのデザインで、SUVらしいタフな印象を表現した。可愛いのに、ちょっと筋肉質といったディテールがユニークだ。
売れるデザインを熟知したライズと、ハスラーでの成功から得られたノウハウで、独自性を追求したクロスビー。目指す方向性は異なるものの、どちらも甲乙つけ難いレベルである。もはや、好みの問題だ。
<レポート:大岡智彦>
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