【ミニ E(電気自動車 実験車両) 新車試乗記】MINIのEV(電気自動車)に緊急試乗! ゴーカートフィールは健在か!?
思わず「クゥッ!」とウナる爽快フィーリングが高評価!
このミニE、詳細なスペックは公開されていないが、なんとこの小さいボディに204馬力のパワーと220Nmというトルクを発揮するモーターが搭載されている。搭載されるリチウムイオンバッテリーは、今のところ公開はされていないが電気自動車のスポーツカーを制作するテスラと同様、18650と呼ばれるパソコンなどに使用されているものを使用していると思われる。
ボンネットを開けると、なんとACプロパルジョンのロゴが・・・。このACプロパルジョンは、アメリカのベンチャー企業で主にコンバートEV(普通のエンジン車を電気自動車に改造したもの)の製作に優れている会社。つまり、このミニEは、ACプロパルジョン製なのだろう。
そのためか、日産リーフなどの電気自動車と比べると全体的に荒々しい。加速はリーフ以上で、まさに豪快。アクセルを全開にすると、キーンという電気自動車独特の音を発し強烈なトルクステアを伴い怒涛のごとく加速する。この圧倒的な加速感は電気自動車ならでは。思わずクゥっと唸ってしまうほど楽しいと高評価だ。
回生ブレーキの減速力、実に0.3G!
問題は回生ブレーキ。ミニEは、アクセルを戻すと、なんと0.3Gという強烈な減速Gを発生させる回生ブレーキが作動する。これは、モーターを充電方向に切り替え、その抵抗で減速し、最後は停止までできるのだ。この回生ブレーキがミニEの運転を極端に難しくしている。アクセルを戻すだけで、急激に減速するので、ちょっとしたキッカケでアクセルを戻すとブレーキをかけた状態になるのだ。ちょっと気を抜いて走っていて、スピードの出しすぎに気付き、フッとアクセルを抜く。そうすると、グゥーンと回生ブレーキがかかり、イッキに減速するのだ。この状態で、ブレーキランプが点灯する。後続車にとっては、何も無いような道路でいきなりブレーキを踏まれるのだからたまったものではない。追突しそうなくらい、イッキに後続車との車間はつまる。それが数回あると、後続車はフラストレーションが溜まり、ついには我々のクルマを追い抜こうとするのだ。こうならないように運転するのは、気合と根性、慣れとテクニックが必要だ。とくに、ストップ&ゴーが多い渋滞路では、アクセルワークに気を使いすぎてヘロヘロになってしまった。
トヨタ プリウスや日産リーフには、こうならないように協調回生ブレーキなるものが装備されている。この技術こそが、電気自動車を普通のクルマのように走らせているといっても過言ではない。ドライバーがアクセルを抜けば、ガソリン車のエンジンブレーキと変わらない程度の回生ブレーキ。ブレーキを踏めば、踏んだ分に応じて回生ブレーキを利かせ足りないなら油圧ブレーキも併用する。そんなワケで、改めて協調回生ブレーキの凄さを感じた。
しかし、残念ながら協調回生ブレーキは、使いやすさを優先するためエネルギーの回生は、ミニEほど高くは無い。ミニEの利点は、油圧ブレーキさえ使わなければ減速時にエネルギーをほぼ100%回生できることになる。使い方という視点で見れば、圧倒的に協調回生だが、効率という意味では、ミニEの回生ブレーキということにもなる。
ただ、世の中の現状を考えると、ミニEの回生ブレーキでは周りの交通環境悪影響を与えそうだ。やはり、BMWは独自の協調回生システムを開発して搭載するべきだと思う。もし、2011年の電動車両実証実験で、このミニEに乗りたいと思うのなら、それなりの覚悟が必要だろう。このミニE、今後、実証実験を重ねユーザーの意見を聞きながら、さらに進化させていくというから、これからの期待は高い評価を得よう。
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■BMWグループがエコカーへの取り組みを紹介するイベントを開催[2010.06.15/CORISM]
車名 | MINI E(ミニ・イー:実証実験用車両)[FF] |
---|---|
定員[人] | 5人 |
【電気モーター】出力[ps/kW] | 204ps(150kW) |
【電気モーター】トルク[N・m] | 220N・m |
最高速度[km/h] | 152km/h |
リチウムイオンバッテリー | 35kWh(※29kWhが使用可能) |
電圧 | 400V |
バッテリーセル | 5088 |
冷却 | セル温度に応じた空冷式 |
充電時間(※230V時) | 2.4時間(50A)/3.8時間(32A)/10.1時間(12A) |
バッテリー重量 | 260kg |
航続距離 | 最大実用:180km FTP72:240km |
レポート | 大岡 智彦 |
写真 | CORISM編集部 |
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