2021年5月、新車販売台数ランキング 半導体不足、深刻さが加速。フィットまさかの前年比は28.1%
コロナ禍前に比べると、未だ回復していない新車販売
自販連と全軽自協の集計による6月の新車販売台数は、前年に比べて大幅な増加を示した。
登録車は19万3750台で、前年の14万7978台に対して30.9%の増加となった。また、軽自動車は12万5568台で前年同月の7万307台に対して78.6%の大幅な増加を記録した。合計の台数は、31万9318台で前年に比べて43.6%の増加だった。
このように大きな伸びを示したのは、前年の5月が新コロナウィルス禍による緊急事態宣言などによって販売が大きく落ち込んでいたためだ。
今年の販売台数は、前年に比べて大きく伸びているが、新コロナウィルス禍前の前々年に比べるとまだ20%くらいの落ち込みになっている。十分に回復したとはいえない。
半導体不足が、より鮮明に
回復しきれなかった一因として、半導体不足による生産停止も上げられる。半導体の影響は今後もしばらく続きそうで、需要回復に影を落としている。
しかも、本来6~7月の需要期に向けて登場する予定だった新型車も、半導体不足により生産の目途が付かず、発売が後ろ倒しになっている。
<レポート:松下 宏>
ホンダ、小型車が半導体不足大打撃?
5月の乗用車販売は、すべてのメーカーが前年比越えとなっていて、一見、好調に見える。しかし、半導体不足は深刻。一部のメーカーは、大きな打撃を受けている。
まず、ホンダの小型車は、小型車が多く影響を受け、前年比は64.5%となった。これは、基幹車種であるフィットの減産が大きく影響している。フィットの販売台数は、2,032台で前年比28.1%とありえないような数値となった。半導体不足で減産が強いられているとはいえ、ここまで、小型車で前年比割れしているのはホンダだけだ。
ただ、新型ヴェゼルの投入などもあり、普通車が好調。前年比は158.6%。乗車全体では、120.7%となっている。
小型車が好調なスズキ、普通車が好調なスバル、軽自動車が好調なダイハツ
ホンダとは逆に、小型車で好調なのが日産とスズキだ。新型ノートが好調もあり、前年比は216.3%と大幅に伸ばしている。しかし、逆に普通車が前年比87.8%と低迷した。
そして、小型車と軽自動車、普通車と好調なのがスズキだ。国内では軽自動車がメインのスズキだが、小型車も好調。ソリオやスイフトが好調で、前年比は202.7%となった。また、軽自動車も好調。前年比も小型車と同じく202.7%となっている。
普通車が好調だったのはスバルだ。インプレッサ、フォレスター、レヴォーグが好調で、前年比は296.0%となった。
本業の軽自動車で絶好調なのが、ダイハツだ。軽自動車では、前年比261.9%となった。タント系やムーヴ系が好調で、両車共に前年比300%以上となっている。
ライズに黄色信号点滅か?
新車販売台数ランキング1~10位を見ると、軽自動車5台、登録車5台がそれぞれランクインしている。4月のランキングと比べると、ハスラーがベスト10内に入り、アルファードがランク外となった。
ベスト10内は、さすが人気車種ということもあり、ほとんどの車種が前年比越えで安定した売れ行きとなっている。しかし、唯一ライズだけが前年比を超えることができず79.2%に止まった。半導体不足もあるのだろうが、ライズに黄色信号が点滅し始めている。
そして、相変わらず絶好調なのがハリアーだ。前年比541.9%で 6,313台を販売した。これだけの高額車が、ライズ並みに売れるのだがから、トヨタは強い。
■2021年5月の新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス系 16,660台(160.4%)
2)N-BOX 14,215台(122.0%)
3)ルーミー 11,597台(312.3%)
4)スペーシア 10,479台(238.6%)
5)タント 8,049台(322.3%)
6)ムーヴ系 7,788台(368.6%)
7)カローラ 7,493台(119.4%)
8)ハスラー 7,119台(201.7%)
9)ハリアー 6,313台(541.9%)
10)ライズ 6,268台( 79.2%)
あのアルファードが、ついに息切れ?
11~20位では、ベスト10内から陥落したアルファードに注目したい。4月は9位だったので、やや急激に落ちた印象が強い。前年比は、103.4%と微妙に前年を超えているものの、大幅に販売台数が落ちた昨年5月の数字であることを考えると、非常に厳しい数値ともいえる。あれほど売れていたアルファードが、ついに息切れしてきた感もある。
ただ、アルファードは、2015年デビューとすでにモデル末期。それだけでなく、半導体不足も影響している可能性もあり、こうしたことまで考えれば、善戦しているようにも見える。
また、4月に登場したヴェゼルも思ったほど登録が進んでいないようだ。受注は5月末で32,000台越えで、93%がハイブリッドのe:HEVを購入しているという。
これだけ受注しても、登録が約4,000程度というのは、やはり半導体不足が影響しているのだろう。
心配なのは、このまま半導体不足が解消されるまで時間がかかり納車が遅れると、せっかく受注していてもキャンセルが発生する可能性が高くなる。ヴェゼル躍進のカギは、早期に生産がフル稼働できるかがカギを握りそうだ。
■2021年5月の新車販売ランキング 11~20位
11)ルークス 6,142台(157.0%)
12)ノート 5,962台(171.8%)
13)アルファード 5,947台(103.4%)
14)アルト 5,832台(359.8%)
15)ヴォクシー 5,066台(148.2%)
16)RAV4 4,764台(200.8%)
17)ミラ 4,700台(104.4%)
18)フリード 4,409台(122.1%)
19)タフト 4,388台(2020-06)
20)ヴェゼル 4,060台(247.1%)
異常値! フィット、まさかの前年比は28.1%!
21位以下では、圧倒的な販売力を誇るトヨタ車の中でも徐々に勢いを失いかけてきているモデルが目立ってきている。勢いが落ちているのは、シエンタとプリウスだ。両車共に、不調だった昨年をさらに下回る状態だ。
また、シエンタはライバルではあるフリードにも販売台数で負けている。多くのハイブリッド車が出てきたこともあり、販売台数が落ちるのは必然とはいえ、あの新車販売台数ランキングナンバー1の常連だったプリウスがここまで落ちてきているのも少々寂しさを感じさせる。
そして、やはり異常値なのがフィット。販売台数は、2,032台とかなり落ち込み、前年比は28.1%となった。フィットは、やや販売が低迷していたが、これは完全に半導体不足の影響だろう。
フィット低迷の一方で、オデッセイ復活の兆し?
この順位で好調なのが、スズキ勢。ソリオやスイフトが好調。ソリオが前年比276.5%、スイフトが293.7%とスズキの小型車販売増に貢献している。
また、フィットの減産で大打撃を受けているホンダだが、モデル末期ながらオデッセイとステップワゴンが好調。とくに、オデッセイは前年比245.0%と、大幅な伸びとなった。これは、マイナーチェンジによりフロントフェイスを大幅に変更。マーケットで支持されている、大きく見える迫力系にしたことが好転の要因だろう。
■2021年5月の新車販売ランキング 21位以下
21)シエンタ 3,908台( 90.0%)
21)デイズ 3,908台(101.5%)
23)ワゴンR 3,816台(114.9%)
24)N-WGN 3,738台(355.3%)
25)セレナ 3,460台(114.9%)
26)プリウス 3,194台( 91.3%)
27)ソリオ 3,159台(276.5%)
28)ノア 3,134台(155.8%)
29)アクア 2,968台(136.3%)
30)パッソ 2,698台(136.3%)
31)ジムニー(軽自動車) 2,511台(122.7%)
32)ランドクルーザーワゴン 2,447台(238.3%)
33)キックス 2,302台(2020-06)
34)インプレッサ 2,291台(261.8%)
35)ステップワゴン 2,118台(161.9%)
36)フィット 2,032台( 28.1%)
37)スイフト 1,997台(293.7%)
38)eKワゴン系 1,922台(144.4%)
39)N-ONE 1,759台( 46.3倍)
40)オデッセイ 1,504台(245.0%)
日産ノートe-POWER vs ホンダ フィットe:HEV徹底比較!
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