三菱アウトランダーPHEV試乗記・評価 2.4Lに排気量アップ! より、EVらしさにこだわった大幅改良
2.0Lから2.4Lへ排気量アップし、大幅進化した2019年モデルのアウトランダーPHEV
充電によって電動走行の航続距離を延ばせるプラグインハイブリッドシステムに4WDを組み合わせた、地球にやさしいクロスオーバーSUVが三菱アウトランダーPHEVだ。
メカニズムを進化させた2019年モデルが8月下旬にベールを脱ぐが、正式発表を前にサーキットで最終のプロトタイプに乗ることができた。大きく変わったのはパワートレイン。主要構成部品の約90%を改良し、PHEVシステムも進化させている。また、エクステリアなどを化粧直しし、ボディの剛性アップやS-AWCの性能向上を図った。
三菱アウトランダーPHEVのパワートレインで目をひくのは、エンジンの変更だ。これまでの2.0L直列4気筒に代え、排気量が400cc大きい2.4Lのアトキンソンサイクル&可変バルブタイミング機構付きの4気筒DOHCエンジンを積んでいる。
バッテリー容量、モーター出力ともにアップしたアウトランダーPHEV
前輪と後輪に高性能モーターを組み込んだ「ツインモーター4WD」も進化した。駆動用バッテリーの容量を12kWhから13.5kWhへと15%近く増やし、バッテリーとジェネレーターの出力は10%ほど高めた。
また、制御を変えることによって後輪駆動用モーターの最大出力も10kW高め70kWとした。これらの改良により、満充電でEV走行できる距離は60kmから65kmに延びた。EVでの最高速度も135km/hと、10km/h引き上げられている。
より緻密な制御となったS-AWC
三菱アウトランダーPHEVの自慢のひとつは、前後輪のトルク配分や左右輪のトルクベクタリング、4輪ブレーキ制御などを駆使して挙動を安定させ、狙い通りにコントロールできるようにしたS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)の採用だ。
2019年モデルでは、制御をさらに緻密化するとともに、新たにスポーツモードとスノーモードを設定。今まで以上に路面状況に応じて安全に、気持ちよく走れるように手を加えた。
まず、ノーマルモードでサーキットを走ってみる。400ccの排気量アップにより全域で余裕を増していた。軽くアクセルを踏んで加速したときのスピードのノリがいい。従来モデルより制御が緻密だから、ドライバビリティも良好だ。とても扱いやすい。
静粛性が向上し、高級SUV感がアップ
また、クルージングしているときは静粛性が向上していることがはっきりと分かる。EV走行の領域が広がり、エンジンがかかる頻度が大幅に減っているのだ。電気モーターの恩恵が分かりやすくなっている。加速していくときも、今までよりエンジン回転を抑えているから、ノイジーと感じなくなった。
新設させたスポーツモードをチョイスすると、アクセルレスポンスが鋭くなり、モーターの存在感が強調されるようになる。パンチ力を増し、シームレスな加速の伸びにも力強さが加わった。グッと押し出されるような感覚でスピードを乗せていくところがいい。モーターの効率が落ちる高速走行では、エンジン直結モードとなるが、そのときのエンジン音も静かになっている。
より質の高いスポーティなハンドリングとなったアウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEVのハンドリングは洗練され、スポーティ度がより高まった。サスペンションを見直し、ストラットとショックアブソーバーをサイズアップしている。
また、スポーツグレードであるSエディションと同じようにボディ構造用の接着剤も追加した。それだけではない。ステアリングのギア比をクイックしているのだ。タイヤもオールシーズンではなくエクリプスクロスと同じ225/55R18サイズのサマータイヤ(トーヨータイヤのプロクセスR44)を履いている。
三菱アウトランダーPHEVのドライブフィールは、自然で素直な走行感覚だ。操舵フィールはクイックになり、気持ちよくクルマが向きを変えた。今までは大きな転舵を与えていた回り込んだコーナーでも切り増し量が減り、扱いやすい。タイヤの変更も功を奏し、トラクション能力は高いし、アンダーステアも軽微なものになっている。とくにスポーツモードは、楽しいだけでなくコントロールできる領域が広い。
ヘアピンコーナーでは、ブレーキングしてステアリングを切り込みながらコーナーに進入する。三菱アウトランダーPHEVは、狙ったラインに無理なく乗せることが可能。
FRのような軽快なフットワークをもつ
トルクベクタリングを使って絶妙なさじ加減で、フロントの内輪にブレーキをかけてくれるのである。だから、アンダーステアに悩まされず、狙ったラインに乗せやすい。そこからの脱出加速では、後輪用モーターの駆動トルクを増やし、強く蹴りだすことによってアンダーステアを抑え込んだ。背は高いが、オン・ザ・レール感覚で、FR車のような軽快な身のこなしを見せてくれるのである。
ブレーキ制御を行うAYCを組み合わせたS-AWCの実力が分かりやすいのは、サーキットよりも雪道などの滑りやすい路面だ。高いトラクション能力に加え、コーナリングではアンダーステアを巧みに抑えている。前後左右の絶妙な駆動力配分と緻密なブレーキ制御によって狙ったラインに乗せやすいなど、コントロールできる領域は大きく広がった。
より完成度が高まった2019年モデルのアウトランダーPHEV
三菱アウトランダーPHEVのエクステリアは、フロントバンパーやグリル、ヘッドライトなどのデザインが変わっている。インテリアもシルバーのステッチなど、加飾に磨きをかけ、高級ムードを高めた。
また、フロントシートのサポート性も向上させている。三菱アウトランダーの2019年モデルは、走りの洗練度が1ランク引き上げられただけでなく静粛性などの快適性能も大きく向上した。アウトランダーの集大成といえるのが2019年モデルだ。
<レポート:片岡英明>
三菱アウトランダーPHEV 2019年モデルの燃費、ボディサイズなどのスペック
グレード:Gプラスパッケージ
・全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
・ホイールベース 2670mm
・トレッド前 / 後 1540/1540㎜
・タイヤサイズ 225/55R18
・車両重量 1900㎏
・乗車定員 5 名
・駆動方式 4WD
・モーター 搭載数 2 基 (フロント 1、リヤ 1)
・モーター最高出力 フロント:60kW、リヤ:70kW
・モーター最大トルク フロント:137N・m、リヤ:195N・m
・バッテリー
種類 リチウムイオン電池
総電圧 300V
総電力量 13.8kWh
・エンジン
4B12型 2.4L 4 気筒 DOHC16バルブ ガソリンエンジン
最高出力94kw[128ps]/4500rpm、最大トルク199N・m[20.3㎏-m]/4500rpm
・ハイブリッド燃料消費率(JC08 モード) 18.6㎞/L
・充電電力使用時走行距離(JC08 モード) 65.0km/L
・ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード平均) 16.4km/L
・充電電力使用時走行距離(WLTCモード) 57.6km/L
価格:未定
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