
テスラが造る電気自動車の優位性

【参考】
■トヨタ、テスラモータースと電気自動車開発で提携[2010.05.21/CORISM]
トヨタが出資したテスラモーター製電気自動車の面白さは、『18650』というラップトップコンピューターなどに使われる汎用のリチウムイオンバッテリーを採用している点にある。このバッテリー、量産しているため価格は驚くほど安価。現在、大雑把に言って1kWh当たり4万円くらいだという。
三菱自動車のi-MiEVが使っているGSユアサ製のリチウムイオンバッテリーは1kWhあたり15万円くらいすると思われる。ちなみにi-MiEVの場合、16kWh分搭載しており、バッテリーの価格だけで240万円! 1kWh当たり4万円の18650なら64万円だ。
また、電気自動車用リチウムイオンバッテリーは、千個以上のセル(小さいバッテリーをたくさん組み合わせて使う。1つのバッテリーをセルと呼ぶ)を使っている。千個の中に性能の悪いセルが1つでも混ざっていれば、バッテリー全体の性能を落としてしまうため、製造管理は極めて難しい。均質の性能持つセルを作るため、電気自動車用リチウムイオンバッテリーのコストが上がってしまうのだった。テスラの凄さは、6千個使う(テスラ・ロードスターに搭載されているセルの数)18650のうち、2〜3個の不良品が混ざっていても、そいつをカバーする制御を実現している点にある。
テスラの技術、トヨタは必要としない! それなら「なぜ」!?

それならトヨタはプラグインハイブリッド車などに『18650』を使うのか? 明確な「No!」である。18650の大きな弱点が充放電回数。今のところ長寿命タイプでも千回に届かない。テスラも認識しており、だからこそ日産リーフの2倍以上のバッテリーを搭載してます(重さ450kg!)。
バッテリーをたくさん積み、充放電1回あたりの走行距離を300km分確保したら、600回の充放電寿命だったとしても18万kmの走行可能距離となる。一方、バッテリー搭載量を最小限にしなけれならないプラグインハイブリッドだと、5千回程度の充放電寿命を確保しないと成立しない。
日産リーフのような乗用車タイプの電気自動車でも、最低3千回の充放電寿命と(1回の充放電で100km走るとして寿命30万km)、10年を超える時間的な耐久性が要求される。18650バッテリーも少しづつ寿命は延びているものの、当面千回のカベを超えるのに苦労するだろう。
トヨタが本格的な電気自動車を大量に生産すると目される2014年くらいには、圧倒的に優れた性能を持つ電気自動車用のリチウムイオンバッテリーも、18650バッテリーより安くなっていると思う。それならトヨタの狙いはなにか? おそらくイメージアップを考えたのだろう。
皆さんも感じている通り、トヨタは電気自動車の開発で日産に遅れを取ってしまった。テスラと提携すれば、いろんな意味で対抗出来る。また、トヨタが強引に閉鎖して雇用の機会を奪ったNUMMI(ヌーミー・カリフォルニア州の工場)跡地でテスラを作るという流れも好ましい。45億円の出資は十分見合うと思う。
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■【テスラモーターズ テスラ ロードスター 試乗記】ガリバーが輸入した中古車! 究極のEV(電気自動車)スポーツを試す![2010.01.11/CORISM]
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