ホンダN-ONE e: 新車情報・購入ガイド 航続距離295㎞! 行動範囲が大幅に広がる軽BEV誕生
ホンダN-ONE e: 新車情報・購入ガイドの目次
航続距離は、なんと295㎞を達成したN-ONE e: !
ホンダは、新型の軽自動車でBEV(バッテリー電気自動車)「N-ONE e:」の発売を開始した。航続距離(一充電走行距離WLTCモード)は295km。同じ軽BEVである日産サクラの航続距離(180㎞)に対して+115㎞と大幅に伸ばしている点が大きな特徴だ。
BEV化されてもN-ONEの使い勝手と広い室内スペースを実現したパッケージング
新型ホンダ N-ONE e:では、N-ONEと同様に使い勝手のよさと広い室内スペースにこだわった。ホンダのパッケージング基本思想「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」をホンダ初の軽自動車であるN360から継承。
新型N-ONE e:は、295㎞という航続距離を実現するため、29.6kWhという大容量リチウムイオンバッテリーを搭載する。リチウムイオンバッテリーを搭載するためには、広い床下スペースが必要。
そのため、新型N-ONE e:では、バッテリーを薄型化。その結果、大人4人が快適に乗車できる空間を確保。さらに、ダイブダウン機構によりリアシートを倒すことが可能となり、荷室から続くフラットな床面を実現。そして、チップアップ機構により、座面をはね上げると背の高い荷物が積載可能としている。BEV化しながらも、多彩なシートアレンジなどは、N-ONEと同等の利便性を備えている。
また、より自然な運転姿勢にもこだわった。N-ONEに対し、乗車位置はそのままにステアリングを37mmドライバーに近づけることで、ステアリング操作とアクセル操作のさらなる安定感を追求した。フロントフード形状を工夫し、運転席からの視界向上。運転しやすく、街中での取り回しも容易にしている。
立体駐車場に対応! あえて、全高を低くして、ライバルとの違いをアピール
より長い航続距離を実現するためには、いかに空気抵抗を減らし電費を向上させるかも重要。新型N-ONE e:では、軽ハイトワゴンとしては全高を低めに設定。空気抵抗を減らし電費アップに貢献。
また、ハイトワゴンモデルながら、全高を1,550mm以下に抑えた。これは、都市部のマンションなどに多い全高1,550mm以下の立体駐車場に入庫できるようにするため。同じBEVの日産サクラの全高が1,655mmなので、差別化の狙いもあるのだろう。
近未来的クリーンな外観デザインだが、インテリアは・・・
新型N-ONE e:の外観デザインは、N-ONEのデザインをベースにしながら、BEVならではのクリーンさを表現。全体的にスッキリとした印象で、シンプルさが際立っている。
インテリアは、最近のホンダ車と同様、ノイズを無くしたシンプル系。インパネデザインは、水平基調で広さをアピールしながら、前方視界が広く確保されている。
近距離移動が多くナビの必要がない人向けに、インストルメントパネル上部が完全にフラットになるディスプレイレス仕様(ナビレス仕様)も用意。e:Lグレードには、9インチディスプレイが標準装備される。外観デザインは、ちょっと近未来的だが、インパネデザインなどに斬新さを感じさせない点は、少々物足りない。
ただ、環境負荷ゼロ社会の実現に向けて、フロントグリルには廃棄されたホンダ車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」を採用。インパネ上部のベージュ色の加飾には植物由来のバイオ樹脂を使用。インシュレーターや純正アクセサリーのフロアカーペットには、使用済みペットボトルなどを再資源化した素材を使用した。
他社が圧力で撤退した停止可能なワンペダルドライブ「シングルペダルコントロール」をあえて搭載
新型N-ONE e:の機能面では、BEVの回生ブレーキを利用したシングルペダルコントロールが採用された。この機能は、ワンペダルドライブなどとも呼ばれ、アクセルペダルだけで加減速から完全停車まで行える。街中の走行などでは、ペダルの踏みかえ回数が激減し、ドライバーの疲労軽減などにも役立つ。
だが、ワンペダルドライブ、一時期、日産の電動車を中心に普及し始めた。ところが、ワンペダルで停止まで行うのは好ましくないとして、行政側から指導があったようだ。その結果として、各車イッキに停止できない仕様となっていった経緯がある。そんな中、ホンダがあえてワンペダルで停止まで可能としたシングルペダルコントロールを採用した点は、高く評価できる。
最大トルクはサクラ優勢、航続距離はN-ONE e:が優位
新型N-ONE e:に搭載されたモーターの最高出力は、軽自動車自主規制に合わせた64㎰。最大トルクは自主規制がないので162Nmとなった。軽ターボモデルの最大トルクが約100Nm前後、自然吸気車の最大トルク約65Nmが相場なので、いかに新型N-ONE e:のトルクが大きいか分かるだろう。
車重は重いものの、これだけの最大トルクがあれば、かなり力強い走りが可能だろう。ただし、日産サクラの最大トルクは195Nm。この差にも注目したいところだ。
また、新型N-ONE e:には、大容量バッテリーが搭載されていることから、AC外部給電器「Honda Power Supply Connector(パワーサプライコネクター)」がディーラーオプションで設定されている。
この外部給電気を使用すれば、最大1,500Wまで出力が可能。停電時やアウトドアでは、給電車として活用が可能。さらに、夜間の安価な時間帯に充電した電力を日中にV2H機器を介して家庭で使用するなど、電気代の節約にも貢献できる。
予防安全装備も抜かりなし
そして、重要な予防安全装備では、「Honda SENSING」が全車標準装備。ホンダの軽自動車として初めて「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」を搭載。また、衝突事故での二次被害軽減を支援する技術である「衝突後ブレーキシステム」をN-VAN e:に続き採用した。
Honda SENSING 搭載機能は以下の通り。
1)衝突軽減ブレーキ<CMBS>
2)先行車発進お知らせ機能
3)歩行者事故低減ステアリング
4)路外逸脱抑制機能
5)標識認識機能
6)渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール<ACC>
7)車線維持支援システム<LKAS>
8)トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
9) オートハイビーム
10)誤発進抑制機能
11)後方誤発進抑制機能
12)近距離衝突軽減ブレーキ
13)パーキングセンサーシステム(フロント/リア)
14)急アクセル抑制機能
また、話題のコネクテッド技術関連では、Honda CONNECTを用意。 Hondaの会員制サポートサービス「Honda Total Care(ホンダ トータル ケア)」への加入が条件となるが、スマートフォンアプリから充電状況の確認や各種リモートでの操作が可能となる。
標準機能として、充電状態リモート表示、お出かけ前タイマー設定、充電待機時間設定、最大電流量設定、最大充電量設定、外部給電下限SOC設定が利用可能。
また、e: Lグレードでは、「Hondaリモート操作」や「緊急サポートセンター」、「自動地図更新」を利用できる「Honda Total Careプレミアム」を選択可能。オプションとして「Honda ALSOK 駆けつけサービス」、「Hondaデジタルキー」、「車内Wi-Fi」なども追加可能となっている。
新型ホンダN-ONE e:のグレード選び
新型N-ONE e:は、2グレード設定となった。
・e: G 2,699,400円
シンプルなデザインや機能を追求した、N-ONE e:のスタンダードタイプ。Bluetooth対応オーディオを標準装備。ディスプレイがないすっきりとした室内空間が特長。8インチディスプレイオーディオをディーラーオプションとして設定。
・e: L 3,198,800円
e: Gをベースに、9インチHonda CONNECT ディスプレイ(ナビゲーション連動)や14インチアルミホイール、本革巻ステアリングホイール、急速充電などを標準装備した上級グレード。
e: Gグレードとe: Lグレードの価格差は、約50万円。その差は、9インチディスプレイや14インチアルミホイール、本革巻ステアリングホイール、急速充電。このプラス装備で、約50万円の価格アップは、やや高価な印象。急速充電機能が、かなり高価であると予想できる。
予算重視で、よほど割り切って使う人以外は、やはり急速充電は必要装備。そのため、いくら安価とはいえ、急速充電なしのe: Gグレードは選びにくい。そのため、多くの人にお勧めなのは、e: Lグレードとなる。
e: Lグレードで新車価格は3,198,800円となかなか高価。この価格だと、ヴェゼルの上級グレードe:HEV Zが狙えるくらい。ただ、BEVには補助金がある。
新型N-ONE e:の補助金は、CEV補助金(令和7年度) 57.4万円。なので、約262万円で購入できることになる。それでも、フィットe:HEVホームの方が20万円以上安価だ。軽BEVとはいえ、補助金を差し引いても高価といえる。まだ、アーリーアダプター向けのクルマといえそうだ。
ちなみに、搭載リチウムイオンバッテリーの容量が異なるので、単純比較はできないが、e: Lグレードと日産サクラの上級グレードであるGと比較すると、e:Lグレードの方が、約12万円高価になっている。
すでに中国のBYDが、軽自動車規格のBEVを導入すると発表している。それだけに、今後、国産軽BEVも価格競争力が問われそうだ。
新型N-ONE e:のリセールバリューはとうなる? 残価設定ローン? それとも個人リース?
そして気になるのが、軽BEVのリセールバリュー。BEVのリセールバリューは、補助金の関係でやや低くなる傾向にある。日産サクラのリセールバリューを調べてみた。
日産サクラGグレード中古車相場(2022年式):約140~160万円
当時の新車価格比:約48~54%
*中古車相場は2025年9月調べ。
上記のように、日産サクラのリセールバリューはやや安価傾向。そのため、新型N-ONE e:も同様な傾向になる可能性が高い。そのため、残価設定ローンや個人リースの残価設定額も気になるところ。
残価の低さを低金利でカバーするというのは、積極的な営業戦略といえる。ただ、長期的に見ると少々微妙。低金利だけでなく、高い残価を維持するような仕組み作りも必要だろう。
ホンダN-ONE e: 新車価格
タイプ | 駆動方式 | 乗員 | 急速充電 | 消費税10%込み |
e: G | FF | 4名 | - | 2,699,400円 |
e: L | ● | 3,198,800円 |
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