日産セレナe-POWER新旧比較 失敗・後悔しないためのクルマ選び

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【対決】2023/09/03

日産セレナe-POWER新旧比較 失敗・後悔しないためのクルマ選び

 

SUVブームの中、堅調な人気を誇るMクラスミニバン

 

2022年~2023年は、Mクラスミニバンの当り年だ。トヨタ ヴォクシー&ノア、ホンダ ステップワゴン、日産セレナとすべてのMクラスミニバンが最新モデルとなった。

世界中で爆発的なSUVブームとなってはいるものの、国内のミニバン人気は堅調。2022年の登録車販売台数ランキングではノアが11位、セレナが12位、ヴォクシーが13位、ステップワゴンが16位となっていて、その人気の高さが分かる。

そんなMクラスミニバンのフルモデルチェンジで、最後発となったのが6代目C28型日産セレナe-POWER。今回は、新型C28型セレナと旧型である5代目C27型セレナの新旧モデルを徹底比較、評価。日産セレナの購入後、後悔・失敗したと思わないための、クルマ選びの参考にして欲しい。

 

C28型新型日産セレナの人気グレードやボディカラーは?

 

日産は、C28型新型セレナe-POWERの発売を4月20日から開始した。先行受注でC28型新型セレナe-POWERは、約2万台を達成するなど高い人気を得ている。

そんな人気のC28型新型セレナ。初期受注の状況では、約半数がシリーズハイブリッドのe-POWERを選択。驚きなのは、15%以上の顧客が、最先端のプロパイロット2.0を標準装備した最上位グレードのLUXION(ルキシオン)を選択していることだ。デビュー直後は、最上級グレードの人気が高くなる傾向にあるものの、ルキシオンの価格は約480万円。その下のグレードとなるハイウェイスターXVの価格が370万円なので、価格差は約110万円もある。こうしたグレード設定で、ルキシオンが15%以上も売れるということは、いかに熱烈なセレナファンが多い想像できる。

C28型新型セレナのボディカラーは、プリズムホワイトが1番の人気。次いでダイヤモンドブラック、2トーンではプリズムホワイト/スーパーブラックの人気高い。こうした新車時の人気グレードは、リセールバリューも高くなる傾向にある。

C28型6代目日産セレナ
C28型6代目日産セレナ

 

C27型5代目日産セレナ
C27型5代目日産セレナ

 

 

日産セレナe-POWERの歴史・概要

 

セレナ歴代モデル 発売年 型式
初代 1991年~1999年 C23型
2代目 1999年~2005年 C24型
3代目 2005年~2010年 C25型
4代目 2010年~2016年 C26型
5代目(比較:旧型) 2016年~2022年 C27型
6代目(新型) ※2022年 C28型

※6代目セレナのガソリン車は2022年12月に発売、e-POWERは2023年4月発売。

初代日産セレナは、1991年に登場した。商用バンをベースとしていたため、FR(後輪駆動)だった。

1999年にデビューした2代目C24型セレナからは、現在のような乗用専用車でFF(前輪駆動)となった。このモデルが、ある意味セレナのルーツといえる。乗用専用となったことで、乗り心地や静粛性、室内スペース、シートアレンジなどが大幅に向上した。

2代目セレナは、ミニバンブームに乗り大ヒットを記録し、人気モデルへの道を歩むことになる。歴代セレナはビッグ、イージー、ファンというキーワードをコンセプトとして着実に販売台数を伸ばしていった。

2014年、トヨタがヴォクシー&ノアのハイブリッド車を投入する。C26型4代目セレナは2012年時点でマイルドハイブリッドを搭載したSハイブリッドを投入していた。だが燃費で大差がつき厳しい戦いが続いた。

2016年に登場したC27型5代目セレナは、2018年の改良でノートe-POWERのシステムを用いたハイブリッドシステムを搭載し、発売直後から一気に販売台数を伸ばした。

5代目セレナには、デビュー当時の最先端だった運転支援機能であるプロパイロットを搭載した。こうした技術が高く評価され、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー、イノベーション部門賞を受賞している。

2022年11月末、コロナ禍における半導体や部品不足が続く中、C28型6代目セレナe-POWERが発表された。シリーズハイブリッドシステムであるe-POWERシステムは、第2世代へバージョンアップを果たしている。

また、「プロパイロット2.0」を標準装備したグレード「ルキシオン」が設定された。ナビで目的地を設定し、システムが一定条件をクリアした場合、高速道路上でハンズオフが可能となる機能だ。プロパイロット2.0ほどの最先端運転支援機能を標準装備したモデルは、国産車車では非常に数少ない。

 

 

コンセプト&エクステリアデザイン比較

 

新型セレナは迫力系デザインに先進性をプラス

C28型6代目新型日産セレナのデザインは、Mクラスミニバンのトレンドを踏襲した迫力系デザインだ。

大きな顔とグリルに、サイド上部の薄型LEDヘッドライトが組み合わされている。デザインは異なるが、手法としてはトヨタ ヴォクシーなどと同じだ。

6代目セレナのルキシオンとハイウェイスターは、顔全体がVモーショングリル風で、水平基調のグリルでワイド感を表現している。グリルのグラフィックで、先進感を上手く表現しており、先代セレナの面影は、ほとんど感じさせない。

 

やや古さを感じるようになった旧型セレナ(5代目)

C27型5代目日産セレナのデザインは、当時人気だったトヨタの迫力系デザインとはやや異なり、スポーティさが魅力だった。

顔の大きさを強調するのではなく、ボンネットのラインも前方に傾斜し、引き締まった軽快感ある印象を与えている。そこに、極太フレームのVモーショングリルを加え、迫力をアップさせた。

「フローティングルーフ」という、まるで浮いているように見える屋根がキャビンの広さを感じさせるデザインを採用するなど、独自性を追求していた。

全般にトヨタやホンダとは異なるデザインテイストで、オリジナリティがあるデザインといえる。ただ、2016年に登場したモデルということもあり、最近では少し古さを感じさせるようになってきた。

C28型6代目日産セレナ
C28型6代目日産セレナ

C27型5代目日産セレナ
C27型5代目日産セレナ

 

 

安全装備&インテリア比較

 

ハンズオフ機能をもつ最先端運転支援機能「プロパイロット2.0」が設定された6代目

C28型6代目新型日産セレナの自動ブレーキは、昼夜の歩行者や昼間の自転車を検知し衝突回避、もしくは被害軽減が可能だ。先代C27型セレナでは、歩行者のみだったので若干進化している。

しかし、交差点内での右左折時の歩行者や右折時の対向車などには対応しておらず、最新ヴォクシー&ノアと比べると、やや安全装備の機能は物足りなさを感じる。ただ、以下の予防安全装備は、全車標準装備されており安心できるレベルにある。

  • インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)
  • BSW(後側方車両検知警報)
  • RCTA(後退時車両検知警報)

5代目C27型セレナでは、一部オプションだったサイド&カーテンエアバッグは、6代目C28型セレナでは全車標準装備化された。極端な進化ではないものの、6代目C28型セレナの安全装備は着実に充実している。

大幅に進化したのは、運転支援機能である「プロパイロット2.0」。最上級グレード「ルキシオン」に標準装備化された。しかし、他のグレードには、オプション装着できないのが悩ましい。

このプロパイロット2.0は、最先端の運転支援機能。ナビで目的地を設定後、高速道路上で一定の条件を満たした場合、前方注視といつでも手動に切り替わってもOKな状態であれば、ハンズオフが可能となる。ハンズオフでの走行は、想像以上にドライバーの疲労軽減に効果がある。一度体験すると便利過ぎてやめられないくらいの機能だ。渋滞時など、低速域でハンズオフが可能となるモデルはあるが、通常の高速走行時にハンズオフが可能になっているモデルは、現在、一部の高級車に限られ、装着されているモデルは非常に少ない。

また、先行車に追いついた場合、システムが追い越しをドライバーに提案。ステアリングに手を添えて、スイッチを操作すると、システムが後方を確認後、ウインカーを点滅させ、自動で車線変更してくれる機能もある。運転に不慣れなドライバーよりも、車線変更は圧倒的にスムース。安心して任せられるシステムだ。

こうした自動運転時代を感じさせるこの装備は、日産車でも一部の車種しか装備されていない。こうした機能は、5代目セレナでは太刀打ちできない。

 

高級感で圧倒的な差となった新型と旧型のインパネデザイン

インパネデザインも、新旧セレナで大差がついている。6代目新型セレナでは、ルキシオンを除き、一部グレードで12.3インチカラーディスプレイがオプション選択可能だ。パネルタイプの先進的なデザインになっていて、高級感もある。スッキリまとめられたエアコンまわりや、水平基調でシンプルなデザインなど、高級感は6代目新型セレナが圧倒する。視界が良く、運転もしやすい。

C28型6代目日産セレナ
C28型6代目日産セレナ

C27型5代目日産セレナ
C27型5代目日産セレナ

 

 

広い室内もさらに進化

歴代日産セレナは、広い室内を誇り使い勝手も良好だった。新型セレナ(6代目)は、5代目セレナの改良版プラットフォーム(車台)を使っている。本来なら、先代モデルと同等程度の広さとなるケースが多いのだが、6代目セレナの室内はより広く使い勝手も改善された。

6代目セレナの有効室内長は、5代目セレナの2,610mmから110mmアップの2,720mmとなった。また、5代目セレナではe-POWER用バッテリー積載位置の影響で7人乗りのみの設定だったが、6代目では新たに8人乗りも設定された。また、クラス唯一の3列目シートスライドも継承し、荷室も若干広くなった。

おすすめは5代目セレナ? それとも6代目セレナ? 結果をcar-topicsで見る

C28型6代目日産セレナ
C28型6代目日産セレナ

 

C27型5代目日産セレナ
C27型5代目日産セレナ

 

 

走り、メカニズム

 

第2世代のe-POWER搭載!後悔しない走りと快適性

5代目、6代目日産セレナe-POWERの出力と燃費、車重は以下の通り。(ハイブリッド車、燃費はWLTCモード)

  最高出力 最大トルク 燃費 車重
5代目(1.2L) 136ps 320Nm 17.2~18.0km/L 1,760~1,780kg(FF)
6代目(1.4L) 163ps 315Nm 19.3km/L 1,790~1,850kg

よりパワフルになった第2世代e-POWERを搭載した6代目セレナ

日産セレナe-POWERは、発電専用のエンジンで発電した電力を使い、モーターで走行するシリーズハイブリッドシステムだ。

5代目セレナは、大ヒットしたノートe-POWERのシステムを流用し、出力をアップした仕様だった。当時は画期的だったが、今となっては洗練さに欠けていた。そのため、ヴォクシー&ノアやステップワゴンのハイブリッド車と比べると、静粛性に欠け、出力不足感もある。

そうした5代目セレナe-POWERの洗練さ不足を解消したのが、6代目セレナe-POWERだ。第2世代へと移行したe-POWERシステムを使う。使用するモーターはEM57型で、5代目セレナe-POWERやリーフと同じだ。しかしエンジンは1.2Lから1.4Lに排気量をアップし、最高出力と最大トルクが向上している。より発電できる仕様になったことで、6代目セレナe-POWERの最大出力も5代目の136psから163psに大幅アップした。

5代目セレナは、低速トルクは十分だったが、速度域が高くなるとパンチに欠け少々非力感があった。しかし、6代目セレナでは、伸びがあり力強い加速を手に入れている。この差は、かなり大きい。6代目セレナは高速道路も余裕ある走りが可能となった。

C28型6代目日産セレナ
C28型6代目日産セレナ

C27型5代目日産セレナ
C27型5代目日産セレナ

 

 

静粛性が大幅に向上した6代目セレナ

e-POWERの制御も、洗練さを増している。5代目セレナは、発電のために頻繁にエンジンが始動する。エンジンの回転数を高めて発電するので、信号待ちでも室内は賑やかだった。

6代目セレナe-POWERは、極力エンジンを始動させない制御に変更された。停止時は、ほとんど発電しない。ロードノイズが大きく、エンジン音が気にならないような路面などでは、積極的に発電。車内の静粛性を高めている。さらに遮音材も追加され、5代目セレナと比べると静粛性は非常に高まっている。

 

快適な乗り心地と安定感を両立した走行性能

6代目セレナは、リヤサスペンションが新開発された。5代目セレナよりも剛性が50%アップし、突き上げ感が減少した。とくに、3列目シートの乗り心地が向上している。

スタビライザーは、ロール剛性を20%向上している。カーブなどでステアリングを切ったとき、車体が傾くスピードを抑制する。穏やかに車体が傾くようになり、カーブでより安定・安心して走れるようになった。カーブでグラグラしないので、クルマに酔いにくくなる効果もある。乗り心地とカーブでの安定感も、5代目セレナとは大きな差が付いた。

6代目セレナの1・2列目シートには、新ゼログラビティシートが装備された。座り心地はもちろん、腰をシッカリ支えることで、頭の揺れなども抑え、長時間運転での披露も軽減してくれる。

<レポート:大岡智彦 

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6代目新型日産セレナ(C28型)価格・スペック

 

6代目新型日産セレナ(C28型)価格

e-POWERX 3,198,800円
e-POWERXV 3,499,100円
e-POWERハイウェイスターV 3,686,100円
e-POWERLUXION 4,798,200円

 

6代目新型日産セレナ(C28)燃費、ボディサイズなどスペック

代表車種 e-POWER ハイウェイスターV
ボディサイズ 全長4,765mm×全幅1,715mm×全高1,870mm
ホイールベース 2,870mm
最小回転半径 5.7m
乗車定員 8名
車両重量 1,810kg
サスペンション形式 前/後 ストラット/トーションビーム
エンジン型式・種類 HR14DDe型 直3DOHC
排気量 1,433㏄
エンジン最高出力 72kW(98ps)/5,600rpm
エンジン最大トルク 123Nm(12.5kgf・m)/5,600rpm
フロントモーター最高出力 120kW(163ps)
フロントモーター最大トルク 315Nm(32.1kgf・m)
燃費(WLTCモード) 19.3km/L
バッテリー種類 リチウムイオン
タイヤ前/後 205/65R16

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