幅広い世代をターゲットにしたSUV版スカイライン
日産スカイラインという名前で響く人、それは「ヤングではない人」だろう。それほど、スカイラインというブランドは高齢化している。スカイライン クロスオーバーという名前は直球でとても分かりやすいが、スカイラインという名を付けることに多くの反対意見があったという。その多くがスカイライン クロスオーバーというクルマは「ヤング過ぎる」から、スカイラインというブランドとマッチしないというものだ。そういう意見も理解できる。
だが、日産の木屋マーケティングダイレクターは「確かにスカイラインのユーザーは高年齢化してはいるが、高年齢者向けのブランドではない。スカイラインは日産を代表するブランドであり、若い世代にもその魅力をしっかりと伝えていかなければ、ブランドそのものが無くなってしまう」と、スカイラインブランドへの危機感と新たな未来への布石としてのスカイライン クロスオーバーの存在意義を語った。同感だ。
さらに「50歳代以上の方々にも気持ちよく乗っていただけるように、乗り心地や静粛性にも十分配慮した。駐車ガイド付きアラウンドビューモニターも開発し、使いやすさも向上している。それだけではなく、30歳台の共働き夫婦や女性の方にも積極的にお乗りいただけるように赤色系の発色がキレイなチョコレートカラーの本皮シートや、全体にソフトな肌触りのインテリアに仕上げている」と、若い世代にも十分受け入れられやすい配慮も怠っていないと評価したい。
だが、日産の木屋マーケティングダイレクターは「確かにスカイラインのユーザーは高年齢化してはいるが、高年齢者向けのブランドではない。スカイラインは日産を代表するブランドであり、若い世代にもその魅力をしっかりと伝えていかなければ、ブランドそのものが無くなってしまう」と、スカイラインブランドへの危機感と新たな未来への布石としてのスカイライン クロスオーバーの存在意義を語った。同感だ。
さらに「50歳代以上の方々にも気持ちよく乗っていただけるように、乗り心地や静粛性にも十分配慮した。駐車ガイド付きアラウンドビューモニターも開発し、使いやすさも向上している。それだけではなく、30歳台の共働き夫婦や女性の方にも積極的にお乗りいただけるように赤色系の発色がキレイなチョコレートカラーの本皮シートや、全体にソフトな肌触りのインテリアに仕上げている」と、若い世代にも十分受け入れられやすい配慮も怠っていないと評価したい。
ヘッドライトやフロントグリルのデザインにスカイラインらしさを感じる。バンパーの形状はSUVらしい処理が施されている。
リヤビューはスカイラインらしいイメージはない。同じSUVのムラーノや北米で売られているインフィニティ FXのような雰囲気だ。
下側がブラックアウトされたバンパーは、いかにもSUVらしい力強さを感じさせてくれる。ライトやグリルはスカイライン風だ。
丸みを帯びたリヤビューのデザインは、とても印象的だ。こちらはスカイラインの面影はなく、ムラーノなどと共通のイメージだ。
立体的な造形のリヤコンビランプを採用している。ブレーキ&テールランプはLED式で、悪天候時でも視認性に優れている。
ハイマウントストップランプが内蔵されたルーフスポイラーを装備している。全体のフォルムにマッチしたさりげないデザインが好印象。
乗り心地の良さはもちろん静かで快適な室内空間が高評価
さて、そんなスカイライン クロスオーバーは、日本車としては希少なクルマなのだ。クルマ好きなら、すぐにピンとくるだろうが、スカイラインがベースということで、基本はFRベースのSUVなのである。国産車にはライバルが存在しないが、輸入車と比べると、メルセデス・ベンツのGLKやBMWのX3などがライバルだ。それだけに、走りのパフォーマンスに関しては期待大。今回はスカイライン クロスオーバーのプロトタイプ(FR)に乗る機会を得た。グレードはシンプルに4タイプが用意されるという。2駆と4駆に別れ、それぞれに370GTと 370GTタイプPが存在する。グレード名から分かる通り、エンジンはVQ37VHRと呼ばれる3.7リッターのみで約330psを発揮し7速ATが組み合わされる。その他詳細に関しては、今のところ未公表だが、北米ではインフィニティEXとして、すでに販売されている
さあ、試乗だ。場所は日産の追浜工場内にあるグランドライブと呼ばれる1周約4kmのテストコース。このコースは、高速道路の継ぎ目や路面凸凹などの一般道路を見事に再現してある。天候はドシャ降りの雨。コースの一部に川ができるくらいだ。おまけに、このテスト日は日曜日。休日返上というストレスを、いきなりアクセル全開で発散させていただいた。
多少ボディが重いのか同じVQ37VHRエンジンを搭載するスカイライン セダンよりは、スピードの伸びは遅い。しかし、そんなことがほとんど気にならないくらい驚いたのが静粛性と乗り心地の良さだ。なんと、エンジン音よりも雨がボディを叩く音やワイパーの作動音が耳障りになるほどで、我が身のお腹から発せられた空腹感を知らせるアラート音がしっかりと聞き取れるほどだった。
乗り心地も秀逸で、サスペンションそのものの抵抗が少なく良く動く。スッキリとした乗り味を誇る。そこで、あえて超高速域からフルブレーキングしながら、路面の凹みに突っ込んでみた。サスペンションを急激な減速により極限まで縮んでいる状態を作り、凹みに突っ込むわけなので、基本性能が悪いとドーンという衝撃とともに激しくボディを揺さぶられ、クルマの向きも大きく変わる。ところが、ドーンという衝撃はあるがボディの揺れは、ほぼ一発で収まり走行ラインを乱すことがなかった。とくに、重心の高いSUV系のクルマほど揺れが収まらず走行ラインを乱す傾向が強いが、スカイライン クロスオーバーは不安なく通過。これは、基本的なボディの剛性やサスペンションのパフォーマンスが高い証。
さあ、試乗だ。場所は日産の追浜工場内にあるグランドライブと呼ばれる1周約4kmのテストコース。このコースは、高速道路の継ぎ目や路面凸凹などの一般道路を見事に再現してある。天候はドシャ降りの雨。コースの一部に川ができるくらいだ。おまけに、このテスト日は日曜日。休日返上というストレスを、いきなりアクセル全開で発散させていただいた。
多少ボディが重いのか同じVQ37VHRエンジンを搭載するスカイライン セダンよりは、スピードの伸びは遅い。しかし、そんなことがほとんど気にならないくらい驚いたのが静粛性と乗り心地の良さだ。なんと、エンジン音よりも雨がボディを叩く音やワイパーの作動音が耳障りになるほどで、我が身のお腹から発せられた空腹感を知らせるアラート音がしっかりと聞き取れるほどだった。
乗り心地も秀逸で、サスペンションそのものの抵抗が少なく良く動く。スッキリとした乗り味を誇る。そこで、あえて超高速域からフルブレーキングしながら、路面の凹みに突っ込んでみた。サスペンションを急激な減速により極限まで縮んでいる状態を作り、凹みに突っ込むわけなので、基本性能が悪いとドーンという衝撃とともに激しくボディを揺さぶられ、クルマの向きも大きく変わる。ところが、ドーンという衝撃はあるがボディの揺れは、ほぼ一発で収まり走行ラインを乱すことがなかった。とくに、重心の高いSUV系のクルマほど揺れが収まらず走行ラインを乱す傾向が強いが、スカイライン クロスオーバーは不安なく通過。これは、基本的なボディの剛性やサスペンションのパフォーマンスが高い証。
ソフトな肌触りのインテリアに仕上げたと言う通り、上質さは申し分ない。静粛性の高さも驚くほどで、まるで高級車のような雰囲気。
本革シートは滑らかな手触りで、非常に快適なドライブが楽しめる。それでいてサイドのサポートもしっかりしているのはさすがだ。
リヤシートも十分なスペースが確保されており、視界も広く快適だ。クッションは適度な硬さで、まるでリビングのソファのようだ。
ナビの画面は見やすい位置にあり、エアコンなどのスイッチ類も操作しやすい。アナログ式の時計が高級感を感じさせてくれる。
ラゲッジは十分な広さが確保されている。開口部も広めで、大きなものや重い荷物も苦労せずに積み込むことができる。
リヤシートはスイッチ操作だけで収納することができる。フロアもフラットなので、かさばる荷物でも積み込みはしやすい。
スカイラインの名に恥じないしっかりしたハンドリングを実現
お次は、右へ左へと旋回するS字コーナー。ステアリング操作に対するレスポンスはSUVなので、穏やかな印象。ところが、クルマのロール(傾き)がスグに元に戻るので、次のコーナーへのアプローチが容易。多くのSUVは、ここが苦手でひどいクルマになると揺れ戻しに近いものまである。つまり、スイスイと走れるということが高評価である。
試乗途中から雨が止み、路面がセミウェットに変化し、さらにペースを上げてみたら、ちょっとだけ不満が出てきた。クルマは圧倒的に速いのに、タイヤのグリップが足りないのである。思いっきりブレーキングしながらステアリングを切ると、クルマは曲がろうとするのだが、タイヤが「もうだめです。ごめんなさい」といっているかのごとくスキール音を上げてギブアップ。個人的には、370GTはもう少し偏平タイヤにして、スポーツドライビングに適したキビキビ感と絶対的なタイヤのグリップを出し、現在の仕様は2.5リッター車を追加し対応すればよいのではないかと思えたほど。まぁ、そんな走りを楽しみたいのなら、スカイラインクーペを買ってくださいな、ってことなんでしょうが、BMW X3以上のパフォーマンスを感じるだけにもったいないような気がしたのだ。とくに、トラクション性能が向上するAWD仕様にはさらに期待が集まる。
と、走りのパフォーマンスに関しては、スカイラインの名に恥じない一級のパフォーマンスをもつスカイライン クロスオーバー。スカイラインブランドには興味があるが、セダンでは少々オヤジ臭い、でもクーペーじゃ実用性が低い……、そんなイメージを抱いているのなら、間違いなくスカイライン クロスオーバーがピタリとはまる。多少背は高くなってはいるものの、スカイラインのDNAは健在である。
試乗途中から雨が止み、路面がセミウェットに変化し、さらにペースを上げてみたら、ちょっとだけ不満が出てきた。クルマは圧倒的に速いのに、タイヤのグリップが足りないのである。思いっきりブレーキングしながらステアリングを切ると、クルマは曲がろうとするのだが、タイヤが「もうだめです。ごめんなさい」といっているかのごとくスキール音を上げてギブアップ。個人的には、370GTはもう少し偏平タイヤにして、スポーツドライビングに適したキビキビ感と絶対的なタイヤのグリップを出し、現在の仕様は2.5リッター車を追加し対応すればよいのではないかと思えたほど。まぁ、そんな走りを楽しみたいのなら、スカイラインクーペを買ってくださいな、ってことなんでしょうが、BMW X3以上のパフォーマンスを感じるだけにもったいないような気がしたのだ。とくに、トラクション性能が向上するAWD仕様にはさらに期待が集まる。
と、走りのパフォーマンスに関しては、スカイラインの名に恥じない一級のパフォーマンスをもつスカイライン クロスオーバー。スカイラインブランドには興味があるが、セダンでは少々オヤジ臭い、でもクーペーじゃ実用性が低い……、そんなイメージを抱いているのなら、間違いなくスカイライン クロスオーバーがピタリとはまる。多少背は高くなってはいるものの、スカイラインのDNAは健在である。
ベースとなったスカイラインにも搭載される3.7リッターのV6エンジンのみの設定。パワーは330psで豪快な走りが楽しめる。
組み合わされるミッションは、マニュアルモード付きの7速AT。変速は滑らかで、スポーティな走りにもしっかりと応えてくれる。
18インチのタイヤ&アルミホイールを装備している。乗り心地は非常に快適で、ハンドリングもしっかり感があり好感が持てるもの。
(レポート:大岡 智彦)
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