失敗の許されない大プロジェクトが「BMW i」
BMW が電気系の駆動を採用した新しいビジネスモデルとして展開するのがBMW i。その第一弾として電気自動車(EV) の新型BMW i3 が発売された。
新しく立ち上げたBMW iでは、生産段階から使用、廃棄の至るまで、各段階を通じて持続可能なシステムを提案したのが特徴だ。
そのために、BMW iにはカーボン繊維強化樹脂(CFRP)の新しいボディが採用された。工場をアメリカに建設し、ドイツに新しい組み立て工場を作るなど、大規模な設備投資をした。BMWにとって、絶対に失敗することのできない大プロジェクトがBMW iなのだ。
アメリカに建設した工場は、すべての電力を水力発電から得ているし、ドイツの工場でも風力発電など再生可能エネルギーを使っている。アメリカで生産したカーボン繊維強化樹脂(CFRP)をドイツに運ぶことなどを考えても、再生可能エネルギーによるオフセットができているということだ。
カーボンボディを使った新世代の電気自動車がBMW i3
BMW i3で最も注目されるのは、量産車として初めてCFRPを採用したことだ。CFRPは生産性が低く、そのためも価格が高くい。その上、事故を起こしたときの修復が難しく、使用済み自動車になったときのリサイクルが難しいなどの欠点があるが、BMWによれば、それもかなり解消できているという。
CFRPの採用によって、BMW i3は大幅な軽量化が図られ、運動性能や航続距離の向上を実現している。BMWの説明によると、i3級のコンパクトカーを作ろうとすると、大雑把に計算して1400kgくらいの車両重量になる。これを電気自動車化すると電池やモーターの重さで300kgくらい重くなる。でもエンジンとトランスミッションが不要になるから100kgくらいはマイナスしていい。それでも、200kgの増加だ。
でも、BMW i3ではボディの外板部分をCFRPにしたことや、基本フレームの部分にアルミを採用することなどによって340kgの軽量化を果たした。結果として140kg軽い1260kgの車両重量になったという。
電気自動車では、軽さはガソリン車以上に大きなポイントである。車両重量は航続距離に直結する要素なので、軽ければ軽いほど良い。ガソリン車も傾向としては同じだが、電気自動車では航続距離が切実な問題となるからだ。
BMW i3に搭載されるリチウムイオン電池は21.8kW/hで、リーフの24kW/hに比べるとやや少なめだ。ただ、前述のようにi3は車両重量が軽いので、リーフと同等以上の航続距離を実現する。
航続距離の不安を解消する発電機レンジエクステンダーを搭載
BMW i3には、もうひとつ特徴がある。電気自動車としての航続距離だけでは不安という人のために、バイク用の650cc2気筒エンジンを搭載したレンジエクステンダー仕様が用意されていることだ。
BMWはi3をメガシティビークルとして位置づけて、大都市内で使われることを前提にしているが、もう少し距離を走りたいというユーザー向けに、あるいは航続距離の不安を和らげるために、エンジンを搭載した仕様が用意される。
航続距離は、標準状態で130kmから160kmだが、回生を強めたモードを選択することなどによって200㎞程度まで伸ばせる。レンジエクステンダー仕様車なら、さらに120kmを走れるという。万一のときの不安を解消するのに十分な航続距離の延長である。
BMW i3価格、燃費、スペックなど
■BMW i3価格
i3 4,990,000円
i3 5,460,000円
定員[人]4人
代表グレード | BMW i3レンジエクステンダー装着車 |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,010×1,775×1,550mm |
車両重量[kg] | 1,390kg |
総排気量[cc] | 647cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 38(28)/5,000rpm |
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 5.7(56)/4,500rpm |
モーター最高出力[ps(kw)] | 170ps(125kw) |
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] | 25.5kg-m(250N・m) |
駆動用バッテリー | リチウムイオン電池 |
バッテリー総電力量 | 21.8kWh |
航続可能距離 | 最大300㎞ |
0-100㎞/h加速 | 7.2秒 |
価格 | 5,460,000円 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | BMW |
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