同じクルマで本家を超えるブランド力とは?【日産ラフェスタ・ハイウェイスター】

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【日産】2011/07/19

 

OEMで必要なのは、ユーザーへのメリット

 新型日産ラフェスタハイウェイスターは、マツダ プレマシーのOEM車だ。クルマ好きや、日産の中にもOEMはけしからん的な考え方があるという。情緒的にとらえるなら、ボク自身もそうかもしれない。ただ、実際に買って使うユーザーにとってのベネフィットを考えるのなら、単純に反対できないのも事実だ。

OEMは、供給先と供給元、双方にメリットがある。クルマはたくさん作れば作るほど儲かる。マツダにしてみれば、工場の稼働率が上がり、部品の原価コストも下がる。日産にしてみれば、巨額の設備投資が必要ない、などのメリットがある。我々ユーザーにしてみれば、両社のコストが下がったことにより、製品そのものの価格が下がればユーザーにも十分なメリットがある。今のところ、まだユーザーへのベネフィットはあまり感じられないが、このアライアンスが長く継続すれば、徐々に効果は目に見えてくるだろう。

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 水平基調のメッキグリルは、ハイウェイスター共通のデザイン。顔つきは、プレマシーと同じクルマには見えないくらい変貌している

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 バンパー下部は、ボディ同色に塗装され一体感を出しているのが、ラフェスタ・ハイウェイスターの特徴

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 ハイウェイスターGには、205/55R16サイズのタイヤとアルミホイールが装着される
日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 

NAGAREデザインが消えたワケ

 今回、日産は非常に積極的に、OEMというものを考えているように感じている。というのは、マツダ プレマシーにあったアレがきれいサッパリ消えて無くなっているのだ。アレとは、マツダのデザインアイデンティティでもあるNAGAREデザイン。ボディサイドに入った微妙なディテールをもつキャラクターラインだ。マツダは、自社のこだわりデザインを日産に使って欲しくはなかった。それに対して、日産は自社ブランドを強調するためにスタイルを大きく変えたかったことから、両社の思惑は一致した。

OEMはコストを抑えることに大きな意味をもつ。しかし、日産はドアパネルやバンパーなどの変更。セレナやエルグランドと同じデザインテイストを施し、自社のブランドのイメージを強調する。そうすることにより、OEMに懐疑的な層に対しても受け入れやすくなっているからだ。そんなこともあり、旧ラフェスタも含むが6月の販売台数は約2700台と絶好調な滑り出しでスタート。本家プレマシーを超える販売台数だ。このことからも、一般ユーザーはOEMにネガな要素をもっていないことを感じさせる結果になった。デザインを大幅に変え、日産ブランドを強調する作戦が成功だったということにもなると評価したい。

かなり使いやすいインテリア

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 インテリアは、ほぼプレマシーと同じ。ブラックを基調にした、スポーティな演出

 インテリアなどは、ほぼプレマシーと同じで素性の良さが光る。686mmというスライドドアの開口部は広く使いやすい。両側スライドアなので、他社のヒンジドアに比べれば圧倒的に便利。とくに、狭い駐車場など、子供のドアの開け閉めに気を使う必要もない。

シートアレンジも多彩だ。2列目センターシートを収納すれば、豪華なキャプテンシート仕様になるなど、とても便利。シートの座面下には収納スペースがあるなど、使い方は自由自在。さらに、ジュースなどの水分汚れやケチャップなどの油分汚れに強いシート生地を採用。染み込みにくく拭き取りやすい加工を施しているので、子供の食べこぼしにも安心だ。また、ペットやタバコのニオイをはじめとするさまざまな生活臭を軽減する消臭天井を採用して快適な室内空間を作りしている。

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 シンプルなメターまわり。メーター内に燃費計がほしい

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 ヘッドレストを外すと、1列目と2列目でセミフラットモードになる

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 通常の2列目シートは3人用。2列目中央席にも3点式シートベルトが付く

 

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 2列目中央席を折りたたむと、余裕のあるキャプテンシートになる

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 2列目シートは270mmのロングスライド。3列目シートへのアクセスも容易

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 セカントシート座面下には、収納スペースが用意され便利

クラストップレベルの運動性能とアイドリングストップというエコの両立

 エンジンは150馬力を発生する直噴エンジン。アイドリングストップ機能を装備し、クラストップレベルの16km/l。アイドリングストップ機能は、セレナに搭載される最新のモノと比べると、エンジンの停止時間が短い。試乗時は炎天下で、エアコン全開状態だったとはいえ、信号待ちで10秒以上停止することはなかった。さすがに、1年前のモデルであるため、仕方がないところでもある。また、郊外であまり信号待ちしない道では、それほど差が出ないかもしれない。試乗コースとなった横浜では、渋滞のある市街地走行だったため10km/lにはなかなか届かないイメージだ。

高速道路では、流れに乗った速度で12km/l程度だった。少し速度を落とせば、もっと伸びると思われるので、まずまずの燃費。それだけに、エンジンの停止時間が燃費に響く市街地では、エンジンの停止時間のアップがダイレクトに燃費に反映するので、マイナーチェンジ時などでの進化を望みたい。ちょっと価格帯が高価になるが、最新のセレナのアイドリングストップと比べてみるのもいい。どちらが自分に合うのか、乗って比較してみるといいだろう。

運動性能は、クラストップレベル。とくに、高速道路のゆるいカーブを曲がるときなどラフェスタ・ハイウェイスターの実力がよくわかる。ステアリングを少し切ったときでも、クルマがスゥっと反応。思ったとおりに走ってくれる。背の高い5ナンバーミニバンでは、なかなかこうはいかない。ロールーフのミニバンの持ち味がよく出ていると評価したい。

実際に購入する場合、プレマシーが競合になる。ハードは同じなので、どっちのスタイルが好きか? マツダと日産どちらのブランドが好きか? そんな選び方が中心だろう。もちろん、値引きも重要だが、ローン購入の場合は金利、とくに残価設定ローンの場合は残価などを比べてみることが重要だ。

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 アイドリングストップ機能付き直4直噴エンジン。Jパッケージと4WD車には、アイドリングストップは装備されない

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 FF車は5ATで4WD車は4ATとなる

日産ラフェスタ・ハイウェイスター

 ピュアドアリブのエンブレムは、アイドリングストップ車に装備。プレマシーを選ぶときには、アイドリングストップ機能付きをベースに選びたい

マツダ プレマシー

マツダ プレマシー

 こちらは、本家マツダ プレマシー。外観はまったく違う

 

代表グレード 日産ラフェスタ ハイウェイスターG
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4615×1750×1615mm
車両重量[kg] 1520kg
総排気量[cc] 1998cc
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] 150ps(110kw)/6200rpm
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 19.0kg-m(186N・m)/4500rpm
ミッション 5速AT
10・15モード燃費[km/l] 15.0km/l
定員[人] 7人
税込価格[万円] 226.8万円
発売日 2011/6/15
レポート 大岡智彦
写真 編集部

 

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(レポート:大岡 智彦

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