OEMの是非を問う!【日産ラフェスタ・ハイウェイスター インタビュー】 [CORISM]

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【ビジネス・経済】2011/07/29

OEMは心理的にマイナス? しかし、それ以上の価値が提供できれば売れる!

日産自動車マーケティング本部マーケティング・ダイレクター森田 聡
 日産ラフェスタ・ハイウェイスターは、マツダのプレマシーのOEM車である。家電では、もう珍しいことではないOEMだが、自動車ではまだ珍しいため、なにかと注目を集めている。とくに、自動車は高価な商品。買う側も実際の購入時には、かなり力が入る。それゆえに、ブランドへのこだわりは強い。さらに、日産というブランドにも多くのファンがいる。ファンゆえに、OEMへ懐疑的な視点で見てしまう人が多い。

「ラフェスタ・ハイウェイスターを発売するにあたり、なぜ? という声は確かにありました。生産部門にしてみれば、我々が作れるのになぜ他メーカーなのか? 営業現場では、同じような商品を日産ブランドで売れるのか? など、たくさんの疑問があったと思います。確かに発売する以前は、OEMというのは心理的なマイナス要因だったかもしれません」と、日産自動車マーケティング本部マーケティング・ダイレクター森田 聡さんは語る。

 一般的に、OEMはコストダウンを目的に行われることが多い。工業製品は、基本的に作れば作るほどコストが下がるからだ。マツダは生産工場の稼働率が上がり、部品単価も下がる。日産は研究開発費用が大幅に下がる。そのため、出来ることならば変更点が無いほど効果的は手法だ。ところが、日産ラフェスタ・ハイウェイスターは、マツダ プレマシーとはまったく違う外観をもち、ドアパネルやバンパーなどを新しく作り替えている。OEMの常識とは逆に、かなりのコストを投下し日産ブランドへのスイッチを推し進めた。

「心理的なマイナスがあるOEMですが、それを超える価値が提供できればお客様は納得していただけるとはずだと考えました。そのために、日産ラフェスタ・ハイウェイスターらしさを出すために大きくデザインを変更したのです。不安に思っていた営業現場も、現車を見たら不安もなくなりましたね。発売後のお客さまの反応も上々です。プレマシーの素性の良さと日産のブランド力の融合で、初期の販売台数も予想を超えていました」と森田さん。旧ラフェスタも含むが6月の販売台数は約2700台と絶好調な滑り出し。本家プレマシーを大きく超える販売台数を記録。OEMの心理的マイナスもほとんど感じさせない結果になった。

ラフェスタ・ハイウェイスターの登場で、強力なミニバンフルラインアップが完成

日産ラフェスタ・ハイウェイスター
 日産はラフェスタ・ハイウェイスターの登場で、Lクラスのエルグランド、Mクラスのセレナとサイズの違う3タイプのミニバンをラインアップした。このラインナップで、トヨタやホンダのミニバン勢と勝負できるタマが揃ったことになる。とくに、日産にとってはエルグランドやセレナが好調だったものの、コンパクトタイプのミニバンに商品力が無いことで、保有の流出があったという。そのため、このクラスのミニバン開発が重要視されていたものの、月販2〜3000台程度の国内専用車を開発するには、コストも時間もかかり過ぎる。OEMで早期にラインアップ強化ができるというのも日産の狙いでもある。

 実際に我々が日産ラフェスタ・ハイウェイスターかマツダ プレマシーのどちらを選ぶかという岐路に立ったとき、どちらのデザインが好きか? というのも重要な選択肢になる。また、価格も重要。どちらがバリューが高いか、じっくりと比べる必要がある。注意しなくてはならないのは、目先の金額だけではないということ。ローンの金利や残価設定ローンなら、残価率も重要となる。とくに、5年以内で売却することを考えているのなら、リセールバリューも重要な要素だ。

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(レポート:大岡 智彦

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